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「看取り力」の鍛え方2~終末期のコミュニケーション

「看取り力」の鍛え方2~終末期のコミュニケーション

  • 2016/12/28 UP!

上手なコミュニケーションの取り方

前回は、旅立ちの時期が近くなった大切なご家族に、悔いのない時間を過ごしてもらうポイントを紹介しました。※詳しくはこちら

今回は「終末期の患者さんとご家族が、上手にコミュニケーションを取る方法」についてです。

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ポイントは3つあります。

◎患者さんが発した言葉をそのまま受け止めて、その言葉を使って返す
そうすることで患者さんは、「伝わった」という感覚を持ってくれることが多いそうです。

◎自分の思いは前面に出さないで、一歩引いたやりとりを
会話が弾みやすくなるポイントは、「がんばって」ではなく「がんばってきたね」という思いで接すること。ご家族は聞き役です。話をしてもらうことは、患者さんの気持ちの整理にもつながります。

◎漠然とした不安を抱えているようなら、会話から解決の糸口を探す
会話が弾み、患者さんの思いが次々と出てくるようになると、その言葉の中に、患者さんの抱える不安を解決する手がかりが見えてくることがあります。

不安の原因を「具体的に把握」(※次項目参照)して、医療者と協力しながら一つ一つ解決に向けて相談できれば、患者さんの気持ちは穏やかになっていくのだそうです。

 

不安が影響している場合も
「がん終末期の痛み」の正体を知る

身体的な痛みは心の痛みと密接に関係しており、不安が原因であることも。
実は、対象ががはっきりしない漠然とした不安を封じ込めていると、火山が爆発するように一挙に激しい痛みを招くことがあるのだとか。

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<がん終末期の痛み>の正体は、4つに分類されます。

◎【身体的痛み】
がんが神経などを刺激して起こる直接的な痛み、やせることで感じる間接的な痛み、吐き気、便秘、倦怠感、呼吸困難、不眠、治療の副作用など。

◎【社会的痛み】
社会的役割が果たせなくなる喪失感、疎外感、焦燥感、孤独感、家族への負担や治療費に関する家計の悩みなど。

◎【精神的痛み】
これまでの治療への不信や不満、容貌の変化、痛みや死への恐怖、未来への絶望感など。

◎【スピリチュアルペイン】
人生の根源的な苦悩(どうして自分がこんなことに…、生きている意味はあるのだろうか、このままでは死ねない…など)。

終末期に急な痛みの訴えがあった場合、身体的な原因よりも、精神的な不安感や「そばに来てほしい」といった思いの表現である可能性が強いといいます。痛みの正体が精神的なものであるなら、その不安を解消する作業が必要です。

また、「痛いからつらい」と決めつけないことも大切なのだそう。「痛いけれど大丈夫」なのか、「痛いから何とかしてほしい」のか、ご本人の本音を理解し、必要に応じて医療者に苦痛をコントロールしてもらってください。

 

患者さんの生前の意思を、家族みんなで共有

意識がなくなっていくご本人の代わりに、延命処置や生命維持措置をどうするか、ご家族が意思決定をすることになった場合、ご家族の立場によって意見が分かれることは珍しくありません。また、自分がした判断が本当に正しかったのか、その後もずっと迷い続けてしまうことがあります。

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そこで知っておきたいのが、「リビング・ウイル(Living Will)」です。

不治の状態になったとき、ご本人はどのように旅立ちたいか、要望を記した事前指示書のことです。

例えば、末期の延命処置は断る、苦痛をやわらげる処置は最大限にしてほしい、数カ月以上植物状態に陥ったら生命維持措置をとりやめてほしい、といったご本人の意思を書き記しておくことができます。

急変したときの連絡先も明示し、医療者だけでなく、ご家族や身近な人とも、共有しておくことが大切です。ご本人が自宅で穏やかに旅立ちたいと思っているのに、急変したとき、ご家族が慌てて救急車を呼んでしまうことがないようにしなければなりません。

厚生労働省では、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の普及啓発リーフレットを作成し、全国8000の病院に送付しています。生前の意思表示のしかたについてはまだあまり知られていませんが、これから普及に向けて制度が整っていくと思われます。ご本人の意識が鮮明なうちに、「リビング・ウィル」について、かかりつけ医に相談してみてください。

多くの人がいつかは経験するであろう看取り。元気なうちにコミュニケーションをしっかり取って、悔いのない人生の幕引きをお手伝いできるといいですね。

 

ogawa小川留奈(おがわるな) 医療ライター/健康・医療ジャーナリスト。中央大学文学部卒業後、スポーツメーカー社長秘書、サンケイリビング新聞社を経て2001年からフリー。新聞、雑誌、書籍、ウェブなどで健康・医療情報を執筆。専門家に取材した内容をわかりやすく伝えている。「信頼できる医師と最新治療シリーズ 監修/日本医師会」(講談社MOOK)部分執筆。サンケイスポーツ「Dr.サンスポ」(不定期)、医療コラム「OL3分ニュース」(シティリビング)連載中

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