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湿度を感じる器官って? 乾湿感のウソ【Re Re 快適のヒミツ】

湿度を感じる器官って? 乾湿感のウソ【Re Re 快適のヒミツ】

 快適な湿度や温度が住まいの居心地を大きく左右します。リフォームやリノベーションでも湿度や温度を意識しましょう。近畿大学建築学部学部長・教授の岩前篤さんに、快適な空間づくりに大切なコトを教えてもらいます。

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Lesson4

湿度を感じる器官って?乾湿感のウソ

カラッとしているパリやナポリ
ジメっとしているハノイや大阪

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 梅雨の晴れ間でしょうか、今日の大学では強い日差しのもと、蝉の鳴き声が響いています。夏の到来を告げているようです。

 私の大好きな街、パリやナポリの夏は、日本と同じように気温は30℃を超えることも多いですが、湿度が低く、カラッとしているので、余りつらくありません。むしろ、ビールがおいしく飲めるのでありがたいくらいです。

 これに対して、2週間ほど前に訪れたハノイでは、気温は同じく30℃を超える程度ですが、湿度は80%。

 蒸し暑いを通り越して、町全体がお風呂になったような感じでした。

 外を少し歩くと汗が滝のように流れ、効き過ぎと知りながらも、冷房の入ったお店に飛び込んでしまいます。そんな中で飲む熱いエッグコーヒーもまた、おいしいものです。

 大阪も同じような感じです。

 では、皆さん、私たちが日常で感じている、空気の湿った感じ、カラッとした感じ、これは体の中のどこで認識していると思いますか。

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温度は皮膚上の「温度覚」でわかる
湿度を感じる器官は存在しない

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 温度の温かい・冷たいは、皮膚上に点在する「温度覚」というセンサーに頼っています。皮膚には、このほかに触覚、圧覚、痛覚の、あわせて4種類のセンサーがあります。空気の流れ、風は、空気が肌を押し、これを触覚で感じ取っています。

 では、湿度は?

 実は私たちヒトの体には、湿度を感じる器官は存在していません。

 先にあげたような極端な事例では、皮膚表面に分泌される汗の蒸発具合が、皮膚表面の圧覚あるいは触覚を刺激することで、乾湿感に“翻訳”しているようです。

 具体的には、汗があっという間に乾くと、皮膚表面で“軽く”なり、カラッとした感じに結び付け、汗がいつまでも乾かず、皮膚深部からどんどん汗が現れ続けると、皮膚表面に汗が大きくなる水たまりのように拡がって、ジメッとした感じに結び付けているようです。

時間が経過すると鼻や皮膚の状態が変化
湿潤状態がやっとわかる

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 長期間、おそらく24時間以上の乾燥状態、湿潤状態は、鼻や皮膚の状態を変化させるので、私たちは皮膚の荒れや鼻腔内の乾燥具合で把握できます。

 国際線の飛行機内、あるいは冬の欧州の建物内は10%程度まで乾燥していることは珍しくないのですが、向こうに滞在して数日すると、肌のひび、かさつきが目立って、保湿クリームを求めて薬局に飛び込むことが通例です。

 逆にいえば、瞬時的な乾湿状態を私たちは把握することはできません。

 例えば、温湿度を変えられる実験室で、温度は同じ、湿度のみを30%と80%とします。何も知らない被験者に、乾燥しているか、湿潤しているかを判断してもらうと、正解率はほぼ50%。つまりあてずっぽうであることが複数の実験で示されています。

 今、あなたのいる部屋が乾燥しているのか、湿っているのか、もし、的確に分かる人がいれば、その人は超能力者です。TVに出演することができます。

 人にない能力で、かくも普通に使われている「乾湿感」という言葉、実に不思議です。

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Profile
近畿大学建築学部長・教授 岩前 篤さん

1961年和歌山県生まれ。1984年神戸大学工学部卒業。1986年神戸大学大学院工学研究科修了。同年住宅メーカー入社。住宅の断熱・機密・防露に関する研究開発に携わる。1995年神戸大学で博士号(工学)授与。2003年に退社したのち、近畿大学工学部建築学科に助教授として就任。2009年同教授、2011年に新設された建築学部の学部長に就任し、現在に至る。建築環境システム研究室で、建築物内外の温熱・湿度・空気環境とエネルギーについて研究中。

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