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“あぶない”お風呂に入っていませんか?【Re Re 快適のヒミツ】

“あぶない”お風呂に入っていませんか?【Re Re 快適のヒミツ】

 快適な湿度や温度が住まいの居心地を大きく左右します。リフォームやリノベーションでも湿度や温度を意識しましょう。近畿大学建築学部学部長・教授の岩前篤さんに、快適な空間づくりに大切なコトを教えてもらいます。

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Lesson8

“あぶない”お風呂に入っていませんか?

年間約5000人が溺れて死亡

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 秋本番、空も山もすっかり秋模様になってきました。食欲の秋、読書の秋、音楽の秋、それぞれにお楽しみのことでしょう。そんな良い季節ですが、衣替えなど、冬の支度もしなければなりません。

 このコラムでは、私たちの日々の暮らしでの、住まいに関係する快適・健康なことがらを取り上げてきています。今月はいよいよ、お風呂です。

 いよいよと書いたのは、なんといってもお風呂の危険性は住まいの中で最も大きいからです。

 わが国では、家の火災を含め、家庭内の事故全てで亡くなる人は、1万6000人程度。今や交通事故で亡くなる方は4000人ちょっとですから、4倍近いほど家の中の方が多いのです。

 その中でもお風呂で溺れて亡くなる方は約5000人、家庭内事故のトップです。このことは数年前から冬のたびに言われていますが、減る傾向は見られません。

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1回の入浴行為に3回のリスク

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 お風呂の事故、いわゆるヒートショックと呼ばれるものが代表的ですが、洗面所・お風呂の寒さが引き金となっていると言われています。「ヒートショック」は医学用語ではないのですが、住宅業界では温度差が原因の血行障害がもたらす事故のことを言います。

 私の研究室で調査をしたところ、1回の入浴行為に複数回のリスクがあることが分かりました。

 一番初めが、寒い洗面所で服を脱いで、低温の空気に体をさらした瞬間です。皮膚表面の急激な低温に、周辺の血管が収縮し、血圧が急上昇して血管の弱い部分で破裂出血、あるいは詰まるという現象です。これが一般的なヒートショックのイメージかと思います。

 二番目のリスクはその直後、冷えた体で高温のお湯に入った瞬間にやってきます。高温の中で緊張が一気に開放されることで脳への血流が不足し、失神する現象です。入浴時に失神することは非常に危険です。

 そして、「これで危険は過ぎた」と油断したところ、この次に実は最も大きいリスクがやってきます。浴槽から立ち上がる時です。温かい湯の中でリラックスすると共に、血管は膨張しきっています。その状態から一気に立ち上がると心拍数は通常の2倍以上、いきなりダッシュの状況になります。結果的に心筋梗塞あるいは失神が起こります。このごろのお風呂は、よりくつろげるように寝そべって入るスタイルが多いので、立ちあがりのリスクは以前より増しています。

冬の“熱中症”にも注意が必要

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 さらに、冬の寒い夜に、特に男性に多いと言われるのが、43℃以上の高温の湯による熱中症です。熱中症は夏だけではないようです。

 こういったお風呂のリスクを小さくするためには、洗面所・お風呂を暖かくするのは当然ですが、リビング(あるいは家全体)を暖かくすることを重要性も指摘されています。

 これほど危ないお風呂。健康を考えると寒い夜は入浴しない方が賢明かもしれません。筆者は9割くらい本気でそう考えています。

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Profile
近畿大学建築学部長・教授 岩前 篤さん

1961年和歌山県生まれ。1984年神戸大学工学部卒業。1986年神戸大学大学院工学研究科修了。同年住宅メーカー入社。住宅の断熱・機密・防露に関する研究開発に携わる。1995年神戸大学で博士号(工学)授与。2003年に退社したのち、近畿大学工学部建築学科に助教授として就任。2009年同教授、2011年に新設された建築学部の学部長に就任し、現在に至る。建築環境システム研究室で、建築物内外の温熱・湿度・空気環境とエネルギーについて研究中。

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