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vol.1 乳がん治療の経験から学んだ「患者力」~医者とのコミュニケーション力を上げる方法

vol.1 乳がん治療の経験から学んだ「患者力」~医者とのコミュニケーション力を上げる方法

  • 2015/01/19 UP!

みなさまこんにちは、はじめまして。

このコラムでは毎回、女性医療ジャーナリスト・増田美加の視点で、医療やヘルスケア分野で話題になっている最前線の情報をお伝えして参ります。

第1回目は、自己紹介もかねて「患者力」について。

「患者力」に必要なことは、おもにふたつあります。

1 医師とのコミュニケーション力を上げること。
2 少しでも自分の病気と治療の正しい知識をもつこと。

なかでも、医師との「コミュニケーション力」を上げることが、
患者力の大きなポイントとなりますので、今回はその方法を紹介したいと思います。

昨年末、『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)という本を
上梓しました。

なぜ、「患者力」が必要だと思ったか? というと、患者力の有無で人生や寿命が変わることがあることを、30年近く医療現場を取材し、2000人以上の医師と会い、たくさんの患者さんからの相談を受ける中で、ひしひしと感じたからです。

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実際、「あそこで別の道を選んでいたら、命を落とさずにすんだかもしれない。もう少し先まで、命の時間を延ばせていたかもしれない」という人を何人も知っています。

逆に、がんが再発して、若くして命を落とした人でも、「患者力」を発揮して、笑って天国にいった人も間近で見ています。

 私も、2006年に乳がんを発症し、一時は「がん=死」という気持ちを味わいました。医療ジャーナリストとしての仕事と、自分のがん治療の経験から、“納得できる医療”を受けることがいかに大切かを学びました。

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これは当時、治療の一部始終を撮影したものです。

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外来では、主治医にしつこいくらい、くり返し治療法を確認しました。自分が納得できる治療を受けたかったから。

  入院当日が手術前日。主治医に、「どこをどう切るか」を最終確認。このあと、医師は、私の胸に油性ペンで、切る可能性のある場所を描きこみました。医師に遠慮せず、恐怖感を減らすために、不安や疑問に思ったことはなんでも質問しました。私のしつこい質問にも、主治医は一度も嫌な顔をしたことがありません

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夫と両親の心配そうなこの写真を見ると、私より家族のほうがつらかったことを実感します。患者本人だけでなく、家族も患者のひとりなのです。

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手術翌日の乳房の傷。「乳がん検診」による0期という早期発見だったため、透明な絆創膏で止めただけ。1年後には、傷も、凹みもなくなりました。

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治療内容と写真は、この本にまとめました。『乳がんの早期発見と治療 これで安心』(小学館)より。

 もちろん、がんのような、命にかかわる病気の場合だけでなく、「患者力」は、身近な病気でも使えます。そのポイントを5つにまとめました。

ポイント1

医師との大事な面談では、「今、聞きたいこと」の紙を作って、医師に見せて質問する。

質問は箇条書きにして、5つ以内にまとめます。ポイントは、その紙を医師に見せて、「これだけです」という見通しを持たせること。たくさんあると時間がかかり、次に待っている人のことが気になります。医師もイヤになります。

また医師の答えは、自分のノートにメモをとることで、自分の理解にもつながるし、家に帰って考えるときの材料になります。

私は、医師との面談は“真剣勝負のとき”と考えて、できる限りの準備をして望みます。取材と同じです。

ポイント2

「診断を聞く」「治療を選択する」など大事な面談では、家族や信頼できる友人に一緒に聞いてもらう。

同行者にも、医師に聞くべきポイントを事前に話しておき、やりとりの中で不明な点は、その場で質問してもらうよう頼みます。

私は、大事な医師との面談は、夫に同行を頼みました。私の聞き洩らしや医師の説明でわかりにくい点は、夫の視点からも質問してもらいました。これは、家族と病気に関する共通理解を持つためにも役立ちます。

「今、何に悩んでいるのか、不安なのか」を理解してもらいやすく、患者や家族の心の安定にもつながります。

ポイント3

医師の目を見て、医師にも自分の目を見てもらって話すようにする。

「●●先生、~」と名前を呼びかけ目を見て話すことは、人と人とのコミュニケーションの基本です。

淡々と宙に向かってマニュアルを読むように話をする医師や電子カルテから目を離さない医師には、途中で話をさえぎってでも、私はこのようにして、目を見て話しかけています。

 ポイント4

もし重大な決断をする場面で、どうしてよいか迷ったら、「先生ならどうしますか?」と目を見て聞いてみる。

または、「先生の奥さんなら、娘さんなら、お母さんならどうしますか?」と聞いてみます。

このとき大事なのは、“治療を選ぶのは自分という姿勢で臨むこと。

「お任せします」という姿勢で臨むと、主治医にこの質問をしても、期待する答えは返ってきません。

「~が不安です」「~が心配です」と不安や疑問は口に出して話します。遠慮や我慢は、不満につながります。

医師に聞きにくければ、看護師さんやカウンセラーの方など、病院にはフォローしてくれる人がたくさんいます。最近では、がん拠点病院などには、忙しい医療者に代わって、「乳がん体験者コーディネーター」(私もそのひとり)のような、医療者側と患者をつなぐ立場の存在もいます。

ポイント5

セカンドオピニオンは遠慮せず、上手に利用する。

病気の診断、治療の選択肢で不安や迷いが生じたとき、セカンドオピニオンは、がんなどの大病でなくても、どんなときでも利用できます。

主治医から資料を出してもらうときには、遠慮せずに「先生の治療に自信をもって臨むために、ぜひお願いいたします」と切り出しましょう。

私と同い年の友人は、主治医に「セカンドオピニオン? そんなことをしていたら、手遅れになる。早く治療したほうがいい」と言われ、医師に遠慮してセカンドオピニオンを行わず、そのまま治療を受けました。その結果、非常に後悔する医療を受けることになり…、亡くなりました。

もちろん、セカンドオピニオンを受けていても、結果は同じだったかもしれません。でも少なくとも、家族は納得して後悔せず最期の日を迎えられたと思います。

***

納得できる医療とは、「病気はしたけれど、いい医療(治療)を受けられてよかった。いい医師と出会えてよかった」という満足感です。

どんなに高度な先進医療を受けても、どんな名医と言われる医師にかかっても、たとえ病気が治ったとしても、納得できず後悔してその後の人生を生きる、あるいは死ぬことだってあるのです。

病気を治して、あるいは症状を抑えて、幸せな人生を送れるようにする、もしくは幸せに死ねるようにする。これが本来の医療です。

医療は、私たちを幸せにする行為でなくてはなりません。

保険医療制度の見直しが起こり、近い将来、大きな転換点を迎えるときがやってきます。超高齢化時代への突入、医療技術の進歩とそれを支えるためのコストの問題、医療費の増大…。都市部と地方での地域格差、自由診療と保険診療のすみ分け…も問題になっています。

今後、より一層「患者力」がなくては、「納得できる医療」を受けられない時代になっていくと思います。そのために私たち患者は、まず医師とのコミュニケーション力を上げることから始めませんか。

 masuda増田美加(ますだみか) 女性医療ジャーナリスト。女性のための健康&医療の執筆、講演を行う。女性誌でヘルスケアやアンチエイジングの連載を執筆するほか、テレビ、ラジオでも活躍中。最新刊に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)ほか著書多数。NPO法人「みんなの漢方」代表 http://www.mkampo.net/、CNJ認定「乳がん体験者コーディネーター」

 

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