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名簿を紛失したら罪に問われる?【改正個人情報保護法】

小さなトラブルは相談しにくいけれど、放っておくとストレスの原因にも。主婦の“あるある”なお悩みを、法律的な解釈にもとづき弁護士がスッキリ解消します!

Q

名簿をなくしたら、罪に問われる?

今年、小学生5年生になった娘の学校でPTAの役員をやることになりました。そこで会員の住所などを書いた名簿が配られたのですが、その名簿が入ったカバンをうっかりスーパーのトイレに忘れてしまったのです。幸い、お店の方がすぐに見つけてくださったので事なきを得ましたが、もしカバンが盗まれ、名簿が悪用されていたら、私は逮捕されたりすることになっていたのでしょうか?(50代・女性)

A

もし、そのまま紛失していたら…

鈴木淳也弁護士

鈴木淳也弁護士の回答

個人情報保護法が改正され、2017年5月30日から全面施行されます。

これまで取り扱う個人情報の数が5000以下の事業者は規制の対象外となっていましたが、今後は、個人情報を取り扱うすべての団体や事業者が「個人情報取扱事業者」として、この法の適用を受けることになります。

また、悪質な名簿業者や個人情報漏えい事件に対する社会的な危機意識が高まったことを受け、「個人情報データベース等不正提供罪」が新設されました。個人情報取扱事業者やその従業者などが個人情報を不正に持ち出したり、第三者に提供するなどして利益を得る行為には1年以下の懲役、または50万円以下の罰金が課せられます。

改正後は相談者さんが所属するPTAも個人情報取扱事業者に含まれることになりますが、今回のケースでは、個人情報を不正に持ち出したり、誰かに売って利益を得ようとしたわけではないので刑罰の対象にはなりません。

ただし、個人情報が漏えいすると、それが出回って迷惑メールが届いたり、架空請求詐欺に利用されたりなど、2次被害が生じることがあります。非常に重要な問題であるだけでなく、場合によっては相談者さんも賠償責任を問われることになります。

賠償責任は誰にある?

個人情報の漏えいや、それが不正使用されることは、自己の情報をコントロールする権利である「プライバシー権」の侵害にあたります。これは民法上の不法行為にあたり、損害賠償請求の対象となります。

裁判例を見るかぎり、被害者1人が認められる慰謝料の金額は数万円程度のケースが多いのですが、抱えている情報の数が多いほど被害者の数も多くなる可能性があります。その被害者全員が損害賠償請求をすれば、多額の賠償義務を負うこともありえます。

今回の相談者さんのケースでも、もし名簿が悪用されていた場合、最終的にはいくらかの支払いを負担しなければならなかった可能性があります。

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情報漏えい防止のために気をつけるべきこと

日本情報経済社会推進協会が発表している「個人情報の取扱いにおける事故報告にみる傾向と注意点(平成27年度)」によれば、個人情報の取り扱い事故でもっとも多い原因は、相談者さんと同じく「紛失」。次いで「メールの誤送信」「封入ミス」「宛名間違い等」となっています。

紛失に関していえば、従前の紙媒体に代わり、メモリースティック、モバイルパソコン、タブレット端末などに情報を入れて簡単に持ち歩けるようになったことが大きな原因の1つでしょう。しかも、情報がデジタル化されたことで、持ち歩ける情報量は格段に増し、紛失した場合のリスクもそれだけ大きくなっています。

仕事などで自宅に持ち帰らなければならない状況もあるかと思いますが、情報漏えいを防ぐためには、まずはできるだけ「個人情報を持ち出さない」ことです。持ち出すとしても、端末のセキュリティ設定はしっかりと行ったうえで、個人情報を持っているという意識を強く持つべきでしょう。メールの誤送信や封入ミスなどについては、ダブルチェックを徹底するなどの対策が考えられます。

情報技術の進歩とともに、個人情報が漏えいされた場合の被害も格段に増す社会になっています。ちょっとした気のゆるみから漏れた情報が、詐欺事件などの犯罪に利用されることもあります。個人情報を取り扱うときは、皆が高い意識を持つよう徹底していきたいですね。

今回のポイント

  • 法改正後は、扱う個人情報の数にかかわらず、すべての団体や事業者が「個人情報取扱事業者」に
  • 悪意がなくても、紛失により詐欺などの2次被害が出れば賠償責任を問われる
  • 個人情報を扱うときは、その重要性やリスクをしっかり理解しよう

鈴木淳也先生プロフィール画像

Profile

鈴木淳也先生プロフィール画像

鈴木淳也(すずき・じゅんや)弁護士

弁護士法人アディーレ法律事務所所属。札幌弁護士会所属。

大学時代には山に登って地質調査をするなど、地球温暖化システムについての研究をしていた。しかし将来について迷っていた時に「困っている人を助けなさい。自分が本当にやりたいことはそれでよいのですか?」という夢を見たことから、決まっていた就職を辞退し、司法試験を目指すことに。

気象予報士の資格を持つ理系弁護士として、困っている人に寄り添う弁護活動を行う傍ら、お天気情報をブログで発信している。

気象予報士・弁護士 鈴木 淳也のOH!天気ブログ http://ameblo.jp/suzuki-junya/
アディーレ法律事務所 http://www.adire.jp/

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