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空間デザイナー 遠藤幹子さん 助けて!きわめびと もっと知りたい!フィーチャー“きわめびと”

もっとしりたい!フィーチャー“きわめびと”

「物語のある空間が、人を動かす力になる」と空間デザイナーの遠藤幹子さん

空間の“きわめびと”に聞く、人を上手に導く方法

NHK総合

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<プロフィル>
えんどう・みきこ。1971年、東京生まれ。東京藝術大学を卒業後、オランダに留学。その間に出産、子育てを経験。帰国後、住宅や店舗設計のほか、NHK Eテレ「いないいないばぁっ!」のセット、美術館や保育園などのデザインを担当。アフリカ・ザンビアでのマタニティ・ハウスの建設も継続。office mikiko 一級建築士事務所代表、一般社団法人マザー・アーキテクチュア代表理事。

視聴者からのさまざまな悩みについて、解決のヒントを探るNHK大阪発のドキュメントバラエティ「助けて!きわめびと」(毎週土曜日、午前9時30分~午前9時55分放送)。7月9日の放送では「ワクワク空間が人を動かす!」をテーマに、空間の力が人を動かすことを紹介。きわめびとには、幼児向け番組のセットなどを手がける空間デザイナー・遠藤幹子さんが登場しました。

子どもが自分から動くために、子どもの目線に立つ

 「何も言わなくても、宿題をやってくれたら…」「毎日、うるさく言わないと何もできない」という悩みは、子どもを持つ親なら誰しもが思うことです。今回、登場した相談者も、小学生の男の子2人と3歳の女の子のママ。小学生の子どもが宿題をせずダラダラしていたり、朝の準備もちゃんとできなかったり、毎日、同じことを怒りながら注意することに疲れを感じていました。

実際に相談者宅を訪ね、普段通りの生活を見た遠藤さんが最初に気づいたのは、「せめて宿題ぐらい」「せめて歯磨きぐらい」…と、子どもに言い聞かせるとき、「○○ぐらい」という言葉を頻繁に使っていることでした。
「『○○ぐらい』は、ほかはすべてダメだ、できていないと暗に言ってしまっているのと同じ。お母さんはこれぐらいやってほしい、という気持ちだと思いますが、子どもは理屈を並べても動きません。子どもがどうすれば宿題をやりたくなるのか、自分から動きたくなるのか、上からではなく、子どもの目線に立つことが大切なのです」

遠藤さん自身も、それを痛感した経験があると番組で明かしていました。
「以前、トンネルの遊具の制作を依頼され、できあがったもので娘を遊ばせてみたのです。そのときに、娘から『だましたな』と言われました。外は子どもが喜びそうなかわいい飾りつけをしていたのですが、中は、ただ真っすぐ進むだけのトンネル。子どもからしたら、ワクワクして中に入ったら何もなく、がっかりしたということです。トンネルをくぐりたい、何度もやりたいという、子ども目線で考えることが、人を動かすことにつながると実感しました」

誰もが主役になれる物語をテーマに空間を作れば、人は動く

 子どもの気持ち、子どもの目線になる、といってもどうすればいいか分からないもの。そこで、遠藤さんは「人は物語のある空間でこそ動く」という極意を伝授。
「人々が没頭できる物語を創造すること。誰もが主役になれる“装置”として空間が機能し、そこでの物語によって人は心を動かされ、自然と動きだすのです」

今回のお悩みさんの場合、まずお母さんの頭をフラットにするために、お母さん自身が自分らしくいられる空間を遠藤さんが手がけました。
「お母さんは家事や育児が忙しく、いつも自分のことを後回し。少しは、ゆっくりしたいという悩みをもっていました。一方、大自然や旅、キャンプ、リゾートなどが好きだと知り、絵本を見ながらアイデアのヒントを探したんです」
そして、遠藤さんが制作した空間が、白い天蓋(てんがい)付きのベッド。しかもそれを庭に置いたのです。
「白い天蓋付きベッドは雲、ベッドの上は緑の芝生を敷いて山の斜面をイメージ。ふわふわと空をとんで山に行き、芝生の上でのんびりコーヒーを飲んでいるという設定です。自分の好きなものに囲まれるとガミガミ言わなくなる。そして、どうしたら、子どもが自分で動いてくれるのかを考えてもらう。すると、お母さん自身が子どもにとっての物語の空間を考えるようになり、子どもの目線になる、という体験をしてほしかったのです」

遠藤さんの狙いどおり、お母さんはそれから「思わず、子どもが宿題をやりたくなる空間づくり」を考えはじめます。
そして、子どもが好きな「シューティングゲーム」と「じごくのそうべえ」(絵本)を組み合わせ、「地獄を舞台にシューティングで戦う」という物語を設定。子どもとともにその物語の空間をつくり、制限時間内に的をすべて倒したら「先に遊んでOK」、倒せなかったら「即宿題」というミッションを設けました。
「空間づくりにお子さんを巻き込んだことで、自分たちの場所、自分たちの空間という意識をお子さんが持つことができます。物語は、ひとりでは完成しないのです」

子育てをがんばるより、子どもを観察して夢中になるものを見つける

 遠藤さんが、空間の大切さを学んだのは留学先のオランダでのことだそうです。
「子どもと一緒に児童公園に出かけると、楽しくなるデザインがあちこちにあるのです。空間が楽しいと、また行きたいと思うようになる。そういうものを、自分でつくってみたいと思いました」

これまで、“お家みたいに温かい保育室”というコンセプトの保育園をデザインしたり、商業施設のベビールームなどを手がけたり。また、2007年の半年間、「箱根 彫刻の森美術館」の企画展「箱根 Art Loop」では100mの黒板迷路を手がけました。
「ただ見るだけでは感動するけれど、心に残らない。それよりも、アートの一員になれるというか、参加したり体験できるものであれば年齢や世代に関係なく、また来たいと思うようになるはず。全世代が好きなものを考えぬいたところ、“落書き”と“迷路”という遊びにたどりつき、100m続く黒板の迷路を制作。見たものを気軽に描くことでアーティスト気分を味わえ、美術作品を見るだけよりも深く心に刻まれるはずです」

自身も現在、17歳になる女の子のママ。子育てをしながら、空間デザイナーとしてのキャリアを築いてきました。
「私の子育ては、基本、がんばらないこと。これまで一度も宿題を見たことはありません。朝、起きられず学校の先生から連絡をもらって…、なんてこともありました(笑)。それでも、子どものことはしっかりと観察していました。子どもが何に夢中になるのか、どんなことを楽しいと思うのか。娘の場合、それは漫画で、好きなことならと、どんどん与えました。そのおかげで国語力や表現力がつき、調べたりレポートすることが得意になったんですよ。今だけでなく、長い目で子どものことを見ることが大切なのですね」

子どもが何を好きかわからない、夢中になるのは遊びばかり…。そんな場合も「お母さんが、がんばって見つけようとしなくていいんです」と遠藤さんは言います。
「たとえば、段ボールで空間をつくり、『自由に好きなものでうめていいよ』とお子さん自身にさせてみる。好きなもので囲まれる空間が、お子さんにとって集中できる場所になるのです。それを一緒につくることで、お子さんとコミュニケーションをとれるようにもなります。こうあるべきという価値観にとらわれず、大人も子どもも遊びを楽しむような空間があれば、必ず動きだします」

人を動かす空間づくりのまとめ

“物語”のある“空間”では、自主的に動きたくなる

“空間”とは、人の気持ちを動かすための装置

“物語”とは、リラックスできる場所やもので自分が主役になること

子ども(人)に自分から動いてもらうには、まず、子ども(人)の目線に立つ

子育てを頑張る!より、子ども(人)を観察する、そして夢中になるものを見つける

子ども(人)を巻き込んで、一緒に空間をつくりあげる

「楽しい」と思うことを大切に

7月16日放送は「虫嫌いママが大変身!」

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 「この世に虫は必要ない」と言い切る虫嫌いの2児のママに立ち向かう“きわめびと”は、プロ・ナチュラリストの佐々木洋さん。巧みな話術で自然のワンダーランドに誘う“きわめびと”が、虫嫌いのママを大変身させます。
アドレスはコチラ ⇒ http://nhk.jp/kiwamebito

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