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メンタルトレーニングコーチ 高妻容一さん 助けて!きわめびと もっと知りたい!フィーチャー“きわめびと”

もっとしりたい!フィーチャー“きわめびと”

「笑顔こそパフォーマンスを上げる力」と
メンタルトレーニングコーチの高妻容一さん

スポーツ心理学の“きわめびと”に聞く、マイナス思考の撲滅方法

NHK総合

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<プロフィル>
こうづま・よういち。1955年、宮崎県生まれ。福岡大学体育学部体育学科卒。中京大学大学院修士課程体育学研究科修了後、フロリダ州立大学へ留学し、スポーツ心理学を学ぶ。近畿大学教養部を経て、東海大学体育学部教授。スポーツメンタルトレーニング上級指導士。スポーツ心理学コンサルタント。著書に「結果を出す人のこころの習慣」など多数。

視聴者からのさまざまな悩みについて、解決のヒントを探るNHK大阪発のドキュメントバラエティ「助けて!きわめびと」(毎週土曜日、午前9時30分~9時55分放送)。7月30日の放送では「金メダルコーチ参上!マイナス思考撲滅大作戦」と題して、オリンピック選手やなでしこジャパン、さらに日本人力士として今年の初場所で優勝した琴奨菊ら、数々のトップアスリートを支えるメンタルトレーニングコーチ、高妻容一さんがきわめびととして登場しました。

どうせ、やってもダメというマイナス思考がパフォーマンスを低減させる

 “メンタルトレーニング”とは、簡単に説明すると、自分の潜在能力を発揮するために精神力を鍛えること。最近では、トップアスリートが口にすることもあり、その言葉はよく知られています。しかし、高妻さんが関わり始めた40年以上前、日本ではまだまだ認識されていませんでした。
「私が留学したアメリカでは、オリンピック出場選手にメンタルトレーニングが導入されるなど、すでに進んでいました。ここ一番で力を発揮できる、本番に強いなど、精神力はトレーニングすれば鍛えられる、という考え方。アメリカで師事した先生からも、笑うことでパフォーマンスが上がると指導を受けました。これを日本で広めようとしたのですが、追い込めば精神力は鍛えられるという考え方が主流の当時の日本では、受け入れられませんでした」
それでも、その後、徐々に取り入れられるようになり、「最初はオリンピック出場選手、そして、トップアスリートへ。最近ではスポーツに限らずビジネスや家庭生活など広く浸透しています」。

今回、番組では高妻さんが少年野球チームを指導。やる気が感じられない、試合に勝つことができない、試合してもどうせ負けるなど、マイナス思考に陥ったチームの危機的状況を救わなければなりませんでした。
「どうせ練習しても勝てない、というマイナス思考が習慣化し、パフォーマンスを制限化していたのです。マイナス思考を撲滅できれば、練習での取り組み方も変わり、試合でもいい結果を残すなど、確実にチームは変わります」

笑顔をみせることで筋肉がリラックスしたり、ポジティブな気持ちになる

 高妻さんが最初に行ったのは、お笑い芸人「とにかく明るい安村」さんを練習に呼ぶこと。「とにかく明るい安村」さんが登場した瞬間、子どもたちが笑顔になり、その場が楽しい雰囲気に変わりました。
子どもたちは、みんな笑顔。その笑顔のままボールを投げて球速をはかると、14人中12人がスピードアップするという結果に。
「顔がこわばっていると体がかたくなり、走ったり投げたりという動作がスムーズに行えないのです。笑うことで体中の筋肉がリラックスし、スムーズに動けるようになります。笑顔をつくることでポジティブな気持ちになり、プラス思考や気持ちの切り替えにつながります。結果。高いパフォーマンスを上げることができるのです」

さらに、最大限のパフォーマンスを発揮できるよう2つの方法を伝授。1つめは、“心の準備体操”「サイキングアップ」。番組では、音楽に合わせてチーム全体で踊ったり、はしゃいだりする姿が映し出されました。「音楽に合わせて動くことで、心拍数を上げたり呼吸を早める、つまり準備体操です。それをチーム全員でやることで、チームの士気を高めることにもなります」

2つめは、「チームルーティン」。みんなで同じかけ声を出す、試合前にチームで決めた動作を行うなど、集中力を高めるために必要な動作になります。

「練習や試合に入る前に、まずはサイキングアップで楽しく準備運動し、次にチームルーティンで気合を入れ、集中するという流れが大切です。試合途中や練習途中にだれてきたり、ネガティブな空気になったときは、かけ声でその場の空気を切りかえることも大切です」

厳しい言葉で伝えると子どもにはマイナスのイメージが伝わる

 高妻さんは、少年野球チームの監督やコーチにもアドバイスを行いました。
練習で、子どもたちを叱るシーンを目の当たりにした高妻さんは、「365日のマイナスアドバイスより、365日のプラスアドバイスこそ大事」と伝えます。「厳しい言葉で伝えると、子どもにはマイナスのイメージが伝わり、子どもの頭の中はネガティブな思考になってしまいます。それよりも長所をほめる。するとプラス思考になります」

チーム内でネガティブな様子を見せる子どもには、「プラス思考ビーム」をおみまい。「プラス思考ビ~ム!」と言いながら、光線を浴びせるポーズを向けるのです。
「チームにも指導者にも、いつでもプラス思考で臨むことを意識させるためのものです。ネガティブになっている子は、自分がネガティブだということに気づいていないことが多い。ビームをうけることで、気持ちを切り換えることができ、チームの雰囲気もよくなるんです。家庭生活でもプラス思考ビームを親から子、子から親に使ってみてください。家の中が明るくなり、家庭生活が円満になるはずです」

メンタルトレーニングを受けた少年野球チームは、番組後半で一度も勝ったことのない強豪チームとの試合に臨みました。結果は2点差で負けてしまいましたが、そこには、心から悔しがる子どもたちの姿が。試合に勝ちたい、次こそは勝つという、今までにない気持ちが芽生えていました。
「勝利をあきらめていたチームが、自分たちならできるという考えに変わるきっかけになったと思います。サイキングアップで盛り上がり、自分たちで決めたルーティンをすることで、チームの団結力も強くなり、集中力も格段に上がりました」

親のためにがんばる、ごほうびのためにがんばるは長くは続かない

 スポーツでも勉強でも、自分の子どもにはほかの子よりも優れていてほしいと願う親は多いもの。ただ、親がやっていいこと、してはいけないことをきちんと知っておかなければ、子どもをつぶすことにもなると高妻さんは言います。
「期待が強すぎて、結果を求めすぎると、子どもが緊張し普段の実力を出せなくなります。また、親がコーチになってはダメ。指導は監督やコーチに任せること。そして、外発的なモチベーション、たとえば合格したら何かを買うというごほうびでやる気にさせるのもやめるべきです」と高妻さん。

「親にほめてもらいたい、親のためにがんばる、もののためにがんばるという気持ちは長く続かないし、物心がつくと親にやらされていたことが嫌になり反抗することも」。また、親は子の手本。「監督やコーチ、先生の批判や批評も、子どもの前で言うのはやめましょう」とも。

「親がすべきことは、勝った負けた、成績が上がった下がったという結果について一喜一憂することではなく、その結果を出すために努力してきたプロセスをほめてあげること。過程を認めてあげることで、さらに努力しようと思うのです。負けたとき、失敗したときは、なぜ負けたのかを責めるより、相手があなたより努力したからだということに気づかせることも大事です」

夢と今やっていることのつながりを意識させる 楽しむためのヒントを

 「『好きこそものの上手なれ』という言葉がありますが、それこそまさに真理。好きなこと、楽しいことには目標を見つけることができ、目標に向かって進めばスポーツも勉強も自らやるようになる」と高妻さんは言います。

「楽しいという考え方には3段階あります。自分自身にチャレンジし、目標に向かってがんばることを楽しめる“一流”。試合での結果や記録がよければ楽しくて、だからこそ心のアップダウンも激しいのが“二流”。親の目を盗んでサボることが楽しくて、表裏ができてしまうのが“三流”。三流選手をつくらないことが、大人の責任です。やる気を出せ、集中しろと怒られても、子どもはどうやってやる気を出せばいいのか、集中できるのか分からない。怒られるのがイヤだから頑張るふりをする、となってしまいます。つまり、説教は時間のムダ。それよりも夢を聞いてあげて、その夢と今やっていることのつながりを説明するなど、楽しむためのヒントを与えてあげてほしいですね」

マイナス思考の撲滅方法

笑顔によって体がリラックスし、ポジティブな気持ちに!

365日のマイナスアドバイスより、365日のプラスアドバイスを

心の準備運動「サイキングアップ」。そしてマイナスな気持ちを切り替える「チームルーティン」

モノのごほうびより、結果を出すための努力とプロセスをほめる

説教は時間のムダ

夢と今やっていることのつながりを説明し、楽しむためのヒント与える

次回は、8月27日放送「今すぐ使える極意スペシャル」

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 これまで登場したきわめびとの中から、極意をピックアップしたスペシャル編です。
アドレスはコチラ ⇒ http://nhk.jp/kiwamebito