1. かしわトップ
  2. 街ニュース
  3. 行政ニュース
  4. 柏市 子どもの貧困対策

柏市 子どもの貧困対策

柏市 子どもの貧困対策

すべての子どもの明るい未来のために

 経済的な理由から十分な教育機会が得られないなど、自分の努力が及ばない不利な環境におかれた子どもたち。柏市は3月末、そんな子どもたちの将来が閉ざされることのないよう「柏市子どもの貧困対策推進計画」を策定しました(2017年度から5か年)。計画策定は全国でも先進的な取り組み。市こども福祉課を訪ね、井口昌洋さん、山口平さん、谷野文彦さんにとことん、聞いてきました。

 class=説明してくれたのは右から、井口さん、谷野さん、山口さん

子ども6人に1人が貧困

 厚生労働省によると、日本の子どもの相対的貧困率は16.3%(2012年)。実に子ども6人に1人が貧困ということになります。

※子ども(17歳以下の者)全体に占める、等価可処分所得(いわゆる手取り収入)が一定基準に満たない子どもの割合。その子が属している世帯の等価可処分所得を元に計算(厚生労働省資料より)。

柏市資料をもとにとことん行政編集部で作成。
各数値の年度(全国,柏市):A(2015,2015)、B(2014,2014)、C(2013年4月1日現在,2016)、D(2012,2016)、E(2011,2016)

 では、柏市の貧困の状況はどうなっているのでしょうか。子どもの貧困の背景には親の経済的な困難があります。生活保護受給者が人口千人当たり何人いるかを示す生活保護率を見ると、柏市は10.6‰で全国の17.1‰と比べて低くなっています。また、小中学生のうち、学用品や給食・修学旅行などの費用を市町村が援助する就学援助制度の支給対象者の割合(就学援助率)は、柏市は9.55%で全国の15.39%より低くなっています(図1)。これらの指標からは柏市の状況は全国の中では悪いとは言えません。

 柏市があえて計画を策定し取り組むとしたことについて、谷野さんは「生活保護受給者は実数で増えている実態もあり、今から将来にきちんと備えたかった」と話します。国が定める子どもの貧困に関する指標を見ると、柏市は「生活保護世帯に属する子どもの大学等進学率」「スクールカウンセラーの配置率(小学校)」「ひとり親家庭の親の就業率(父子家庭)」について全国数値に達していません。市の計画ではこれらの3項目を成果目標とし、その全国数値を目標値としています(図2)。

「すべての子どもたちが夢と希望を持てるまちに」と山口さん

「子どもの貧困は統計には表れにくい面もあります」と谷野さん

現場での声を拾い、計画に反映

 計画策定にあたり、子どもの貧困の実情はどうなのか、それを正しく把握することが最初の課題でした。そこで、日々子どもたちと接する保育園職員、小中学校教諭、児童センター職員や家庭児童相談員などの支援者に直にヒアリングを行いました。計画にその記録が掲載されているところがユニークです。

 「経済社会が複雑化した今は、貧困が見えにくい時代。実際に子どもと接する仕事についている人の生の声はそれを見えやすくしてくれます。職員がこまめに回って声を集めたことが、計画をまとめていくにあたって、大きな力となりました」と谷野さん。

 18歳未満の子どもがいる世帯へのアンケート調査も実施しました(図3)。回答からは、経済的困難を抱える世帯では必要な食料品が買えない、子どもを習い事に通わせることができない、といった実情が改めて見えてきます。「当たり前と思えることができない苦しさが伝わってきた」と山口さん。

【図3】支援者へのヒアリングから支援者ヒアリングの回答から抜粋(柏市資料からとことん行政編集部で作成)

内閣府「平成26年版 子ども・若者白書」から、とことん行政編集部で作成(データが欠損している韓国を除く。現役世帯とは世帯主が18歳以上65歳未満の世帯)

「ひとり親世帯の相対的貧困率は直近で54.6%とさらに高くなりました」と井口さん

子の教育支援や親の就労支援を着々と

 「親が貧困ゆえの負の連鎖を止める」。谷野さんは計画の作成では「子どもへの支援と親への支援の両輪で考えました」と言います。

 子どもへの支援では、市は早くから学習習慣の定着と学力の向上を図る学習支援事業に取り組んできました。2017年度からは対象範囲を拡大し、生活保護受給世帯などの中学1~3年生に学習会を実施するなど高校進学を支援しています。一方、ひとり親家庭などの小学5・6年生を対象にした少人数の学習指導を、民間の家庭教師派遣会社に委託し、2015年度からスタートさせています。

 親への支援では、柏市独自の「高等職業訓練促進資金貸付事業」を新たに掲げました。看護師、准看護師、保育士、介護福祉士の資格の取得を目指すひとり親家庭の親に対し、国の給付金月額10万円に上乗せする形で月額最大5万円を貸し付けるものです。資格を取得し、それを生かした職業で一定期間働くことで、返済の免除が受けられます。井口さんは「日本のひとり親世帯の相対的貧困率がOECD加盟国中最悪となったことは衝撃的でした」とこの事業の動機を語ります。これを実施する条例案は6月の柏市議会定例会に提出されました。

完成した計画を手に「貧困対策を積極的に進めるためのトータルプランです」

職員の思いが詰まった計画

 子どもの貧困対策を検討する庁内会議が設けられたのは2014年。その後全庁レベルで解決に向けての取り組みが必要と、市長を座長とし庁内17課にわたる「かしわこどもの未来応援会議」が2015年11月に発足しました。その中で1年あまりをかけて作られたのがこの「柏市子どもの貧困対策推進計画」です。

 こうした計画があるのは、千葉県内ではこれまでに県と千葉市、そして柏市だけ。ずっと策定に携わってきた谷野さんは「調査から文章作成まで職員がすべて自分たちで行いました。試行錯誤もありましたが、自分たちの思いが文章にも盛り込めたと思います」と振り返ります。

 「さまざまな部門と連携して、子どもの幸せ、親の幸せを支援していきたい」と井口さん。計画のサブタイトル「すべての子どもの明るい未来を目指して」には、その思いが込められています


問い合わせ:柏市こども福祉課 TEL:04-7167-1595

同じジャンルの記事を読む

人気記事ランキング

  1. かしわトップ
  2. 街ニュース
  3. 行政ニュース
  4. 柏市 子どもの貧困対策


会員登録・変更