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寒すぎませんか? あなたの寝室【Re Re 快適のヒミツ】

寒すぎませんか? あなたの寝室【Re Re 快適のヒミツ】

 快適な湿度や温度が住まいの居心地を大きく左右します。リフォームやリノベーションでも湿度や温度を意識しましょう。近畿大学建築学部学部長・教授の岩前篤さんに、快適な空間づくりに大切なコトを教えてもらいます。

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Lesson7

寒すぎませんか? あなたの寝室

世界の中で少数派?!日本の寝室暖房スタイル

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 ようやく涼しくなってきました。筆者は早速、風邪をひきこんでしまいました。先月末の欧州出張で、晩秋の寒さに包まれたためです。季節の変わり目、皆様もどうかご用心下さい。

 さて、欧米と日本の生活にはいろいろな違いがありますが、家の中の温度もずいぶん違うことはご存じでしょうか。

 欧米では、秋の終わりに暖房を一度入れると、次は春が来るまで暖房を切ることはありません。2、3日の旅行などで家を空けるときも暖房はつけっぱなしが基本です。

 さらに、私たちの暮らしでは暖房はリビング、寝室・子ども部屋などの人がいる空間のみを対象としますが、欧米では玄関ホールも含め、屋内全体が対象です。

 そもそも暖房の「房」は空間の意味で、暖房とはRoom heating、部屋を暖める、という意味なので、欧米のスタイルが正しいのです。私たちの生活は暖房ではなく、人が暖を採る生活なので、専門家は「採暖」と呼びます。コタツは採暖器具の代表です。コタツをいくら長く使っても、部屋の温度は全く上がりません。

 私の研究室で10年ほど前に調べたところ、関西で就寝中に暖房をつけている家庭は全体の5%程度でした。寝るときは暖房を切る、が私たちの基本です。

 国内いろんなお宅で寝室の温度を測定させていただくと、冬は北海道や東北の方が高く、気温が高い地域ほど、寝室の温度は低い傾向にあることが分かりました。

 お隣の韓国はオンドルという床下から煙で温める方式が有名です。中国にも同様の手法が用いられています。実は世界全体では、低い室温で就寝する生活スタイルは少数派といえます。

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低温環境での就寝にさまざまなリスク

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 これまでは、寝具が寒さを和らげるので寒さは感じず、省エネの生活だと考えていました。ところが近年、就寝中の温度の低さが健康障害となる事例が示されてきています。

 私たちと同じように採暖生活を基本とするニュージーランドで、低温の部屋で寝ている子供に喘息の発症率が高いこと、就寝中の室温を上げることで改善の傾向がみられるという研究結果が報告されています。睡眠時の呼吸を通じて、低温の影響が出ているのかもしれません。

 また、低温環境での就寝により頻尿リスクが高まり、睡眠の質を悪化させることが報告されています。寝室とともに、廊下・トイレの低温を原因とする屋内事故もあるようです。

 これは筆者の仮説ですが、昼間、意識が明確で、着衣もしっかりしている状態では低温の悪影響はそれほど大きくないかもしれませんが、夜間の意識おぼろで、寝間着に何かをひっかけた程度の状態では低温の影響は行動障害、血行障害につながる可能性はあるのではないか、と考えています。

 寝室を寒くなくすること、どうやらかなり重要なテーマのようです。秋深まり食べ物がおいしい季節の間に、冬の備えをしっかりしておきたいものです。

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Profile
近畿大学建築学部長・教授 岩前 篤さん

1961年和歌山県生まれ。1984年神戸大学工学部卒業。1986年神戸大学大学院工学研究科修了。同年住宅メーカー入社。住宅の断熱・機密・防露に関する研究開発に携わる。1995年神戸大学で博士号(工学)授与。2003年に退社したのち、近畿大学工学部建築学科に助教授として就任。2009年同教授、2011年に新設された建築学部の学部長に就任し、現在に至る。建築環境システム研究室で、建築物内外の温熱・湿度・空気環境とエネルギーについて研究中。

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