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ワンオペ、何それ?台湾産後ママの幸せな1ヶ月:月子中心の万全サポート

産婦を徹底的にいたわる「坐月子(ズオユエズ)」の習慣

友人に赤ちゃんが生まれて約一週間。「赤ちゃん見においで~!」という連絡がきました。えっ、生まれたばかりでしょ?大丈夫?

「うん、月子中心にいるから気軽に遊びに来て!」

「月子中心(ユエズ・ジョンシン)」というのは、出産後に入所する「産後ケアセンター」のこと。

台湾などの中華圏には、産後の女性は約1ヶ月、徹底的に静養する「坐月子(ズオユエズ)」という習慣があります。台湾には「坐月子」の専門施設が多くあり、台湾で出産した元卓球選手の福原愛さんも利用したことをブログに書いていました。

残念ながら友人が滞在している間に訪れることはできなかったんですが、後日、台北市にあるその月子中心「英倫產後護理之家」を見学させていただくことができました。エントランスからゴージャス!

台北「英倫產後護理之家」ロビー

医療機関並の衛生管理とホテルのような豪華施設

台湾では、病院で出産した後、3~5日で退院し、そのまま「月子中心」に入ることが多いんだそう。産後の体調は人それぞれなので、このケアセンターでの滞在は15日~60日まで可能で、平均は25日程度とのこと。

エントランスを入ると、来訪者はまず非接触型の体温計で体温を計測され、手にアルコールスプレーをかけて消毒を求められます。豪華なラウンジの向こうには、ガラス張りの新生児室が見えます。中には生まれたばかりの赤ちゃんがいっぱい!

台北「英倫產後護理之家」新生児室

来客は基本的にラウンジで産婦さんと面会します。新生児室は独立空調の衛生管理区域となっており、訪問者はガラス越しに赤ちゃんに会うことになっています。

台北「英倫產後護理之家」面会の様子

この施設で赤ちゃんの世話をするスタッフは全員看護師資格を持っており、3交代・24時間体制、スタッフ一人あたり最大5人の赤ちゃんまでと担当人数が決められています。これは台湾の一般医療機関の法定数よりもはるかに手厚い体制です。

産後ケアセンターは医療機関ではありませんが、複数の病院と提携しており、小児科医による定期的な訪問診察も行われているほか、必要があれば直ちに医療機関へ搬送できる体制になっています。

 

伝統の「坐月子」を支える最新のハイテク技術
産後ママを第一に考えたケア体制はまさに至れり尽くせり

「月子中心」の特徴は何と言っても「産婦さんファースト」。産後の体調回復が一番大事なので、自分の体力に無理のない範囲で赤ちゃんと接すればOKで、あとはスタッフがしっかりサポートしてくれます。

産婦さんの居室エリアへの来客は滅菌済みスリッパとマスクの着用、手指のアルコール消毒が義務づけられており、自由に入ることはできません。(旦那さんは一緒に泊まることもでき、注文すれば奥さんと同じ食事を出してもらうこともできます。)

内装はとてもゴージャス。大きなベッドが置かれた部屋は、授乳クッションがなければホテルと見分けがつきません。

台北「英倫產後護理之家」寝室

家族などが訪問したときにも産婦さんが自由にゆっくり休めるよう、ベッドルームとは分かれたリビングスペースが設けてあります(部屋タイプによります)。

台北「英倫產後護理之家」リビング

産婦さんは、赤ちゃんと会いたくなれば内線電話で24時間いつでも赤ちゃんを新生児室から連れてきてもらえます。授乳用品やオムツなどの消耗品はすべて利用料金に含まれ、もちろん自分が使いたいものを持ち込むこともできます。(搾乳した母乳も個々に保管して授乳してくれます。)

そしてなんと、我が子の様子は常に映像で確認することができるんですよ。新生児室の赤ちゃんのベッドの真上には1台ずつカメラがあるんです!

台北「英倫產後護理之家」新生児室
▲天井に付いている黒いものがカメラ。ベビーベッドを真上からいつも撮影している

しかも、旦那さんや祖父母・親戚なども専用アプリを使えばどこからでも赤ちゃんの映像が見られるというんだから驚きです。さすがハイテク先進国・台湾!

赤ちゃんモニターアプリ
▲赤ちゃんモニターアプリを使えば、スマホでいつでも赤ちゃんが見られる

スタッフによる授乳やオムツ換え・お風呂などで赤ちゃんがベッドから離れている時には、ベッドに「今ミルクを飲んでます♪」などのプレートが置かれるので安心です。

台北「英倫產後護理之家」新生児室
▲赤ちゃんがベビーベッドにいない時は天井カメラにプレートが映る配慮。この時は「おしりプリプリ中」=オムツ換え中と書いてあった

そんな訳で、産後約1ヶ月間、ここにいる産婦さんは毎日好きなだけゆっくり眠ることができるんです。睡眠って静養の基本中の基本ですもんね。

 

心と体は一体だという伝統の中医学思想
産婦さんのリラックスや不安解消を目指す

伝統的な「坐月子(ズオユエズ)」では、産婦さんは出産で失った栄養を徹底的に補う料理を食べることになっています。このセンターでも、一日3食のご飯に加え、3回のおやつが提供されます。一日の摂取カロリーは2500キロカロリーと多めですが、中医師や栄養士が監修した「少油・少塩」のヘルシーメニューなんだそう。

台北「英倫產後護理之家」のごはん
▲中医学・栄養学のプロが作ったメニューは多彩

さらに、退所後の育児がスムーズに行えるよう、新米ママ・パパ向け講座が毎日のように開かれており、自由に参加できます。(台湾のパパはとても育児に熱心で、率先して出席する人が多いんだそうですよ!)

施設内には産婦さん用のスパやヘアサロンも完備。育児講座以外にヨガ教室や趣味の講座なども開講されていて、そこでママ友ができたりも。

台北「英倫產後護理之家」のSPA室
▲エッセンシャルオイルのマッサージでリラックスできるスパ

台北「英倫產後護理之家」の教室▲さまざまな講座が開かれる教室

その他、衛生上の規定から新生児と同時入室ができない兄弟たちのためのプレイルームもあります。行き届いてるなあ!

台北「英倫產後護理之家」のキッズルーム
▲おもちゃでいっぱいの部屋。ママが赤ちゃんの世話をしている時、上の子たちはここで遊べる

また、センターを退所した後も、育児で悩んだり不安なことがあったりした場合はいつでもセンターに相談することができます。産後ケアセンターは、滞在中の体のケアだけでなく、育児教育も担っており、新米両親の頼れるサポーターなんですね。

こんなに恵まれた環境で、産後の回復期をしっかり過ごせる台湾の産婦さんは本当に幸せだと思いました。私の友人はここに約1ヶ月滞在したのですが、「すっかり体も元気になったし、育児の知識や心の準備、練習も十分できて、安心してその後の自宅生活に入れたわ!」と言っていました。

 

産後期の養生は女性の一生の健康に影響する
その重要性は中華文化の常識

「英倫產後護理之家」のケアリーダーで、看護師・助産師の資格を持つ廖淑芬さんにお話を伺いました。

女性には、一生のうち3回、体質が大きく転換する時期があります。
青春期、産後期、そして更年期です。

特に、産後期の体調ケアの重要性を、中華圏の人たちは文化の中に刻んできました。今のような施設がなかった時代、どんなに家庭が貧しくとも、産婦は絶対安静にして1ヶ月は養生するべきだとされていたのです。「坐月子(ズオユエズ)」でのケアは体質改善につながり、将来の更年期の不調を減らしてくれると考えられています。

現代では、妊娠がわかったらすぐに産後ケアセンターを探すのが常識になっています。費用も高額(ここは一泊3万円以上!)なのですが、自分の大切な孫のためにと、姑さんが利用を勧め、経済的なサポートまでしてくれるケースも多いといいます。

赤ちゃんの健やかな成長のためには、まずはお母さんが心身ともに元気であることが大前提。そんな考えがしっかり根付いていることがひしひしと伝わる台湾の産後ケアセンター「月子中心」でした。

 

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松浦優子/台湾情報ライター/漢方養生指導士・漢方上級スタイリスト/東京都港区出身の40代。元Web広告ディレクター。現在は外国人向け日本語教師のほか、台湾経済ニュースの翻訳、ライターとして活動。一年のうち1カ月以上は台湾に滞在し、台湾の文化や歴史、中医学(漢方)の養生法など、気になるテーマを探求中。インドア派、愛猫家。台湾で得た一番の宝物は、あたたかい台湾の人たちとの友情とご縁。

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