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「気」というのがよくわからないので台湾で気功を習ってみた

やっぱりわからない「気」という存在

中医学が非科学的だとか迷信だという意見を、今でも時々目にします。
特に「気」というものがそう思わせてしまっているように思います。

「気」は、生命を維持するための根本エネルギー。
ということは中医学理論を学んだから知ってはいるのですが、私自身、中医学において体を機能させている根本物質「気血水(きけつすい)」のうち、「気」はいまだにピンときていません。「血」や「水」と違って目に見えませんからね。

なので、台湾で一度真面目に「気功」を習ってみました。
「気功を習った」と日本の友人に言った時の反応は、

「え、『か○○め波』打てるようになった?(笑)」

…やっぱり「気功」ってそういうイメージですよね。私もそうでした。

台湾の有名気功団体「梅門」で気功初体験

私はいわゆるスピリチュアル系にはまったく関心がないので、今回の話もそういう方向にはいかないということを、最初にお断りしておきます。

「気功を習いたい」と言って友人に教えてもらったのは「梅門(メイメン)」という団体。台湾の李鳳山氏が開発した養生気功「平甩功(ピンシュアイゴン)」を提唱していて、台湾ではとても有名です。

そもそも「気」って感じられるのか?
「気功」をしたら体にどんな変化が起こるのか?

という訳で、3時間の入門コース、行ってみましょう。場所は台北・MRT東門駅近くの梅門の施設。

梅門徳芸文化中心▲1階は茶芸館、上階には教室や道場がある

「梅門」はかなり大規模な団体で、養生気功の推進にはじまり、武術、武術を取り入れた舞台公演、茶芸館・レストランの運営など、色々な活動をしています。

梅門レストラン料理

◎梅門公式サイト[中国語]:http://www.meimen.org

 

平甩功(ピンシュアイゴン)の動作はとてもシンプル

実は「気功」という言葉自体は比較的新しいもので、長い間「導引」と呼ばれていました。紀元前に描かれたという中国最古の「導引」の図(の復元版)はこう。

導引図
▲なんかものすごくかわいい…

つまりこれって一種の体操なんです。体を動かして気血の循環を良くし、体をほぐします。

梅門の平甩功(ピンシュアイゴン)は、自然な呼吸を維持しながら繰り返し動作を行うことによって、きれいな空気(自然の気)を体に取り込み、気血を体のすみずみまで行き届かせる、というものです。その動作は、本当にシンプル。

1. 足を平行に肩幅に開く
2. 両手を胸の前に持ち上げる
3. 両手を力を抜いた状態で前後自然に振る
4. 5回目ごとに膝をかるく二回屈伸させる

平甩功

足を平行に開くのは、気が流れやすい姿勢だからだそう。運動音痴の私にもすぐ覚えられる簡単動作です。大事なのは、力を込めず、体を常にリラックスさせ、鼻でゆっくりと呼吸を続けること。

平甩功(ピンシュアイゴン)は1セット30分が理想ですが、最初は10分からでOK。私はやる気満々だったので、コーチと一緒に30分やってみました。

 

「気」はよくわからないけど…確かに気持ちいい

平甩功(ピンシュアイゴン)をする時には、音楽+カウント&説明音声を流すんですが、どんなものか知りたい方はインターネットで「平甩功」の動画を検索してみてください。

主に腕を振り、時々足を少し屈伸させるだけの動作なので、まったく運動習慣のない私でも30分続けるのは苦になりませんでした。ただ、余計なことを考えると姿勢や動作が乱れてしまうので、途中からはだんだん無心の境地に。それがまた、なんとも気持ちいいんですよ。

30分経つと、腕の振りをゆっくりと小さくしながら(いきなりピタっと動きを止めるのは良くない)、最後は目を閉じてゆっくり呼吸するという「クールダウン(収功)」を行い、1セットが終了。

コーチによれば、「指先がじんじんとしびれる感じがするかもしれないけど、それは気がしっかり指先まで通ったことによる正常な反応ですからね」とのこと。
確かにそういう感じはするけど、あれだけ腕を振り続けたら遠心力で指先の血行が良くなっただろうしなあ、と私は思ったのでした。

梅門・沈老師
▲ど素人の私に丁寧に指導してくれた沈老師

 

ことさらに神秘性を強調しない梅門の養生気功

この入門レッスンでは、平甩功(ピンシュアイゴン)の他にもいくつかの基本の動作を教えてもらえます。でも、「ほら、エネルギーの流れを感じたでしょう?!」みたいな、超能力的な感じの話には一切ならなくてほっとしました。

30分間軽い運動を続けたことで、確かに血行が良くなった実感はあります。中医学的には「血」を循環させるのは「気」の力なので、私自身が特に感じられなくてもきっと気の流れも良くなったんだと思います。

このように、自分の体の中で滞っている気を動かすための気功は「内気功」といわれます。一方、テレビ番組などで面白おかしく紹介される、気を体外に発して人をふっ飛ばしたり、自分の気で他人の病気を治したりするものは「外気功」と呼ばれます。

梅門は、養生気功を入門とし、心身の修練を続けて武道を習得していく団体で、自分自身の鍛錬を重要視しているようです。
「まずは、平甩功(ピンシュアイゴン)を100日間続けてごらん!」とコーチに鼓舞されましたが、…すみません、三日坊主で途切れています。

子供の中国茶芸授業
▲梅門では心の修練のため中国茶道も行っている

 

はたして「気功」はインチキか?

台湾の中医師さんによると、私は長年「気血両虚」、つまり気と血が足りない状態なんだそうです。体質改善しようとずっとがんばっていますが、そう簡単には直らないんですよね…。ただ、養生を意識して生活するようになってからは、寝込むほど体調を崩すことはなくなりましたが。

「気」という見えないエネルギーを扱う気功は、確かにわかりにくく、怪しげにも感じます。今回初めて気功というものにふれたへっぽこ一般人の私が思ったことは、

●この養生気功は、血行を促進する体操として良いものだ。
●自分の健康を維持できるだけの「気」を体に満たし・循環させるだけでもとても大変。
●「外気功」で人を治療できる人が本当にいるかどうかは、体験していないからわからない。もしいるとしても、そうそう習得できる能力ではないはずだ。
●ネット等での気功批判の内容は、気功をあらゆる病気を完治させる万能の医療として、他の治療法(西洋医学など)を全て拒否するケースに対してのものが多い。
●中国思想の「気」を巡る思想は、哲学でもあり宗教(道教)との関連も強いので、どうとらえるかは自分次第。

中医学では「気」が生命維持の根源エネルギーと定義されている訳ですから、「気」がちゃんとしている=健康、はその通りです(とらえ方と表現の問題でしかありません)。でも、「気」を整えたおかげで不老不死になった人間は古来存在しないわけで、気功が万能だというのは確かに極論です。

私個人は、まずは体操のひとつとして気功を利用すればいいんじゃないかな、と思っています。気血を自分の手足の末端に送ることすらうまくできない私は、たぶん一生「○めは○波」は打てないでしょうし。

 

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松浦優子/台湾情報ライター/漢方養生指導士・漢方上級スタイリスト/東京都港区出身の40代。元Web広告ディレクター。現在は外国人向け日本語教師のほか、台湾経済ニュースの翻訳、ライターとして活動。一年のうち1カ月以上は台湾に滞在し、台湾の文化や歴史、中医学(漢方)の養生法など、気になるテーマを探求中。インドア派、愛猫家。台湾で得た一番の宝物は、あたたかい台湾の人たちとの友情とご縁。

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