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目や口の中まで迫力満点! 体の柔軟なカーブも素晴らしい「波に吽形龍図」
(観明寺旧本堂欄間彫刻)

千葉県の中心部よりやや東、長生郡睦沢町にある「睦沢町立歴史民俗資料館」には、今にも動き出しそうな龍や、柔らかな曲線の花・人物の彫刻が展示されています。
それらが彫工・島村圓鉄の作品と分かった経緯やその魅力について、久野一郎館長から話を伺いました。

長い年月をかけた汚れ落としと調査で
息を吹き返した、見事な彫刻!

22年前、千葉県長生郡一宮町の「観明寺」から「睦沢町立歴史民俗資料館」に、10数点の欄間彫刻などが寄贈されました。砂と泥で汚れていて、どんな作品で誰が作ったのか全く分からなかったそう。

「細部に注意して、歯ブラシで1本1本丁寧に掃除しました。天気や仕事の合間をみながら作業するので、職員3人がかりでも1年間で1体掃除するのがやっと。きれいになった時、硬い1本の木を彫ったとは思えない見事なフォルムが現れて、感激! これはきっと、すごい人が彫ったに違いないと調査を始めました」と久野一郎館長。

「観明寺の龍と睦沢町・光福寺の龍は似ています。〝光福寺の龍は島村圓鉄(えんてつ)作〞と鑑定されているので、観明寺の龍やほかの彫刻も圓鉄の作品ではないかと思い、5年間かけて徹底的に調査しました。やはり圓鉄作と確定した時は、うれしかったですね」

「今が一番いい状態で見られます」

約三百年前、圓鉄が観明寺旧本堂に彫刻した時は、極彩色で色づけられていました。それが今では、わずかに色が残っているだけ。

「色彩を失ったからこそ見えてくる真実があります。それはフォルムのすばらしさ。当館では、立体感や陰影の美しさが際立つよう、ライティングに工夫をしています。欄間彫刻なので、本来なら見上げる場所にあるのですが、ここではごく間近に見られます。

つなぎをせず、立体の奥の奥まで一切手抜きをしていない名人の技。神秘的で幻想的な影や立体感と、三百年後だからこそ見られる〝彫り〞の魅力を、ぜひ見て感じてください」

■睦沢町立歴史民俗資料館
千葉県長生郡睦沢町上之郷1654-1/9:00~16:30/月曜休館/入館無料/TEL:0475-44-0290
http://www.town.mutsuzawa.chiba.jp/

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圓鉄への愛情たっぷり、久野一郎館長。「見るたびに発見があります。何回見ても飽きません」と

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木目の美しさと柔らかな質感が絶妙な「牡丹図」(観明寺旧本堂向拝手挟彫刻)

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表情豊かな「漢文帝図」(観明寺旧本堂欄間彫刻)

島村圓鉄(えんてつ)とは

“江戸時代の彫工の祖”と言われる島村俊元の長男。元禄~享保5年(1688年~1720年)ごろに関東各地を遍歴して、寺院や神社の欄間などの彫刻を彫り、名人と言われていました。研究が始まったばかりの、謎の人物でもあります。
千葉県成田山新勝寺の光明堂と三重塔(いずれも国指定重要文化財)、栃木県大前神社と茨城県雨引観音楽法寺の彫り物は、圓鉄作と分かっています(それぞれ県指定文化財)。

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旧本堂の内陣にあったため保存状態も良好。右写真は、今の本堂でも欄間に使われているので、三百年前の人と同じ目線で見られます。

■光福寺
千葉県長生郡睦沢町下之郷2842
(睦沢町立歴史民俗資料館から車で3分)/TEL:0475-44-1191

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透かし彫りが見事な「寒山拾得図」(光福寺本堂欄間彫刻)

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今にもウサギが跳ねそうな「波に奔り兎図」
(光福寺旧本堂蟇股※かえるまた彫刻)

あの“波の伊八”は、3代後の弟子

島村圓鉄の3代後の弟子には、「波を彫らせたら天下一品」とうたわれた“波の伊八”がいます。伊八の代表作「波に宝珠」(写真上・1809年制作)と葛飾北斎作「冨嶽三十六景・神奈川沖浪裏」(同下・1831年ごろから制作開始)を見比べて。房総に何度も訪れていた北斎が、伊八の彫刻に影響されたことは一目瞭然!

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躍動感のある波と龍の彫刻が得意な〝波の伊八〞作「波に宝珠」(千葉県いすみ市東頭山行元寺旧書院欄間彫刻)

葛飾北斎にも影響を与えた!

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北斎の絵は、ゴッホ・セザンヌ・ピカソなどにも大きな影響を与えたと言われています。葛飾北斎「冨嶽三十六景・神奈川沖浪裏」

ココもぜひ

睦沢町・妙楽寺には、見どころが!

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■妙楽寺
千葉県長生郡睦沢町妙楽寺500/TEL:0475-43-0150
www.h2.dion.ne.jp/~myoraku/

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国の重要文化財「木造大日如来坐像」
(格子越しに拝観可)

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「千葉の自慢の風景コンテスト」準グランプリの森※2013年6月「リビング千葉」実施

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