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<健康情報>がんの転移による“せぼね”の痛み

<健康情報>がんの転移による“せぼね”の痛み

日増しに強くなる“せぼね”の痛みや腰痛、
手足のしびれ等を感じたときは、ためらわず相談を

加齢や内臓の病気だけでない、せぼねの痛み

日常診療でよくみかける、せぼね付近の痛みの原因の大半は、加齢によるせぼねの変形や、尿路結石、十二指腸潰瘍などの内臓の病気に伴うもので、症状は慢性もしくは一過性に経過します。“月単位で長引くせぼねの痛みが、週単位で強くなり、手足のしびれなどの神経症状を伴うような場合”は脊椎(せきつい)の重い病気を患っていることもあり、注意が必要です。

重い病気の1つには「転移性骨腫瘍」があります。これは、がん細胞が、最初に発生した臓器(原発巣)から血液の流れに乗ってせぼねを中心とした全身の骨に着床し、増殖する病気です。大きくなった腫瘍(骨転移巣)は、脊髄(せきずい)・骨の周りの末梢神経・骨膜などの構造物を圧迫し、痛みや麻痺(まひ)を招きます。
骨を掃除する役割の「破骨細胞」が活性化され骨がもろくなり、病的骨折を起こしたり、骨のカルシウムが血液中に動員されて高カルシウム血症が生じ、全身症状が現れることもあります。発育スピードの速い腫瘍では数週~数カ月で倍のボリュームに増大するため、これらの症状が週単位で悪化することもあります。
また”経験したことのない首筋の痛み”や”日増しに強くなる背中の痛み”、”腰痛が急に強くなり足が動きにくくなった”、“腰の痛みが長引き徐々に寝返りも打てなくなった”…といった症状も出る場合もあります。

血中カルシウム・ALPアルカリフォスファターゼ(骨代謝マーカー)の異常値を契機に、乳がん・前立腺がん・甲状腺がん・肺がん・膀胱がん・腎がん・多発性骨髄腫などの病気が診断されるケースも少なからずあります。
さらに従来、頻度が少ないとされてきた消化器などの進行がんにおいても治療経過中に骨転移が出現する例もあり、このような症状を感じた際には、ためらわずに担当医に相談してください。
診断に際しては、骨転移の評価を単純XP・MRI・CT・PET-CT・骨シンチ等の画像診断を組み合わせて行うほか、原発巣のがん腫に応じた様々な検査が必要になります。

治療は複数の診療科が共同。鎮痛剤の適切な開始も大切

治療方針は腫瘍の骨以外の臓器への広がりや、骨病変による緊急症の有無といった患者さんごとの病状や治療経過により、その内容はかなり異なってきます。
一般的には、抗がん剤・ホルモン剤などのがんに対する全身治療、骨の破壊を遅らせる薬物治療や強い症状の原因となっている病変への放射線治療、手術治療などを組み合わせます。治療は腫瘍内科・放射線治療科・骨腫瘍専門整形外科が共同してあたります。また、消炎鎮痛剤・鎮痛補助剤・麻薬系鎮痛剤や安静治療を適切に開始することも大切です。

完治を期待しにくい病気ですが、分子標的薬などの近年の新規がん治療薬の進歩により、骨転移を有していても長期間がんと共存してご自宅で生活できるケースも多くなってきています。外来での通院治療や在宅療養にあたっては、基幹病院での過不足のない積極的治療に加え、がんの管理に習熟した訪問看護師をはじめとする在宅スタッフや、がんかかりつけ医のサポートの活用も重要です。

190503Dr_Oshiro

まつやま余戸南診療所 大城辰雄 医師

「『がん』の総合診療にも取り組んでいます」
九大フィル出身・オペラえひめ管弦楽部門所属

リビングまつやま 2019年5月3日号より転載

こちらからもリビングまつやまも読めます

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