1. えひめトップ
  2. くらしの情報
  3. <健康情報>胆嚢(たんのう)を取っても大丈夫ですか?

<健康情報>胆嚢(たんのう)を取っても大丈夫ですか?

<健康情報>胆嚢(たんのう)を取っても大丈夫ですか?

基本的には、ほぼ問題はないものの、
対象となる疾患と合併症のリスクを考慮し、検討を

脂肪の消化吸収に必要な胆汁を濃縮・貯留する「胆囊」

まず胆嚢とはどのような臓器か、ご存知でしょうか? 胆嚢は肝臓で作られる胆汁を肝臓から十二指腸へ導く細い管の途中にある袋のような臓器です。胆嚢は胆汁を濃縮して溜めておき、食事を摂ると収縮して十二指腸内に胆汁を排出する作用があります。
胆汁とは肝臓で作られる液体で、脂肪の消化吸収に必要なものです。そのほとんどは水ですが極少量の胆汁酸を含み、1日に約500〜1000mlほど産生されます。

胆嚢を切除する手術を胆嚢摘出術(胆摘)といいます。胆摘には腹腔鏡を用いた「腹腔鏡下胆嚢摘出術」と開腹による「開腹胆嚢摘出術」があります。前者ではポートと呼ばれる小さい穴をおなかに数個開けて、そこから鉗子(かんし)等を入れて胆嚢を切除します。傷が小さく体への負担が少ないため、通常は術後数日で退院可能です。最近ではこの術式による治療が多いですが、高度な炎症を伴う例や開腹歴がある例では後者になることもあります。

 

胆囊の摘出対象の疾患は胆石症、胆囊ポリープ、胆囊癌など

胆摘の対象となる疾患で最も多いのはいわゆる「胆石症」です。胆石は日本人の約5%が保有するとされている非常にポピュラーな疾患です。胆石症を起こしやすい食生活習慣として1日の摂取総カロリー数の過剰、炭水化物、糖質、動物性脂肪などの過剰摂取や身体活動の低い生活、夜間の長時間にわたる絶食などが報告されています。逆に果実や野菜、ナッツ、多価不飽和脂肪酸、植物性蛋白質、食物繊維、カフェインなどの摂取、適度な飲酒、適度な運動などが胆石症を起こし難くするとされています。
胆石症の全ての症例が胆摘の対象となる訳ではありません。無症状のものは基本的に経過観察(1年に1回の腹部超音波検査など)で構いませんが、何らかの症状を有する場合や観察が困難な症例では、胆摘を行うことが推奨されています。

「胆嚢ポリープ」もよく見られる疾患ですが、小さいものであれば胆摘の適応はありません。サイズが10mm以上のものや茎の部分が大きいもの、増大傾向が認められるものは悪性化のリスクがあるため胆摘を検討する場合があります。
他に胆嚢壁が分厚くなる病気として「胆嚢腺筋症」や「慢性胆嚢炎」などがあります。いずれも経過観察で良い場合が多いですが、症例によっては将来的な悪性化のリスクを考慮して胆摘を勧める場合もありますので、かかりつけ医や専門医の判断を仰いでください。
「胆嚢がん」は前述の疾患と異なり可能ならばぜひ胆摘をすべき疾患です。しかしながら他臓器への転移がある場合や局所への浸潤の具合によっては不可能な事もあります。また手術をするとしても腹腔鏡ではなく開腹手術が基本です。

では胆摘をするとその後はどうなるでしょうか。胆嚢がなくなると濃縮されない胆汁がダラダラと十二指腸へ持続的に流れる状態となります。そのため脂肪に対する消化吸収が一時的に減退して下痢を起こすことがあります。これは個人差がありますが、大体3カ月前後で改善されることが多いです。よって基本的には胆摘をしても日常生活に問題となることはほぼありません。ただし胆摘にも少ないながらも胆管損傷や出血、他臓器損傷などの合併症を起こすリスクがありますので、適応をよく検討する必要があります。

191004Dr_yokota

松山赤十字病院 第一肝臓・胆のう・膵臓内科部長 横田智行 医師

胆道学会指導医、膵臓学会指導医、肝臓学会専門医
「メタボにならないように努力しています」

リビングまつやま 2019年10月4日号より転載

こちらからもリビングまつやまも読めます

同じジャンルの記事を読む

この記事が気に入ったら公式アカウントをぜひフォローしてね。おすすめ記事をダイジェストでお届けします。

人気記事ランキング

  1. えひめトップ
  2. くらしの情報
  3. <健康情報>胆嚢(たんのう)を取っても大丈夫ですか?

松山百点 伝統、文化、歴史をテーマに

松山百点 伝統、文化、歴史をテーマに

電子ブックを読む



会員登録・変更