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【茨木市教育長インタビュー】茨木版授業スタンダードに沿い、主体性を育む授業を実践

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茨木市教育長
岡田祐一(おかだ・ゆういち)さん

小学校では2020年度から、中学校では2021年度から、新学習指導要領が施行されます。そこで、茨木市の教育長・岡田祐一さんに、本紙の教育コラムニスト・兵庫將夫さんがインタビュー。今回の改訂の狙いと、特徴的な取り組みについて聞きました。

次期学習指導要領で教育の何が変わる?

- 今回の学習指導要領のテーマともいえる、〝主体的、対話的で深い学び〟をどう考えますか?

茨木市では、平成20年度から、3年間を1つのサイクルとしてプランを策定し、現在は〝茨木っ子グローイングアッププラン/一人も見捨てへん教育〟に取り組んでいます。その一環として、平成24年度には、すべての教師の授業の指針となる、子どもたちの主体性を育むための〝茨木版授業スタンダード〟を定めました。
内容は、すべての児童生徒に個人として目標を立てるように指導し、その目標達成のために何が必要かを自分自身で考えさせます。次に、隣の席の児童生徒やグル―プで考え、学び合うというものです。

- すでに次期学習指導要領の目指すところに対する取り組みの形ができているということですね。

はい。今後もその蓄積を深めていきたいと思っています。
この学びの形を中学校でも広げていきたいんです。中学校も経験の浅い教員が増えてきています。若い人たちを鍛えていくためにも、〝茨木版授業スタンダード〟は力になると。実際に今の若い先生方も、ある意味昔の教育を受けていますので、そうじゃないやり方を学んでもらって、子どもたちのいろいろな考え方を受け入れて、授業を組み立てていくことが大切。文部科学省に言われたからやる、というのではなくて、これからの時代を生きていくには、これがすごく重要になるかなと思いますね。指示待ちの人間ではもう通用しませんので。自分で考えることは非常に大事なことなんです。

- 若い教員の方を育てていく仕組みも整っているんですね。

そうですね、このほか、茨木市教育センターで教員向けの研修をかなり組ませてもらっていますので、参加してもらう時間を保障したい。今まで、忙しくて研修に行くのまではちょっと・・・という感覚の先生方もおられたんですけれど、やはり各学校でこれは責任を持って送り出してもらう。とりわけ若い先生方には参加してもらいたいですね。リーダーとなる先生にはここで得た研修の内容を学校に広めていただく。
それとこれは非常に特徴的なのですが、茨木市には〝特色ある学校づくり交付金〟という制度があります。各学校で、年度ごとに例えば、本年度は国語を徹底的にやりたいということであれば、国語専門の、例えば大学の講師を呼んでくるといった使い方ができます。教科ではなくても、生徒指導をしっかりとやりたいなら、そこに必要なお金を使う。学校が、自由にやりたいことについて申請してもらえれば、中身は精査しますが積極的に交付します。そういう環境も作っています。

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インタビュアーは教育への知見が深い、元天王寺高等学校校長、現大阪工業大学特任教授の兵庫將夫さん。リビング新聞とリビングWebで連載コラム「元校長先生の教育ウオッチ」を執筆中です

- 今回の学習指導要領では、3・4年生から外国語活動、5・6年生で教科授業が始まります。保護者の中でもこのことは非常に話題になっているようです。茨木市の英語教育について教えてください。

英語教育は〝聞く・話す〟という面が重要になります。茨木市では、すでに前倒しで、平成30年度から小学校3・4年生は35時間、5・6年生は70時間、英語学習を組んでいます。ただし、1コマの授業として増やしてしまうと、子どもたちの負担が大きいので、10分、15分といった短時間のモジュールで、繰り返し英語に触れられるようにしています。また、ネイティブイングリッシュティーチャーを保育所、幼稚園、小学校、中学校に派遣しています。これは大変好評ですね。

SONY DSC対談は、茨木市庁舎内の教育委員会の一室で行われました

地域や家庭が学校を支える大きな力に


- 学校だけでなく、地域の力を借りたカリキュラムマネジメントという考え方が広まっています。茨木市では地域と学校との連携をどうとらえていますか?

茨木市では古くから、学校や子どもたちの教育を地域が見守ってくれている土壌があります。例えば学校の施設が壊れたりすると、地域から声が飛んできます。「先生、校舎のここが壊れてるから、なんとかしてやって」と。子どもたちを〝地域の子ども〟として見守ってくれていて、非常に心強いです。
文部科学省の推進事業で、「放課後子ども教室」というものがありますが、これも茨木市は積極的に推進しています。学童保育とはまた違って、すべての小学1年生から6年生まで利用できます。運営は小学校の空き教室で行っていることが多いですね。こういう取り組みにも、全小学校区(32校区)で地域が主体的にかかわってくれます。茨木市には大学が多いので、大学生のボランティアを募って、地域に来てもらい講習や講座を受け持ってくれているところもあります。


- 最後に、家庭で主体性を育てるために、保護者ができることはありますか?

忍耐力や最後まで粘り強くやり抜く力、社会性、意欲、自制心、創造力・・・。どれもとても大切な人間の資質です。この資質を〝非認知能力〟と呼びます。非認知能力は乳幼児の頃の過ごし方が大切であるとされています。家庭での教育はとても大切なんですね。学び合うことや学問を究める力は、非認知能力によって育まれていきます。ぜひこの非認知能力をさまざまな体験や”認めてあげる言葉かけ”を通して育ててあげてほしいと思います。
2020年度から、新たな大学入試が始まります。学習指導要領も変わっていきますし、これに対応できる、非認知能力を含む総合的な力を、中学3年生までにつけてあげたい。総合力があれば、知識は子どもたち自身でどんどん獲得していけますから。

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