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【高槻市教育長インタビュー】言葉の関係性に注目し、立体的な授業を組み立てる

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高槻市教育長
樽井弘三(たるい・ひろみ)さん

小学校では2020年度から、中学校では2021年度から、新学習指導要領が施行されます。そこで、高槻市の教育長・樽井弘三さんに、本紙の教育コラムニスト・兵庫將夫さんがインタビュー。今回の改訂の狙いと、特徴的な取り組みについて聞きました。

次期学習指導要領で高槻市独自の教育とのリンクは?

- 今回の学習指導要領のテーマともいえる、〝主体的、対話的で深い学び〟をどう考えますか?

私は、〝学びの質〟にこだわっていくということが重要になると思います。
知識の量は一定量必要です。ですがその知識を知識として単独で持っているのではなく、新たに得た知識を、それまで得てきた知識や経験と結び付け、広げていける能力をつけることが、学びの質にこだわる、ということだと思います
その上で、〝主体的、対話的で深い学び〟を、関係性でとらえるべきだと考えます。つまり、〝主体的〟とは、自分の将来やキャリアなどの関係性。〝対話的〟とは、仲間や教師との関係性。〝深い学び〟とは、知識と知識の関係性。これからの教師には、そういう視点からの授業づくりがいかにできるか、いわゆる〝授業マネジメント〟力が問われることになります。

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インタビュアーは教育への知見が深い、元天王寺高等学校校長、現大阪工業大学特任教授の兵庫將夫さん。リビング新聞とリビングWebで連載コラム「元校長先生の教育ウオッチ」を執筆中です
- 高槻市では、平成28年度から、市内の全公立小・中学校で連携型小中一貫教育を実施しています。

義務教育という枠組で、一貫した指導を丁寧に行うため、9年間を見通した教育計画を編成しています。また、学年の区分を、4年、3年、2年の3つのステージに分け、区分ごとの目標を設定しています。ポイントは、小学5年から中学1年の部分です。小学5・6年生というのは年齢的に思春期にさしかかり、学習内容も難しくなります。学級担任1人がすべての教科を担当するのは困難さを伴います。そういう意味で小学5・6年生の課題は、学習指導プラス生徒指導とのリンクですね。高学年の授業で教科担任制を全部ではなくても入れることができたらとは考えています。児童の興味関心も深められますし、教員も同じ教科をずっとやることによって蓄積ができますから。

- 小学校から中学校へのいわゆる〝中1ギャップ〟の解消にもなりますね。

緊張感がややゆるむことで、ギャップの解消には役立つと思いますが、子どもの成長を考えると、適切な段差は必要です。小学校から中学校へ学習的にはちょっとした段差があることは実感してもらいながら、1つずつ成長できるような仕組みが必要だと思います。
これとは別に、小学1年生から6年生まで35人以下の学級編制を実施しているのも高槻市の特徴です。小学1・2年生は文部科学省と大阪府で定められている制度ですが、3年生から6年生までは、市が独自で行っています。35人以下、ということはその年に36人の児童がいたとしたら、18人の学級を2つつくるということですから。実際最も少ないところで、1クラス18人という学校もありますよ。この施策により必要となる教員は、毎年40人を超えています。高槻市が採用し、給与等も市が負担しています。

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- 今回の学習指導要領では、3・4年生から外国語活動、5・6年生で教科授業が始まります。保護者の関心も高いようですが、高槻市ではどのような取り組みを?

先行的に小学1年生から導入しています。1・2年生は外国語に親しむということで、週に30分程度、大阪府が制作した教材を活用しています。5・6年生での外国語活動を3・4年生に前倒しし、5・6年生には教科化を見据えて、外国語活動を年間70時間実施しています。
このほか、英語教育にかかわる支援員を全小学校に派遣して、英語の授業サポートや教材作りのサポートも行っています。

地域や家庭が学校を支える大きな力に


- 学校だけでなく、地域の力を借りたカリキュラムマネジメントという考え方が広まっています。高槻市では地域と学校との連携をどうとらえていますか?

地域の声を聞き、学校運営にかかわってもらうことが、これからの〝開かれた学校づくり〟には欠かせません。
高槻市では平成25年度から、保護者や地域との「横の連携」を生かした、特色ある学校づくりを進めています。各中学校区では、校区の教育目標を達成するためのグランドデザインを作成しています。中学校区の校長間で話し合い、学校評議員、地域教育協議会等での意⾒を聞きながら、1校あたり50万円の範囲で、課題の克服に向けた特色ある事業を計画します。
教育委員会で中学校区ごとにヒアリングをし、校長にプレゼンもしてもらいます。こうすることで、校長の「ヒト・モノ・カネ・情報・時間」の総合的なマネジメント⼒も鍛えられますし、意識も変わっていきます。


- 最後に、家庭で主体性を育てるために、保護者ができることはありますか?

私たちは子どもたちを大人にしていかなければならないわけです。そうしないと、この社会は存続しません。では、大人にするってどういうことなのかと考えると、やはり社会に出たときに必要な学力をつけることが1つ。
もう1つは、人との関係性を構築できて、相互依存できる能力というのでしょうか。相互依存って非常に高度な能力だと私は考えていて、〝どこで折り合いをつけるか〟を図れる力なんです。幼稚園頃から小学校低学年にかけては、おもしろくないけれども、ちょっと知的な作業を一定時間じっとしてできるような、非認知的な力を身につけるのに良い時期です。非認知的な能力は、コツコツと学んだり、忍耐強く調べたり、実験したりできる能力につながります。ずばり、学力をつけるために立ち向かえる能力になるんですよ。ぜひ家庭で、地道に努力し続ける機会を作っていただけたらと思います。

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