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【吹田市教育長インタビュー】多面的・多角的に考える能力を鍛える授業に

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吹田市教育長
原田勝(はらだ・まさる)さん

小学校では2020年度から、中学校では2021年度から、新学習指導要領が全面実施されます。そこで、吹田市教育長・原田勝さんに、本紙の教育コラムニスト・兵庫將夫さんがインタビュー。今回の改定の狙いと、特徴的な取り組みについて聞きました。

次期学習指導要領で授業はどう変わる?

- 今回の学習指導要領のテーマともいえる、〝主体的、対話的で深い学び〟その目的は?。

来るべき〝超スマート社会〟では、課題に主体的に向き合って関わり合い、膨大な情報から自ら問いを立て、その解決を目指す能力が必要になります。
今後30年、40年経ったときに予測できないものに対応するには、やはり、子どもたちが主体的・積極的に物事に関わり合いを持って、解決していく。単に効率的に解ければいい、ということだけではなくて、膨大な情報から何が重要であるか自分で判断して、話し合い、解決を目指す、そういう新たな価値を目指していくことが必要ではないかと考えます。目指すべきゴールは、子どもたちに、自分の持つ可能性を最大限に発揮して、より良い社会と幸福な人生を自らつくり出していける力をつけてあげることです。

- 具体的に授業はどう変わっていくとお考えですか?

作文を例にとってみましょう。休みの日のできごとについて書いた作文を題材に「伝えたいことが正しく相手に伝わるものになっているかどうかを確かめる」といった授業を思い浮かべてください。先生が子どもの文章を添削する従来の方法もありますが、主体的・対話的で深い学びを意識した授業では、子どもたちが互いの文章を読み合い、意見を交換し合う中で学んでいきます。読み返すときには、どこにポイントを絞ってよむとよいかということについても、自分たちで話し合います。どこが伝わりにくいのか、どこをどう直せばよいか、また、どのような情報を足せばよいのか、お互いにアドバイスをしあう中で学んでいきます。

- 義務教育はどう変化すると思いますか?

知識を教え込む、暗記させるという講義型の授業ではなく、これまでの学習で得た知識や経験を、教科の枠を超えて活用し、今目の前にある新しい課題をどのように解決に導いていくのか、ということについて、自分自身と向き合ったり、他者と対話をしたりするなかで、多面的・多角的に考えていく授業を進めていくことになります。本市においても、ICT機器等も効果的に活用しながら、教職員の授業改善を推進し、主体的に学ぶ児童・生徒を育成することを目指していきたいと考えています。

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インタビュアーは教育への知見が深い、元天王寺高等学校校長、現大阪工業大学特任教授の兵庫將夫さん。リビング新聞とリビングWebで連載コラム「元校長先生の教育ウオッチ」を執筆中です

英語教育の先進的な取り組みについて

- 吹田市には「千里みらい夢学園」での積極的な外国語活動の取り組みがあると聞いています。

平成23年度に開校した施設分離型小中一貫教育校が「千里みらい夢学園」です。小学校6年間と中学校3年間の義務教育9年間で、効果的に学びを深めていくことに取り組んでいます。小学1年生から5年生を「基礎・基本の徹底」、小学6年生と中学1年生を「連続性を意識した指導」、中学2年生と3年生を「進路を見据えた指導」とした、5・2・2のシステムです。
これを皮切りに、年次的に文部科学省の教育課程特例校制度を活用し、全小学校が小学1年生から外国語活動を実施しています。平成30年度は、1・2年生が年間10時間、3・4年生は20時間、5・6年生は50時間実施しています。平成32年度からの、3・4年生35時間、5・6年生70時間を見据えて準備を行っているところです。

- 英語は4技能の習得が求められていますね。

小学校では、「聞く・話す力を高めること」が重視され、これまでと同様に英語を聞いたり、話したりする活動をたくさん行い、英語を積極的に話そうとする姿勢が求められます。5・6年生では、読んだり、書いたりすることも加わり、コミュニケーションを図る資質・能力を育成することを目標としています。
小学生に対しては、英語のしかけが2つありまして、1つは夏休みのイベントで、小学4年生を対象とした〝すいたえいごkids〟。もう1つは、EXPOCITYにある「OSAKA ENGLISH VILLAGE」と提携し、吹田市独自のコースで小学6年生が英語を体験するというものです。

中学校に関しては、来年度実施の全国学力・学習状況調査では、英語で「話すこと」に対する調査が実施されることなどからも、今後ますます「聞く・書く・読む・話す」の4技能をバランスよく身につけることが必要になります。英語科教員が英語指導助手の協力を得ながら、英語での授業を充実させていかねばなりませんね。

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地域や家庭が学校を支える大きな力に

- 学校だけでなく、地域の力を借りたカリキュラムマネジメントという考え方が広まっています。吹田市では地域と学校との連携をどうとらえていますか?

校長がリーダーシップを発揮し、保護者や地域に信頼される、開かれた学校づくりをすることはもちろんですが、教育力向上のためにも、保護者や地域の方々の力は不可欠です。すでにいずれの地域も、学校や子どもたちの教育への関心は高く、協力体制も整っています。
これからも「みんなで見ていく、守っていく」という意識で、学校に、そして子どもたちに関わっていただけるとありがたいです。具体的には、地域教育協議会をベースに「子どもとともに」というスタンスのもと、地域の合同災害訓練に参加いただいたり、あいさつ運動等の見守り活動に取り組んでいただいたり、積極的な参画意識を持って、まさに〝学校の一員〟〝地域の一員〟として、これまでに引き続き教育活動のさらなる充実に向け、ご協力をお願いしたいと思っています。

- 最後に、家庭で主体性を育てるために、保護者ができることはありますか?

何でも先取りしてストップをかけたり、正解を示してしまうのではなく、〝まずは自分で考えてみる〟という場面をつくることは大切です。子どもの判断は未熟で、「失敗するのでは」と心配なこともあると思いますが、社会に出るまでにたくさんの失敗を経験し、苦難の乗り越え方や問題の回避の仕方を学ぶことも重要です。「自分で考えなさい」と、本人任せで放っておくのではなく、成功も失敗も経験させてあげられるような程よい距離感で見守っていただくと良いのではないでしょうか。

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