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【摂津市教育長インタビュー】正解ではなく、納得解を導く授業を

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摂津市教育長
箸尾谷 知也(はしおだに・ともや)さん

小学校では2020年度から、中学校では2021年度から、新学習指導要領が全面実施されます。そこで、摂津市教育長・箸尾谷 知也さんに、本紙の教育コラムニスト・兵庫將夫さんがインタビュー。今回の改訂の狙いと、特徴的な取り組みについて聞きました。

次期学習指導要領が教育を変える?

- 今回の学習指導要領のテーマともいえる、〝主体的、対話的で深い学び〟をどう考えますか?

子どもたちが授業の終わりに、「次の時間はあんなことがしてみたい」「○○さんのやっていたことに次の時間は挑戦してみたい」と感じることができる、次回の授業への意欲がわくような学びですね。大切なことは、〝正解のある課題に取り組み、知識・技能を身につけること〟ではなく、子どもたちが議論していくことで、正解ではなく、納得解を引き出す取り組みをいかにつくるかにあると思います。新たな知識を既存の知識と結び付けて、学習や生活面で活用する、能動的な能力をつけていくことが求められています。

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インタビュアーは教育への知見が深い、元天王寺高等学校校長、現大阪工業大学特任教授の兵庫將夫さん。リビング新聞とリビングWebで連載コラム「元校長先生の教育ウオッチ」を執筆中です
- 今、なぜこのような学びが必要とされているのでしょうか。

教科横断型で、いろいろな教科で学んだことを一つにして、総合的な学習としての時間を取り組んでいこうという取り組みが、平成10年度の学習指導要領でいわれました。あれから20年近く経ちますけれど、なかなかそれがうまくいってないということが一つの要因です。ただ小学校、中学校はすでに、総合的な学習の時間が入ってきたときに、課題解決学習を取り入れて、班で話し合うとか教えあうというような取り組みがすでに進んでいます。そういう意味では、主体的な深い学びと言われたからといって、何か急に変わることはないかもしれません。むしろ、今までの取り組みを、よりしっかりと取り組んでいくことが必要だと感じています。

- 学校支援について教えてください。

摂津市は自治体規模が小さいのですが、逆に小さいからこそ他市にはできないことができるということもあります。
例えば、5年前からは、校長先生に2月の時点で学校経営計画を作ってもらっています。その内容を協議員さんに見てもらって、意見ももらいます。そうして完成したものを、教育委員会の委員の前で、校長にプレゼンをしてもらうんです。これをうけて、6月から秋ごろまでに、全学校に教育委員会が足を運んで、校長の計画通りに進んでいるか、現状はどんな感じかを見させてもらいます。実際に見ると、そこでまた質問もでるんですね。このような取り組みを全学校で行っています。

- 平成30・31年度文部科学省国立教育政策研究所 「魅力ある学校づくり調査研究事業」の採択を受けておられます。

今日(取材は2月)も、高知県から視察に来ているんですよ。
これまで不登校の取り組みというと、不登校になった子どもをどうするかということが主だったんです。学校に来られなくなったらどうするか、家にいる子どもにどうアプローチするのか、家庭訪問したり、スクールカウンセラーなど専門家をお願いしたり、セラピストを紹介したり。そういうことがメインだったんです。けれど、摂津市では、不登校状態にある子どもたちへの学校復帰の支援は継続しますが、新たに不登校状態になる子どもたちを出さないような学校・学級づくりをしようじゃないかと。それこそ〝魅力ある学校〟の姿ですよね。考え方を変えると、これまで、不登校対策は難しいと思っていたことが、魅力ある学級運営をするにはどうすればいいのか、という方向に考えを変えれば、先生方も階段を上っていきやすいんだと思います。
不登校の大きな要因とされているいじめも、いじめる側よりも、何もしない側、サイレントマジョリティーが圧倒的に多い。「そんなことするな」という声があがらないことで抑制がかからないことが問題なんだと思います。ということは、サイレントマジョリティーをなくしていけば、いじめもなくなるわけですよね。

- 確かにそうですね。でもどうすればサイレントマジョリティーを減らすことができるでしょうか。

ほめることです。それも部活動で優勝したからとはではなくて、普段の何気ない行為を先生が見つけてほめる。下足箱を子どもたちみんながきちんと並べていれている。その写真を先生がとって、廊下に掲示して言葉をつけて賞賛するとか。あるいは一人で一生懸命掃除をしている姿を写真にとって、賞賛する。普段の何気ないこと、というところがいいんです。普通にいうと当たり前のことなんですけれど、それをきちんと評価することで、子どもたち自身に、自信をもたせること。われわれは「価値語」といってるんですけど、それをずっと廊下などにはって、あるいはそれがどんどん進んで、子どもたちのノートもきれいにかいている子は、それを写真にとって評価する。そういう取り組みが、市内の中学校で始まっています。本市は二小一中ですので、その取り組みを小学校でも同じようにやり始めています。いい取り組みはこのように相互に波及するんです。

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英語教育の今と家庭での主体性の育て方

- 3・4年生での外国語活動や5・6年生での授業化も話題ですが、摂津市での取り組みは?

小学1年生から、教育委員会の「ドリーム」という教材を導入して、1年生から6年生まで外国語活動に取り組んでいます。また、ALT(外国語指導助手)にも入ってもらっています。教員のためには、英語指導の専門家に月1回ぐらい各学校に回ってもらい、指導助言をいただいています。一緒に授業をした上で、先生に助言をしていただくというようなサポートですね。中学校では、先生とのコミュニケーションを英語ではかることで、先生の英語力アップにもつながっているようです。
いずれにしても、英語教育では、相手が伝えようとしていることを、情報を類推しながら理解しようとする態度を育てるような授業へと変えていくことが必要と感じています。

- 最後に、家庭で主体性を育てるために、保護者ができることはありますか?

子どもが成功・失敗を経験したときに、「なぜそうなったのか」と問うことで、自らの行動を振り返り、自主性を育成することができます。ご家庭では、子ども自身に考えさせるシーンをつくることを意識してみていただくといいのではないでしょうか。

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