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親が住む実家、キープが正解? それとも売った方が正解?

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親が亡くなってからではもう遅い? 

最近とみに報道されている、空き家問題。現在は両親が健在でも人ごとではありません。事前に相談していなかったばかりに、売却に手間が掛かったり、余計な税金を払う羽目になる可能性も。はたしてどのように実家を取り扱えばいいのか、ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに聞きました。

田舎の実家、売れるなら売るべき!?

——自身は東京など都市に住み、田舎の実家をどうするか悩んでいる人が増えています。

風呂内) 悩ましいところですね。とはいえ、放置していても進展はありませんから、親御さんが健全なうちに話し合いをしていった方がいいですね。

——ずばり聞きますが、田舎の実家は売った方がいい、それともキープ、どちらが正解でしょうか?

風呂内) 少なくとも「売る」あるいは「賃貸に出す」ための情報収集はしておいた方がよいですね。この件で相談を受けたケースがあるのですが、ご両親が他界されて空き家になった場合、とにかくメインテナンスの費用が掛かるそうです。

——メインテナンスですか?

風呂内) 屋根の修繕や庭木の剪定など結構な費用が掛かる、と。また実家が遠方だと交通費もかかり、数ヶ月に1度、プラス10〜15万の出費だとか。それでいて夫が定年退職するまで当分は住まない(住めない)のですから、かなりの費用負担になります。また、場所と建物によって変動しますが、固定資産税も一般的な3LDK〜4LDKのお宅で年10〜20万円払わなければいけません。

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住まなくなると、家の傷みが進み思わぬ出費も 

——なるほど、それは家計を圧迫しますね。

風呂内) ですので、ある程度親御さんがご健在のうちに、売却も視野に入れて相談をした方がいいと思います。なぜなら、実家に限らずマイホームを売却した場合は、譲渡所得から最高3,000万円の特別控除を受けることができます。ただ、それには条件があるんです。

——条件とは?

風呂内) まず、住まなくなって3年目の12月31日までに売却すること。さらに家屋を取り壊した場合は、取り壊しから1年以内に売却する契約が締結されている必要があります。

この特別控除は、マイホームの所有者が受けられる特例なので、既にお子さんが実家を離れていて親が亡くなった際に売却するという場合などは、すぐには利用できません。居住していることが条件なので、相続後にもらい受けた場合などは、そこに住まないと上記の条件は適用されない可能性が高いのです。

たとえば、介護施設に親御さんが入居するために空き家となることで売却を考える場合は、

・建物をすぐに壊さないこと
・売却は親が自宅を離れて3年以内を目処に行うこと

などに注意を払った方がいいと思います。そのため自宅の売却は親御さん自身が判断できるうちにしっかり話し合っておいた方が良いでしょうね。

賃貸に出すという方法もある

−−売る以外に何か手はありませんか?

風呂内) たとえば実家がそこそこ都会にあり駅に近い、広さや環境が良好、実家がマンションという場合には、賃貸に出すということも考えられます。

シンプルに考えれば、修繕費用やリフォームなど賃貸で貸す際のコストよりも家賃収入が見合えば良いわけです。賃貸に出しながら売却先を探すということも可能です。

−−住んでいる人がいても、家を売れるんですか?

風呂内) 資産運用目的で居住者がいても物件を探して購入する大家さんも案外います。立地条件等もありますので、ケースバイケースではあるのですが、現在いる居住者が契約切れで退去したら、その大家さんがリフォームして賃貸にするといった形ですね。

物件の間取りなどを持って、地域の不動産屋に相談に行くと良いでしょう。家賃の査定や賃貸の代行契約などを行なってくれます。相談に行く前に、インターネットなどで相場を確認しておくと、貸し出し賃料の希望額を伝える目安にもなります。

民間の不動産会社以外だと、自治体で「空き家バンク」という取り組みをしているケースもあります。その地域への移住・定住を目的とする借り手・買い手を見つけてくれる制度のため、長期で賃貸を継続したい場合には、並行して検討するのも良いですね。

また、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構(JTI)を利用すると、通常の家賃相場の8~7割程度の家賃になりますが、家賃保証で賃貸に出すことができます。50歳以上のシニアのマイホームが対象で、最長、終身にわたって借り上げてくれます。毎月の家賃収入は少なくなりますが、人の入れ替わりなどに一喜一憂しなくて良いメリットがあります。3年間の定期借家契約のため、3年毎に再び住む、売却するなどの選択もできます。

賃貸にしている間は家賃収入が入り、また家を処分するという手間もなくなりますので、検討に値する方法だと思います。

リバースモーゲージ制度で現金化も

風呂内) また「もう子どもは別の場所で家を買ったから、親の代でこの家に住むのはおしまい」という状況なら、自宅を担保に融資を受け、亡くなったら担保にした自宅を売却して融資を返済する「リバースモーゲージ」という制度があります。親世代にとっては相続発生時に自宅を処分でき、生活費のほか旅行や趣味の費用として使える現金が手元に入るメリットがあります。

融資額は、自宅の物件評価額の6〜7割にさらに金利分を差し引いた金額が一般的です。

注意点としては、マンションでは利用できず、戸建てのみ利用できる金融機関が多いこと。
また借入額以上に物件の価値が下がってしまった場合などに、融資が停止になったり、返済が必要となるケースがあることです。
そういったリスクもあるので、生活費は貯金でまかなえ、プラスアルファのゆとりを求める状況のみで検討するなど、慎重に利用することをおすすめします。

−−なるほど色々な方法があるんですね。ところで、実家の売却や賃貸を検討したいという人はまずどこに聞けばいいですか?

風呂内) ある程度知識のある方なら、懇意の不動産屋や仲介業者に言って話をすることもできますが、まったく初めてという場合は、日本FP協会が無料相談窓口を設けていますので、そこで知恵を付けてから交渉に臨むというのも良いと思います。

実家をどのように扱うかはそれぞれケースバイケースです。親御さんの考えや、兄弟との調整もあり、時には相続がからむなど難しさはありますが、親御さんがご健在のうちにしっかり話し合い早め早めに対処すると選択肢も多くなりますので、無料相談などをうまく活用して臨んでみてはいかがでしょうか。

<取材協力>
■ファイナンシャルプランナー 風呂内亜矢 http://www.furouchi.com/

                            <取材・文:関谷知生>

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