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「できることを一歩一歩」多様化する、被災地・被災者支援のカタチ

  • 2019/02/21 UP!

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 西日本豪雨から半年が過ぎ、復興に向けて一歩一歩、進んでいますが、依然支援は必要とされています。今回は、復興の状況や被災者ニーズの変化とともに、多様化するボランティア支援のカタチを紹介します。

話を聞く、人と人をつなげるアットホームな空間

岡山支援まびHouse

山下菊美さん

「時の流れとともに、被災者支援のニーズも変化しています。当初は物資支援が中心でしたが、半年が過ぎ、前を向いて前進したいという思いとともに、これからの生活を考えると不安でいっぱいという被災者も多いでしょう」とは、岡山支援まびHouse代表の山下菊美さん。

避難所の閉鎖後、親族の家、仮設住宅、みなし仮設住宅…と、かつての地域コミュニティーがなくなり、慣れない土地で物理的・心理的孤立を強いられている人も少なくない中、話を聞いたり人と人とをつなげたりと、新たなコミュニティーの構築や、心のケアの重要性の高まりを感じていると言います。

被災者が素になれる、行くのが楽しみになる場所をつくりたいと、毎月第1日曜、第3水曜、倉敷市阿知にある飲食店「倉敷 磯の家」でお茶会を開いています。午前11時~午後3時の間なら自由に参加でき、初めての人も温かく迎え入れてくれるアットホームな雰囲気。参加者はお茶を飲みながら、おしゃべりに花を咲かせています。途中、保健師による血圧測定や健康相談も受けられます。

2月3日に実施した会では、節分に合わせて巻き寿司なども楽しみました

今回が2度目の参加という女性は「現在、倉敷駅近くのみなし仮設に一人で住んでいます。仮設住宅なら、月に何度か住民が集まれる場があるようですが、みなし仮設に住んでいると、このような集まりの場を知る機会もあまりありません。時折子どもや孫が会いに来てくれるものの、一人でいる時間も多く、ご飯も味気なく感じ、外出するのもおっくうに。だんだん心がふさがっていくようでした。このお茶会は、保健師に教えてもらい参加するようになりました。皆さんと話していると心がふわっと軽くなり、何よりたくさんの情報を得られるのがうれしい」と話してくれました。

「あたたかい支援をありがとう」「久しぶりに町内の人に会えてうれしかった」など、参加者から感謝のメッセージがボードに張られています

ボランティアメンバーの一人に話を聞くと、「何か力になりたいと思いながら時が過ぎていました。まびHouseで一緒に話をしたり、自分のスキルを活かしてアロマトリートメントをしたり、微力だけれど無力じゃないと感じます」とも。
今、山下代表らメンバーは、災害の記憶を風化させてはならないと、記録写真をはじめ、参加者から被災当時、どのような状況だったのか、避難の際に役立ったものなどの情報をまとめながら、後世に残す作業にも取り掛かっています。

岡山支援 まびHouse お茶会
日時:毎月第1日曜、第3水曜、 午前11時~午後3時
場所:倉敷磯の家(倉敷市阿知、 倉敷西ビル2階)
参加費:無料
申し込み:不要
問い合わせ:☎080(9790)5846(山下さん)

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気球から見下ろすわが町・真備町
復興を見届けながら元気になってほしい

ボランティアグループ「スマイリング」

徳田典子さん

真備町で手作りパンとコーヒーの店「ポプリ」を営む徳田典子さんが、昨年10月、同級生や職場つながりの有志と立ち上げたボランティアグループ「スマイリング」。

神奈川県の引っ越し業者の協力の下、行っていた物資の無料譲渡会は今月をもって一区切り。新たな試みも始まりました。それは、真備で熱気球を飛ばし、被災者が上空から〝わが町〟の復興の様子を眺めるというものです。

「参加者みんなが笑顔で喜んでくれ、主催した私たちが元気をもらえた」とのこと

きっかけは、スマイリングに岡山気球連合会のメンバーがいて、被災地で飛ばしたいという声が上がったこと。2月3日、小田川河川敷には、事前に声を掛けていた呉妹地区の幼稚園児、小学生と保護者ら100人を超える参加者があり、たくさんの笑顔が花開きました。「自分たちの目で町の復興を見届けながら〝ここで生活を頑張っていきたい〟と笑顔と希望が生まれる場になれば」と話します。毎年継続するイベントになるよう、仕組みづくりにも尽力しています。

「私たち同じ被災者だからこそ、分かる気持ちがあります。今後は被災者の自立のサポートにも力を入れていきたい」と徳田さん。人が集うコミュニティーの場の提供も考えているのだそうです。活動状況はフェイスブックにも掲載。

ボランティアグループ「スマイリング」
お問い合わせ:Eメール=smiling20181001@gmail.com
フェイスブックスマイリング

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西日本豪雨の被災地復興のため、いろいろな支援が続けられています。中には買うことで支援につながる場合も。2つの取り組みを紹介します。

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豪雨で有機認証を取り消された農家を支えるため
地元甘酒メーカーが「復興支援あま酒」を販売

山﨑農園/マルクラ食品House

もみ殻でたい肥を作り、田んぼに戻して還元する循環型農業を続けている山﨑さん(左)と、マルクラ食品の岡田さん。「後片付けで精いっぱいだったときに認証を1年取り消すという通知が来て、目の前が真っ暗になりました。マルクラさんの買い取りはありがたいです」。写真は、昨年11月、収穫最中に撮影。田んぼの面積は約17ヘクタール

昨年の西日本豪雨では多くの農家も被害を受けました。倉敷市庄地区の専業農家・山﨑正人さんもその一人。

山﨑さんは、無農薬でお米を育て、有機認証を得ていましたが、豪雨の日、あたり一面が湖のようになり、稲がすべてつかりました。その後、稲は回復し無事に収穫できたものの、田んぼが冠水したことにより有機の認定を取り消されてしまったのです。有機米としてではなく一般米として販売せざるを得なくなり、価格が3分の2程度に下がってしまった上、取引先からのキャンセルも相次いだといいます。

マルクラ食品工場とオンラインショップで販売中。価格は350円(税別)。マルナカ(倉敷市の中島店、茶屋町店、新倉敷店)の岡山県産直の野菜コーナーでも販売予定

前年までは山﨑さんの有機米を使って作った有機甘酒を首都圏や海外で販売してきた「マルクラ食品」も、有機認証が取り消されたお米を有機甘酒の材料として使うことができない事態に。マルクラ食品・岡田康男さんは「買い取りのキャンセルも検討しましたが、当社の契約しているお米の量は、山﨑さんの育てるお米全体の約2割も占めています。キャンセルすれば、今まで頑張ってきた農家の経営破綻を招くことになり、メーカーも農家から継続してお米を買えなくなるかもしれません」と当時の思いを振り返ります。なんとか支えたいと考えて、山﨑さんのお米を使った「倉敷復興支援あま酒」を企画し、販売することに。

「真備町のように甚大な被害を受けた場所以外でも、豪雨はさまざま場所に爪痕を残しました。正常に戻っているように見えるところでも、今なお苦労している人がいることを知ってほしい」と岡田さんは訴えます。

マルクラ食品
問い合わせ:☎086(429)1551
場所:倉敷市加須山273-3
※お米も残っていて販売中です。お米の問い合わせは☎090(2864)4128山﨑さん

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顔の見えるところに支援金を届けたい
チャリンコのTシャツ「チャリT」プロジェクト

ぬかつくるとこ

中野厚志さん(左)と、自転車の絵を描いた一人・竹本ひかりさん

早島町の生活介護事業所「ぬかつくるとこ」では、自転車をデザインしたオリジナルTシャツ「チャリT」を販売して被災地を支援しています。「チャリT」は、自転車のチャリ、TシャツのT、チャリティーの3つをもじったもの。代表・中野厚志さんは、「明るく支援したいからダジャレを考えたんです」と笑顔で語ります。

もともと真備町のNPO法人「岡山マインドこころ」とつながりがあった中野さんは、西日本豪雨の2日後、被災した同NPOを訪問。その後も片付けなどのボランティアでかかわってきました。「義援金もいいのですが、どこに届けられているのかが見えにくいと感じています。自分たちの知り合いが真備町にいるのだから、顔の見えるところに直接支援する〝支援金〟を集めたいと思いました」と中野さん。自転車の絵を描いたTシャツの販売で支援できないだろうかと衣料メーカー・ジョンブルに相談、ぬかの利用者の男女3人が描いた自転車や、絵本作家・ミロコマチコさんの描いた自転車をプリントしたオシャレなTシャツが完成しました。

1800円(税別)、送料別。大人のユニセックスサイズ(S、M、L)があります

イベントを企画して販売したところ即日完売。その後もオンラインショップなどで販売を続けています。「福岡で歩いていたら、チャリTを着ている若い女の子がいてびっくりしました」という中野さん。反響の大きさに驚いたといいます。

支援金は第1弾として、Tシャツ販売の収益93万727円を、昨年12月、倉敷市真備町の3団体に贈りました(内訳はマインドこころが中心で活動する真備復興プロジェクトに53万727円、放課後デイサービスホハルに20万円、つるかめやに20万円)。現在もオンラインショップで販売中。収益がまとまったら、また第2弾を届けるそうです。

ぬかつくるとこ
問い合わせ:☎086(429)1551
場所:都窪郡早島町早島1465-1
※TシャツはぬかつくるとこのHPのオンラインショップで購入できます。
ぬかつくるとこ

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「リビングおかやま」「リビングくらしき」2019年2月23日号掲載


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