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不登校の子どもと親に伝えたいこと「どこからでもやり直しはできる」

  • 2019/08/29 UP!

 岡山県の小中学校の不登校児童数は2009人(平成29年度)。全国的に年々増加傾向が見られます。親子の孤立を防ぐにはどうしたらいいのでしょう。不登校の子どもの居場所「フリースペースあかね」を運営し、自身も不登校経験者の中山遼さん(写真)から、学校に通うのがつらいという子どもたちの現状と課題を伺いました。



すべての子どもに前向きな心がある

不登校の原因は?
原因は多様化しているので、一口にこれということはできませんが、大きな原因を2つ挙げるとすれば、1つは〝学習の遅れ〟。勉強についていけなくなったという子は多いです。もう一つは〝人間関係〟。いじめなど同級生との関係だけでなく、先生との関係もあります。また、発達障害や特性の強さが理由になることも増えてきました。文字の読み書きが困難という理由の場合、タブレットを使った動画教材なら理解できることがあります。その子の習熟度や特性に合わせた学び方をする必要があります。
また、何かの理由で学校を休んだことが不登校の理由になることもあります。実際、宿題ができなくて休んだことがきっかけで、3年間不登校になった子がいました。教室に入ったときに「宿題を出す日に休んだ。あいつずる休み」というクラスメイトの視線が気になったのです。クラス内の空気に敏感、几帳面、優しい、気にしすぎる、まじめ、緊張感が高いという傾向が見られます。
訪問支援に力を入れよう
行政は不登校を生まないための1次支援(未然防止)と、不登校になりかけた子への早期対応(2次支援)に力を入れています。もちろんそれらも重要なのですが、不登校になった子への支援(3次支援)が手薄です。特に引きこもっている場合の訪問支援が不足していると感じています。長期欠席していても、どこにも相談に行ったことのない子が多数います。訪問について民間と行政がタッグを組むという形を取り、全く会えない本人に会って風穴を開けることが必要です。
長年の不登校はひきこもりに移行し、重篤化すると8050(80代の親が50代のひきこもりの子を支えている問題)につながります。現在の大人のひきこもりの3~4割は、学生時代に不登校を経験しているというデータも。来所相談に来ない子をそのままにせず、こちらから手を差し伸べることは、8050問題の対策としても重要といえます。
親ではなく子どものニーズは何なのか
そこで私たちは不登校児の訪問支援にも力を入れています。お母さんから依頼されて訪問しますが、子どもにとってぼくは〝敵〟のようなもの。敵じゃないと思ってもらえるかどうかはファーストコンタクトにかかっています。「フリースペースあかねの中山です」と言っても部屋には入れてもらえません。たとえ親の依頼で行っていても、子どものニーズに合わせた形にします。例えば「ゲームの設定で分からないところがある」というのが本人のニーズだった場合、「ゲームに詳しいお兄さんを連れてきたよ」と紹介してもらって、単なるゲーム好きのお兄さんとして部屋に入れてもらい、ゲームの設定や話をしてハードルが下がるという具合です。
ぼく自身、小学校入学式から不登校でした。忘れられない思い出は、5年生のとき「キャッチボールしようや」と担任の先生がグローブとボールを持ってきてくれたこと。それまでは先生が来ても全く会いませんでしたが、ぼくは誰にも言ってなかったけど実は外遊びしたいというニーズがあったので、公園でキャッチボールをして、それがきっかけで心が溶けて関係性ができ、6年のときには毎日学校に行くようになっていました。本人の困っていること、ニーズに応じた共感チャンネルに合わせ、いろいろな話ができるようになるまで信頼関係を築けば、もっと深いことまで話ができるようになるということを実体験したのです。
今まで会ったすべての子どもに、向上心や前向きな心がありました。その心が、社会化につながるきっかけになります。それをいかに引き出すか、応援するかがぼくたちの仕事です。
選択肢はたくさんあるよ
不登校になっている子どもたちは、自分に高いハードルを課していたり、「学校に行くしかない」「これだけ休んだからニートになるしかない」と思い込み、あきらめている場合も多く見られます。中学でも高校でも、社会人になっても、どの段階でもやり直しが利きます。特に高校は選択肢が多く、不登校の子が通える高校が岡山には多数あります。また、学校に行く以外の選択肢もたくさんあります。どこからでもやり直しは利くことを伝えたいです。

毎日通った「あかね」は第2の家
小学校から不登校で、フリースペースあかねに通っていた
K・Hくん(15歳、中3)

小学校1年から不登校。疲れて行けなくなり、休みが続いた。勉強に集中するのが嫌になっても教室の外に出ていけなくて、強制的に勉強させられるのが檻(おり)みたいでつらかった。中学生になって行こうとしたが、やっぱり途中で行けなくなった。
でも、あかねには毎日来ていた。ここはカリキュラムがなくて、自由に過ごせる。いろんな人と話せて面白いし、苦痛がなくて、来やすかった。カードゲームや音楽、ニュースなどを話題にしていた。スタッフのことを先生とは呼ばない。友達のような距離感で仲良くなりやすい。
一つのことだけをやるのに向いていなくて2つ以上のことをやっていたいタイプ。自由にスケジュールを決められる学校に進学したいので通信制高校を考えている。あかねのスタッフが紹介してくれて、スタッフと一緒に説明会に行ってみた。あかねは、いろいろな人と話せて、いろいろなことができるし、自分ができた一番の場所。第2の家のように思っている。

※文部科学省は、年間30日以上の欠席を不登校と定義(病気や経済的理由を除く)。同省の調査では、平成29年度の不登校児童数は小中学校で14万人を超え、統計開始後、過去最多となっている


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