カモメ流ストレッチ(肩こり・腰痛の原因とストレッチの基本)

  • 2019/01/28 UP!
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肩こり・腰痛の原因と
ストレッチの基本

 朝日医療大学校 理学療法学科 学科長補佐の多賀一浩先生に「肩こり・腰痛の原因とストレッチの基本」についてお話を聞きました。

体の痛みはover use(使い過ぎ)と
不良姿勢が原因

肩こりや腰痛を訴える人の数は、厚生労働省の国民生活基礎調査によると上位5位以内に入っており、この順位は長年変化していません。つまり、普遍的な愁訴といえます。しかもこの訴えは、年齢が高くなるにつれて多くなっています。
肩こりや慢性腰痛の人は、交感神経が活発に働き、副交感神経の働きは減弱していることもいわれており、自律神経活動の働きにまで影響を与えています。
それでは、これらの症状は何が原因で出てくるのでしょうか。
肩こりの原因として、筋肉の過度な緊張が長時間にわたって続くものが挙げられます。これは、首・肩・腕・手の持続的な筋収縮を要するパソコンを使うなどのVDT(Visual Display Terminal)作業に従事する人に多く見られます。
また、近年では、スマートフォン使用によるストレートネックによる首・肩周りの痛みも増えてきています。ストレートネックは、スマートフォン使用などにより頭の位置が肩より前に出ることで、体が倒れないように頭や体を起こす筋肉が収縮し続けることから起こってきます。さらに、顎の関節にもストレスがかかり、かみ合せの問題も出てくることがあります。
このような特定の筋肉の持続的な収縮は、筋肉に過剰な負荷をかけ痛みを出すだけでなく、体を支える骨の位置をズレさせて不良姿勢をつくる原因になります。
不良姿勢は、デスクワークをしている時や家でテレビを見る時などでもよく起こります。楽な姿勢を取っているつもりでも、同じ姿勢を続けていると疲れたりしんどくなってきたりしたことはありませんか。無意識にとっている姿勢が肩こりや腰痛の原因にもなってきます。
脊柱(背骨)は、前や後ろに湾曲していることで、動作時の負担や衝撃を分散させますが、過剰に湾曲が強くなったり平たんになったりすると、その機能は低下します。
座っている姿勢を例に挙げると、骨盤が後ろに倒れた仙骨座りなどは、骨盤の後傾と連動して腰椎も後湾したり平たんになったりします。通常、腰椎は前に湾曲していますが、腰椎が後湾(または平たん)になると胸椎もより後湾し、猫背のようになります。背中が丸まるような環境は、背筋(脊柱起立筋)が働きにくい状態を引き起こします。背筋の活動が低下すると胸腰筋膜への負荷が増大し、胸腰筋膜につながっている周囲の筋肉へ影響を与えます。さらに、働きにくい状態の背筋が胸腰筋膜の負荷を少しでも軽くするように、over useして緊張が高まります。このように、肉体労働をしていなくても不良姿勢が原因で、特定の筋肉に負担が増えて痛みが出てきます。
つまり、特定の偏った筋肉の持続的緊張は、不良姿勢を作り出し、また、不良姿勢が特定の筋肉を過剰に働かせる原因となる悪循環を生みだします。

いろいろな筋肉を
まんべんなく使うことが理想的

筋肉が原因で出ている痛みに対してマッサージなどで対処している人が多いと思います。どのような方法を取られてもよいとは思いますが、長期的にみると運動して、いろいろな筋肉を使うことが効果的だと思います。運動で使われた筋肉の血管は血液の容量が増え血流も増えてきます。血流が増えることで、老廃物や痛みの物質が流されるだけでなく、代謝も改善され筋肉の機能も改善してきます。
例えば、バレーボールのように、肩周りの筋肉を使うスポーツ選手たちには、肩こり症状を訴える人が少ないのです。まんべんなく筋肉を働かせることで、特定の筋肉への負担を減らし、奇麗な姿勢をつくることで痛みを軽減することができます。

知っているようで知らない
ストレッチ

ストレッチというと、スポーツの前後に行ったり、筋肉が凝った時に行ったりと簡単にできるイメージがあると思います。しかし、運動をしない人にとっては、正しくストレッチを行うだけでも十分な運動になります。
ストレッチには、いろいろな種類がありますが、今回紹介するのは、一人で安全に行えるスタティック(静的)ストレッチです。誰もが知っているといっても過言ではないストレッチですが、効果を実感したり、目的をしっかり持って行ったりする人は少ないのではないでしょうか。痛いまたは硬いところに直接行うのも良いのですが、効果的ではありません。痛みの原因を作る部位に行うことで効果的なものになります。目的とした効果を得るための、ストレッチ方法や時間、部位(筋肉)を少し工夫するだけで、得られる効果は全然違ってきます。
筋肉の柔軟性を出したい時などは、20秒から30秒以上ストレッチが必要です。10秒以下では、柔軟性は得られにくいのです。しかし、柔軟性ではなく血流の改善を目的にするのであれば、10秒くらいのストレッチでもいいわけです。目的に応じて、時間を意識することが大切です。
スタティックストレッチを行う時、当たり前にできていると思われがちですが、伸ばしている最中にさらに伸ばしたり、反動をつけて行ったりするようなことがよく見られます。ストレッチをしている時、最初に止めた位置を動かさずに保つことが大切です。

1日5分
仕事の小休憩でも手軽に行える
本格的ストレッチ

VDT作業に関して、厚生労働省からは、1連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10分~15分の作業休止時間を設け、かつ、1連続作業時間内で1回~2回程度の小休止を設けることを指導しています。
これを参考に、少し疲れた感じがしたら小休憩を取りましょう。その時に、5分くらいでできるようにストレッチを組み合わせることで、疲れを軽減したり、柔軟性を高めたり、また、長時間同じ姿勢による使っていなかった筋肉を刺激したりしましょう。
疲れや不良姿勢になる癖は、その日のうちにメンテナンスして次の日に持ち越さないようにしましょう。

朝日医療大学校
理学療法学科 学科長補佐
多賀 一浩 先生

理学療法士
公益財団法人 日本理学療法士協会会員
社団法人 岡山県理学療法士協会会員

・岡山健康医療技術専門学校(現 岡山医療技術専門学校)
理学療法学科卒業 理学療法士免許取得
・朝日医療専門学校岡山校柔道整復学科卒業
(現 朝日医療大学校)柔道整復師免許取得
・吉備国際大学通信制大学院保健科学研究科 理学療法学専攻卒業 理学療法学(修士)
整形外科病院勤務の後、朝日リハビリテーション専門学校理学療法学科へ入職。現在に至る。担当教科は、評価学、一般臨床医学(整形外科学)、評価演習、評価学実習、理学療法学(整形外科系)、ゼミ系(解剖学、生理学、病理学、内科学、評価学)等
※平成28年、朝日リハビリテーション専門学校、朝日医療専門学校岡山校、朝日高等歯科衛生専門学校が統合し、朝日医療大学校に名称変更。

【病院・学校以外での活動実績】
タイ王国でのテーピング講習会、中学・高校でのストレッチ指導、全国での健康増進事業講演会13回(テーマ:障がい者とその家族)

朝日医療大学校
〒700-0026 岡山市北区奉還町2丁目7番1号 TEL 086-255-2000
https://asahi.ac.jp/

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