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すべてのいきものの持続可能性を理想に 天王寺動物園長・牧さんに聞きました

  • 2019/12/19 UP!

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<Profile>

大阪市立天王寺動物園長・牧慎一郎さん
1971年吹田市生まれ。大阪大学大学院基礎工学研究科物理系生物工学専攻修了。科学技術庁(現文部科学省)入庁後、経済産業省などで勤務。2014年6月に文部科学省を退職。同年7月から大阪市建設局動物園改革担当部長兼経済戦略局天王寺魅力担当部長。2015年4月から現職。

▶1915年、日本で3番目の動物園として開園した天王寺動物園は、大阪人のソウルスポット。現在180種、1000点の生物が飼育されています。
近年、あべの・天王寺エリアの再開発が進み、直近では、まさに天王寺動物園との境目に「てんしばイーナ」も完成。食事や買い物、アスレチック施設のほか、これまでにない充実した、動物園グッズを買えるショップ「ZOOQLE(ズークル)」もお目見え。動物園の退園口とも直結し、回遊性があがりました。
そんな変化のただなかにある天王寺動物園の園長・牧慎一郎さんにお話を聞きました。

- 動物園改革を目指して中央省庁から天王寺動物園へ。牧さんにとって動物園とは?

動物園は、人生に3回だけ来る場所といわれてるんです。
1回目は子どものとき。2回目は子どもができたとき。3回目は孫ができたとき。

でも、私が動物園のマニアになったのは、大人になってから。
動物の生態を知れば知るほどおもしろい。いろいろな深掘りができる場所なんです。
以前より博物館や美術館といった、ミュージアムの運営に関心があり、そうした観点で動物園を見てきたのですが、こんなにコンテンツが強いミュージアムはほかにはないと思いませんか。
少子高齢化で子どもたちの数は減っている。だからこそ、魅力あるコンテンツの宝庫である天王寺動物園に来てくれる、”大人”を増やしたいと考えました。

園長になった2015年は、天王寺動物園の開園100周年に当たる年で、これをきっかけにもっともっと外向けの情報発信が必要だと感じました。それまでの天王寺動物園はあまりそういうことをしていなかったんですよ。ですから、ナイトZOOのような、これまでやっていなかった取り組みとともに、私自身がどんどん外に出ていき、動物園をPRすることで、外向けのプロモーション強化を進めてきました。
地道な努力が実り、年間116万人(2013年・平成に入ってから最も少ない人数)だった入園者が、ここ数年は年間170万人前後で推移しています。
また、平成28年10月には、「計画的に人気動物や希少動物の導入と繁殖に取り組みます」や「野生本来の動物の行動を魅力的に見せる展示を行います」といったアクションを記した、「天王寺動物園101計画」を策定し、レジャー面の強化だけでなく、社会教育的な面でもその役割を果たしたいと考えています。

- 動物園は「動物たちを見る場所」から「繁殖を担う場所」へ、その役割も変化していると思います

動物たちの生育環境を守りながら、入園者に興味を持ってその生態を知ってもらい、かつ種の保存を目指した繁殖計画に基づいて、動物園同士が連携を取ること。動物のペアリングも国際間で行う時代ですが、欧米からの動物導入を図るためには、施設も欧米基準をクリアするようなものに改修していく必要があります。当園は都市のど真ん中の動物園ですので、敷地拡張の余地がありませんし、予算もありませんので、どのような施設整備をしていくか知恵を絞らねばなりません。

過去には、〝いかに多くの種を展示できるか〟が競われた時代もありましたが、現代では、各動物園がしっかりとした飼育計画とコレクションプランを持って運営することが重要視されています。
例えば同じ霊長類でも、当園ではチンパンジーは繁殖して維持していきますが、ゴリラやオランウータンは導入しないといった”集中と選択”ですね。
また、動物たちが豊かに暮らせるような展示方法をとるためには、ひとつひとつの飼育施設を広くする必要がありますが、そうすると飼育できる種類は減らさざるをえない。しかし動物のストレスは減りますし、生き生きした姿をみてもらうことができるのも事実。

現在、ペンギンとアシカの施設のリニューアルを目指して設計をしているところで、水中の動きを横から見られるようなプールをつくるなど、魅力的な施設をつくりたいと考えています。
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園でホッキョクグマと人気を二分する、アムールトラのセンイチ


- 最も思い出深い出来事は? ご自身のしあわせについても教えてください

動物園に着任した年にホッキョクグマの赤ちゃんが生まれました。オスのゴーゴと浜松市動物園からやってきた、バフィンという雌との間に生まれたモモちゃんです。
バフィンは20歳を過ぎて高齢になってきていて、出産にはギリギリなのかなという心配もあった中、妊娠・出産・子育ても果たしてくれて、これには非常に感動しました。もちろん、担当の飼育員はバフィンにストレスがかからないよう、毎日大変でしたが、よくがんばってくれました。バフィンとモモの母子は今は浜松市動物園に引っ越して、向こうで元気にしています。

来年度、園内に教育棟が完成し、ホールや資料の展示スペースを含んだミュージアム的なスペースになる予定です。私の理想は、生き物に関する持続可能性を追求すること。理想を持って進んでいけることがしあわせだと感じます。

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天王寺動物園は、2020年1月1日、2日、3日も開園。お正月イベントも行われます!
https://www.city.osaka.lg.jp/contents/wdu170/tennojizoo/

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