1. 大阪トップ
  2. Re Re Life 賢くリフォーム&リノベーション
  3. コラム
  4. 「どのように暮らすか」で断熱性が変わる【Re Re 快適のヒミツ】

Re Re Life 賢くリフォーム&リノベーション

「どのように暮らすか」で断熱性が変わる【Re Re 快適のヒミツ】

「どのように暮らすか」で断熱性が変わる【Re Re 快適のヒミツ】

 快適な湿度や温度が住まいの居心地を大きく左右します。リフォームやリノベーションでも湿度や温度を意識しましょう。近畿大学建築学部学部長・教授の岩前篤さんに、快適な空間づくりに大切なコトを教えてもらいます。

写真

Lesson12

「どのように暮らすか」で断熱性が変わる

10数件で高断熱住宅の調査を実施

イラスト

 ようやく少しずつ、冷えが和らいできました。本当に寒い冬です。欧米もこの冬は相当、冷え込んだようです。地球は温暖化ではないのか、との声も聞こえてきますが、近年、海外では「Earth warming」という言葉はあまり使わず、その代わりに「Climate change 気候変動」と言っているようです。まさに変動、あまりうれしいものではないですね。

そんな寒い冬のさなか、昨年11月から1月にかけて、全国で30件程度のお宅の調査を行いました。私自身も10数件、新潟・広島・鹿児島のお宅をお訪ねしました。対象としたお宅に共通する特徴は、“通常より断熱性が高い”ということ。調査の目的は、こういった断熱性の高い家に住むことで、生活にどのような変化が生まれるか、を明らかにすることです。

高断熱住宅は、単純には「冬の温度が高くなり、快適性が向上し、また、暖房に使用するエネルギーが減る」と言われていますが、果たして本当に温度は上がり、暖房エネルギーは減っているか…。実はこれには、「どのように暮らすか」ということが大きく影響しています。一般的な高断熱住宅の効果というのは、生活が変わらないことが前提となっていて、国の省エネ促進方針でもこの前提を使用しています。ですが、本当にそうなのでしょうか。

photo

想定よりもエネルギーを多く使っている場合も

イラスト

 調査をしてみると、実にさまざまな変化があることが分かりました。ある新潟のお宅では、家族の普段の居場所が変わっていました。引っ越し前は、寒い家の中で唯一あたたかい場所=コタツに、家族全員が足を突っ込む暮らしでした。しかし、新しい高断熱の家の暮らしでは、各人がそれぞれの場所、ご主人は一階のリビング、奥様は二階のダイニング、お子さんたちはそれぞれの部屋にいることが多くなっていました。これだけ聞くと、家族の中で距離感ができたように感じますが、実際にはとても仲の良いご家族でした。以前の暮らしでは、気分がふさぎ、一人になりたいときもコタツに入らざるを得ず、結構なストレスになっていたようです。

別のお宅では、以前の暮らしではお風呂の湯沸かしを減らすために、家族4人が間を空けずにお風呂に入っていて、日々、それぞれの生活時間を調整しなければならなかったそうです。今の暮らしでは、好きな時間帯にお風呂に入れるようになり、やはりストレスが軽減したと聞きました。

鹿児島のお宅では、20歳の老猫が家族にいるのですが、以前の暮らしでは、冬は一日中コタツから動かなかったそうです。高断熱の家に変わってからは、二階との階段を上り下りするようになったと聞き、まさにその瞬間に猫ちゃんが上から下りてきました。珍しいお客さんに興味を持ったようです。元気を取り戻した猫ちゃんの姿に、ご家族の方はとても喜んでいました。

photo

 このように、暮らしが変わることで、想定していたよりもエネルギーを多く使うこともあります。ですが、それ以上に、ほどほどの距離感に基づく仲の良い家族の姿が安定的に続くことの方が大切では、と思います。

先月同様、この原稿を書く私の足元で、昨年11月から家族に加わった、トイプーのハチが寝ています。この、機械による暖房に決して変わりえない温かみは、確かに私の生活を変えています。

人によって住まいが変わり、住まいによって人が変わる。やはり、家づくりは深いものです。

12回に渡ってお送りしてきたこの連載コラムも、今回が最終回となりました。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

写真

Profile
近畿大学建築学部長・教授 岩前 篤さん

1961年和歌山県生まれ。1984年神戸大学工学部卒業。1986年神戸大学大学院工学研究科修了。同年住宅メーカー入社。住宅の断熱・機密・防露に関する研究開発に携わる。1995年神戸大学で博士号(工学)授与。2003年に退社したのち、近畿大学工学部建築学科に助教授として就任。2009年同教授、2011年に新設された建築学部の学部長に就任し、現在に至る。建築環境システム研究室で、建築物内外の温熱・湿度・空気環境とエネルギーについて研究中。

同じジャンルの記事を読む

この記事が気に入ったら公式アカウントをぜひフォローしてね。おすすめ記事をダイジェストでお届けします。

人気記事ランキング

  1. 大阪トップ
  2. Re Re Life 賢くリフォーム&リノベーション
  3. コラム
  4. 「どのように暮らすか」で断熱性が変わる【Re Re 快適のヒミツ】
Re Re 特集 リリ特集
Re Re ルポ リリルポ
Re Re 図鑑 リリ図鑑
Re Re マネー リリマネー
Re Re 快適のヒミツ リリ快適のヒミツ
Re Re みんなの住データ リリみんなの住データ