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「長時間労働」について考えよう! 北海道の労働者の実態をアンケート調査

  • 2018/01/24 UP!

1人1人向き合えば、未来が変わる可能性が 「長時間労働」について考えてみませんか?

1人1人向き合えば、未来が変わる可能性が
「長時間労働」について考えてみませんか?

 「働き方改革」が進められています。北海道は、長時間労働をしている人の割合が他の都府県と比べて多い…。そう示唆する、下記のような調査結果があります。「うちは大丈夫」「関係ない」と思ったあなた。長時間労働の問題は、その当事者だけでなく、少子化や人口減少など、日本が抱えるさまざまな課題解決のカギでもあるようです。一緒に考えてみませんか?

文・構成/五十嵐知里、表紙写真/亀谷光
取材協力/厚生労働省 北海道労働局

家族の長時間労働が心配なオントナパートナーが3割

オントナパートナーにもアンケートを実施し(※)、実態を探りました。その結果、自身も含めた家族の長時間労働が心配な人が、全回答者の29.1%に及ぶことが明らかに。その残業(時間外労働)時間も、現在上限とされている1カ月45時間を超えるケースがほとんど。また、「時間はわからない」と答えた人も、休日取得日数からかなりの長時間であることが推測されます。
※2017年12月実施、有効回答数148

●家族の中に長時間労働が心配な人はいますか?

●「はい」と答えた人に。残業は何時間くらいですか?

※参考/わからないと答えた人(12人)の休日取得日数1カ月に1~2日(2人)、2~3日(2人)、4~5日(6人)、不明・その他(2人)

心配に思う家族の声

7時に出勤、24時ごろ帰宅。心配だが、本人の立場を考えると何も言えない(子供が同100時間。Tさん)

娘とその配偶者が長時間。子育て中だが配慮されておらず、少子化になるのは当然だと思う(娘夫婦が心配だが残業時間は不明。Tさん)

人手不足が慢性化。会社はどう考えているのか問いただしたい思いです(夫が1カ月の残業時間80時間。Fさん)

相談しても改善されると思えない(夫が同200時間。Mさん)

昔からの慣例で、遅く帰る人が熱心ということになっているらしい(子供が同70時間。Tさん)

北海道は週に60時間以上働く人が他県に比べて多い

長時間労働の1つの目安とされる、1週間の労働時間が60時間以上という人の割合が、男性は全国で2番目に、女性は4番目に多いことがわかっています。

●年間就業日数200日以上の雇用者のうち、週に60時間以上働いている人の割合(上位5位)

札幌市では、働き盛りの男性の10人中3人が長時間労働

25~39歳の子育て世代の男性に限ると、週60時間以上働いている人は、北海道全体では23.0%、札幌市は28.8%。札幌市では10人中約3人が長時間労働ということに。

●年間就業日数200日以上である25~39歳の男性雇用者のうち、週に60時間以上働いている人の割合

長時間労働を取り巻く状況

残業ありきの正社員か自立困難な非正規か。働き方の二極化が進行

近年日本では、「働き方の二極化」が進みました。契約社員や派遣社員など、正社員以外の非正規雇用者が大幅に増加する一方、正社員の労働時間は〝高止まり〞。経済的な自立が難しい非正規と、長時間労働を強いられる正社員…。これから仕事をしようという人たちにとって、明るい未来が描きづらい状況にあると言えます。
長時間労働は少子化にもつながります。長時間労働が正社員のスタンダードとなると、女性は正社員の立場のまま子供を生み、育てるという選択が難しいものに。また夫が長時間労働という場合もやはり、妻が家事や育児を一手に担うことになり、妻の選択の幅を狭めることに。いずれにしても、仕事と子育ての両立が難しい環境といえるでしょう。
日本経済は、人口減少による労働力不足という構造的な問題に突き当たっています。長時間労働が当たり前の社会が変われば、女性や高齢者など「もっと働きたい」と思っている人のマンパワーを生かせるのではないか。これが、今国を挙げて進められている改革の1つの方向性となっています。

短時間でいかに成果を上げるかの労働生産性。日本は低水準

日本は欧米諸国と比べて労働時間が長い一方、1人当たりの生産性は低いといわれています。労働生産性(※)を国際比較すると、経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国中、日本は21位。算定基準が異なるために単純な比較はできないものの、真面目に働くと評価されてきた日本で、この順位はちょっと残念ですよね。
これまで日本では、長時間労働は仕方がない、むしろそれを評価するような考え方が根付いており、短時間でいかに成果を上げるかという労働生産性には目が向けられていませんでした。その現れともいえるのが、2010〜2015年の労働生産性上昇率。日本は0・4%で35カ国中28位と低い水準に止まっています。
ここから読み取れるのは、「長時間働かなくても仕事はこなす」という働き方の実現に向け、やるべきことを考える余地があるということ。これまで意識されてこなかっただけに変化も期待できるはずです。先進的な国々からも学びながら、皆が意識を変え、知恵を絞り、工夫を重ねていくことが重要といえるでしょう。
※ 国民総生産を就業者数で割り、為替を配慮したもの

●OECD加盟諸国の労働生産性(2016年)(単位:購買力平価換算USドル)

「残業は1カ月45時間まで」。法律に明記し、罰則を設ける流れに

現状では、労働者(※)の労働時間は、労働基準法で1日8時間、1週間40時間までと定められており、これを超えると残業(時間外労働)となります。残業をさせる場合、経営者は労働組合(組合がない場合は労働者の代表)と「36(さぶろく)協定」を締結する必要があります。同協定において残業時間の上限も定めますが、その値は厚生労働省の「基準」として、原則1カ月45時間、1年360時間までとされています。
22日からの通常国会で、この上限規制を法律に〝格上げ〞し、違反した場合には罰則を設けることなどを盛り込んだ、改正法案が審議される見込みです(1月16日時点)。このほか「勤務間インターバル制度普及促進」「産業医・産業保健機能の強化」といった、健康面から労働者を守るアプローチも改正法案に含まれ、合わせて審議されると見られています。
※ 事業場に使用される者で賃金を支払われる者

今こそ好機! 消費者としても改革を後押ししましょう

就職活動中の学生が、会社説明会で残業の有無や有給休暇取得率を質問するようになった…。そんな採用担当者の驚きの声を聞いたことはありませんか? 数年前には出ることがなかった質問だそうで、売り手市場を背景に、学生が長時間労働を敬遠する姿勢を隠さなくなったことがわかります。
企業側も、優秀な人材を確保すべく、長時間労働の是正に本腰を入れ始めています。実態はSNSなどを通じてあっという間に広まりますから、現場での実践が急務。社会的に長時間労働はダメという機運も高まっており、今こそ好機といえるでしょう。経団連と労働組合連合が協力してシンポジウムを行うなど、これまでにない取り組みも見られるようになりました。
私たち1人1人は、仕事と生活がどうあると幸せなのか、自分自身の働き方をしっかり考えることと、それを職場や家庭で互いに理解・尊重しあえるよう努めることが大切です。
もう1つできることがあります。消費者として、求めるサービスの背景にある働き方に思いをはせること。例えば、宅配便の受け取り指定時間を忘れて不在にすることは、宅配業者の長時間労働につながります。意識して振り返ると同様のことが複数思い当たるはず。この機会に振り返り、消費者としても改革を後押しできるといいですね。

2016年12月オープン
ほっかいどう働き方改革支援センター

大企業だけでなく中小企業も改革に取り組めるよう、2016年12月、「ほっかいどう働き方改革支援センター」が開設されました。同センターでは、従業員の就業環境整備や生産性向上などに取り組む企業を応援するため、社会保険労務士や中小企業診断士などの専門家が無料で相談に応じています。

相談内容

長時間労働を減らすには?

就業規則に問題がないかチェックしてほしい

従業員のスキル向上 など

札幌市中央区北1西7プレスト1・7ビル3階
北海道中小企業団体中央会内
フリーダイヤル 0120-495-595
http://www.lilac.co.jp/hataraki
TRX

心配な家族への対処法

月80時間を超えたらレッドゾーン。健康状態を注意深く観察して

家族の長時間労働が心配な場合は、実態の把握が第一歩。本人に聞くのが望ましいですが、家族の帰宅時間から見込むなど、できる方法で構いません。休日出勤も合わせて算出し、客観的な数値をとらえてください。結果、1カ月の時間外労働が45時間を越えていたら「過重労働」と見なされるレベル。80時間以上は健康障害の危険性が高いレッドゾーンです。それが長く続いている場合や、休日が取れていない場合はリスクが増すことも知っておきましょう。
把握したら、長時間労働のリスクも含めて本人と話をしましょう。当の本人は仕事をこなすことに精一杯で、疲れていてもそうと気付かないことが…。客観的な数値は本人の気付きにもつながります。
話をするときは、「どうして改善できないの?」と本人を責めないよう配慮を。また「自分が若いころはその程度の残業は当たり前だった」と口にしてしまうケースも意外に多いそうなので、思い当たる人は要注意。さらに、基準的には長時間でも、本人が仕事を面白いと思っていたり、早く一人前になろうと頑張っていることもあります。まずはその思いに耳を傾ける姿勢に徹しましょう。
その上で、当人の健康状態には十分注意を。厚生労働省の下記チェックリストも参考に、変化を見逃さないことが大切です。

家族による最近1ヶ月の労働者の疲労蓄積度チェックリスト

疲労・ストレス症状は?

□ イライラしているようだ
□ 不安そうだ
□ 落ち着かないようだ
□ ゆううつそうだ
□ 体の調子が悪そうだ
□ 物事に集中できないようだ
□ することに間違いが多いようだ
□ 強い眠気に襲われるようだ
□ やる気が出ないようだ
□ へとへとのようだ(運動後を除く)
□ 朝起きた時、疲れが残っているようだ
□ 以前とくらべて、疲れやすいようだ

働き方と休養は?

□ ほとんど毎晩、午後10時以降に帰宅する
□ 休日も仕事に出かけることが多い
□ 家に仕事を持ち帰ることが多い
□ 宿泊を伴う出張が多い
□ 仕事のことで悩んでいるようだ
□ 睡眠時間が不足しているように見える
□ 寝つきが悪かったり、夜中に目覚めたりすることが多いようだ
□ 家でも仕事のことが気にかかって仕方ないようだ
□ 家でゆっくりくつろいでいることはほとんどない

※チェックリストは度合いに応じて点数化し診断する仕組み。今回は、家族が観察する際の参考に、項目のみを紹介しています

努力で変えられない環境もあります。最寄りの機関に相談を

健康面のリスクが確認されたら、最寄りの窓口に相談を。どの窓口に相談しても、情報は管轄の労働基準監督署に集約されます。監督署にはさまざまな情報がストックされており、相談内容と合わせて対応を検討。その結果、必要と判断されると事業所に立入調査をして事情聴取。設備や書類なども検査して指導を行います。改善しない場合や重大・悪質なケースは送検することもあります。
指導の際は、相談した人の不利益にならないよう最大限配慮します。希望すれば相談者の名前を出さずに指導することもでき、実際匿名で進めることも多いそう。
相談は本人からがベストですが、家族からの相談も受け付けています。その際は、1カ月の時間外労働時間や休日取得状況などを把握しておきましょう。
「ことを荒立てたくない」と、相談を躊躇(ちゅうちょ)する人も多いようですが、本人の努力で変えられるレベルにない現場も多いもの。その場合にできることは、残念ながら限られているのが実情です。健康状態に目を配り、タイミングを見逃さないようにしたいものです。

相談窓口

札幌中央労働基準監督署 総合労働相談コーナー(月~金曜 8時30分~17時15分)
札幌市北区北8西2 札幌第1合同庁舎7階 TEL 011-737-1195

札幌東労働基準監督署 総合労働相談コーナー(月~金曜 8時30分~17時15分)
札幌市厚別区厚別中央2-1 TEL 011-894-1120

小樽労働基準監督署 総合労働相談コーナー(月~金曜 8時30分~17時15分)
小樽市港町5-2 小樽地方合同庁舎3階 TEL 0134-33-7651

岩見沢労働基準監督署 総合労働相談コーナー(月~金曜 8時30分~17時15分)
岩見沢市5条東15-7-7岩見沢地方合同庁舎 TEL 0126-22-4490

北海道労働局 総合労働相談コーナー(月~金曜9~17時)
札幌市北区北8西2 札幌第1合同庁舎9階 TEL 011-707-2700

電話相談

労働条件相談ほっとライン(月・火・木・金曜17~22時、土・日曜10~17時)
フリーダイヤル 0120-811-610 (はい! 労働)

労働相談ホットライン(月~金17~20時、土曜13~16時)
フリーダイヤル 0120-81-6105 (ハイ ロードーコール)

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