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手紙と日記がもたらす良い影響とは? 心の落ち着きや記憶力の低下防止にも

  • 2018/02/07 UP!

書いてみませんか? 手紙と日記

書いてみませんか?
手紙と日記

 あなたは日記を書いていますか?最後に手紙を出したのはいつですか? 日記は自分の一日を振り返り、手紙は書きながら送る相手のことを思い出す…。どちらも頭の中の記憶をたどることから老化予防に役立ち、書くことで心を落ちつかせる効果もあるようです。今回は心身によい影響をもたらす手紙と日記について特集します。

構成・文/山神朋子、イラスト/みやしたゆみ

手紙や日記を書いて記憶力の低下防止を

 手紙や日記を書くことがなぜ老化予防に役立つのか。医療法人渓仁会手稲渓仁会病院リハビリテーション部の青山誠さんに教えてもらいました。

青山誠さん

教えてくれたのは
青山誠さん

医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院リハビリテーション部部長(札幌医科大学保健医療学部 臨床教授)

「書く」という動作は、脳のあらゆる部分を使って行われます

「書く」という動作は、脳のあらゆる部分が働くため脳の活性化に効果があります。
まず、「何を書こうか」と考えたとき、脳の記憶をつかさどる海馬や側頭連合野が司令を受けます。そして、側頭葉内の感覚性言語中枢(ウェルニッケ領域)で聴覚に基づく記憶(音韻)が呼び起こされ、記憶を音に変換します。次に視覚性言語中枢(角回)で音を仮名にし、さらに側頭葉の後下部で漢字に変換します。
そして文字として出力するのに、前頭葉の上部(補足運動野、運動前野)がきれいに字を書くように指示をし、さらに一時運動野と呼ばれる部分で、指先の筋肉へペンを使って書くという作業を伝達。同時にこの字が正しいか、きれいか、思った通りに書けたか、目からの視覚情報を後頭葉で確認します。ここまででも、頭の中はほぼフル回転。脳の大部分を使うことがわかります。脳が活性すると血流も上がるというメリットもあり、「書く」ことが脳にいい理由はここにあります。
しかし、人は年とともに言葉や記憶を思い出すのに時間がかかるようになります。これは脳内の海馬を含む側頭葉の働きがスムーズに行えなくなるから。実は、脳の中で一番衰えやすいのがこの部分なのです。
左側からみた大脳

日記はその日のうちに。
手紙は朝のゴールデンタイムに書く

日記はその日のうちに。手紙は朝のゴールデンタイムに書く
では、手紙や日記を書くことがなぜ脳に良いのか。それは、どちらも脳の中で記憶の出し入れが行われるからです。書きながら記憶を反復し、頻繁に出し入れする(=思い出す)ことで記憶が定着しやすくなり、脳の中の記憶量も維持されます。
記憶には短期記憶と長期記憶があり、海馬の中に収められていたその日の情報(短期記憶)が寝ている間に側頭葉内に長期記憶として保存されます。タウタンパク質(脳神経細胞の老廃物)や活性酸素は寝ている間に頭の中から除去されますが、同時にその日の短期記憶が長期記憶に移行されるのです。
日記を書くことはその日の記憶を整理すること。短期記憶のうちにしっかり詳細を思い出したいため、1日の終わりに書くのがお勧めです。内容は自分の書きたいことで構いませんが、特に印象に残ったことを中心に。「よかったな」「楽しかったな」という出来事を思い出すと、さらに自分の感情に訴えられるので、脳内が刺激され、長期記憶に移行した後も、より強く残るというメリットがあります。
手紙は海馬の短期記憶が長期記憶に移行した、朝に書くのがベストです。海馬の中がリセットされた朝は脳にとってのゴールデンタイム。海馬が真っさらな状態なので脳の神経伝達がよく、心境を言葉に変換し、なおかつ文字に変えて一から文章を組み立てて実際に書くという、脳にとって大変高度な作業を行うのに適しています。ゴールデンタイムは起床後の3時間ですが、起きてすぐに食事をとると胃や腸に血液が流れてしまい、脳に血液が届かなくなります。朝食は手紙を書いた後に。書く前に脳への栄養として、軽く糖分と水分をとると作業効率が上がるでしょう。

不安や悲しみをつづることで気持ちが楽になることも

「書く」作業だけを見ると、日記も手紙も変わりませんが、手紙は文章を作るプロセスが複雑で、脳への刺激も異なります。
例えばラブレターを書くときは、感情的にも相当高ぶっている状態。脳の中では、単に文字を探す、書くということだけではなく、相手の顔や過去の思い出といった映像を思い出す作業が行われます。
恋愛感情だけでなく、不安だから書く、悲しくて書くということもあるでしょう。ネガティブな気持ちとポジティブな気持ちでは、脳の中でも活用される部分が異なります。ポジティブな気持ちで書くと大脳基底核内の側坐核が活性化され、ネガティブな気持ちは海馬の近くにある扁桃体が刺激を受けます。さまざまな感情を文字にした方が脳の活性化という意味では効果的です。
また、不安をつづると気持ちが楽になる作用があります。悲しい感情は書くことで整理されたり、すっきりしたりします。読んでもらうことによって相手がそれを理解してくれれば、自分が認知される、承認されるという部分でマイナスの感情がプラスに変わるということがあります。手紙を書くことで自分自身のネガティブな要素を減らすことができ、不安も相手に伝えることで解消されることがあるのです。
最後に、日記は人に見せるものではないので、より脳の活性を求めるのであれば利き手とは逆の手で書くのもいいでしょう。脳に対する刺激量が違ってきます。手紙は、書き直せるか直せないかで緊張の度合いが変わります。緊張感が高いほど脳を刺激し、血流を上げることが期待できます。万年筆など消せない筆記具で書くのも工夫の一つです。

手紙を書きたいと思っても「送る相手がいない・・・」というあなたへ。
新しい手紙のかたち

あなたの水曜日を送ると、誰かの水曜日が届きます
手紙を通して見知らぬ誰かとつながる「鮫ヶ浦水曜日郵便局」
鮫ヶ浦水曜日郵便局昨年12月の開局記念イベントの様子(写真:森賢一)
鮫ヶ浦水曜日郵便局鮫ヶ浦水曜日郵便局の「灯台ポスト」。ここに全国から手紙が届きます

宮城県東松島市宮戸島にある旧鮫ヶ浦漁港に、昨年12月、「鮫ヶ浦水曜日郵便局」が開局しました。郵便局といっても開局は水曜日のみ。届くのは、水曜日の出来事がつづられた手紙。届いた手紙は個人情報を伏せ、同じように手紙を送ってきた別の誰かの元へ転送されます。
前身は、熊本県津奈木町に2013年から2016年まで開設された「赤崎水曜日郵便局」。閉局後、再開局を望む声が多く寄せられたことから、今回の開局につながりました。手紙の転送時には鮫ヶ浦水曜日郵便局のオリジナル切手が貼られ、オリジナル小型印が押印されます。
手紙は下記ウェブサイトで利用規約を確認後投函を。投函後しばらくすると、あなたの元へ誰かの〝水曜日〟が必ず送られてきます。ホームページからは公式便せんも出力可能(公式以外の便せんでも投函可)。開設は12月5日(水)までを予定。

鮫ヶ浦水曜日郵便局ホームページではレターセットなどオリジナルグッズを発売中

■手紙の宛先
〒981-0394 宮城県東松島市宮戸字観音山5番地その先
鮫ヶ浦水曜日郵便局

■問い合わせ
鮫ヶ浦水曜日郵便局事務局 TEL 03-5579-2724
https://www.samegaura-wed-post.jp/
※ウェブサイトは毎週水曜日のみ全ての情報を見ることができます

日常を忘れさせてくれる旅先で自分宛てにはがきを送る
全国10エリアの一部郵便局で発売中の「わたしだより」
わたしだより東京と京都で発売されている「わたしだより」。各200円
わたしだより「おたよりアルバム」は写真の「日本」のほか「富士に桜」もあり。ほかに持ち歩き用の「おたよりケース」(420円)も発売中

その土地ならではの景色や食べ物、そして印象的だった出来事など、旅の思い出はいつまでも大切にとっておきたいものです。「わたしだより」はそんな旅の思い出を自分宛てにつづるためのポストカード。現在、全国10エリアの一部郵便局で販売しています。どれも各地域の特色がかわいらしく描かれているのが特長。はがきは記入後、ポストではなく現地の郵便局窓口へ持参し「風景印」(風景入り通信日付印)を押してもらうと、自宅へ届いた時のよろこびと感激もアップします。届いたはがきの保管用に「おたよりアルバム」(940円)もあり。全ページをとじると旅日記が完成しますよ。

■問い合わせ
ポスタルスクウェア フリーダイヤル 0120-083767
「わたしだより」オフィシャルホームページ www.watashidayori.jp

忘れたくない記憶をつづろう
オススメ日記帳

取材協力/大丸藤井セントラル TEL 011-231-1131

秘密をしっかり守る鍵付日記 動物柄

セキュリティー重視派に
秘密をしっかり守る鍵付日記 動物柄

(3888円)/デザインフィルミドリカンパニー

あなたの秘めた思いや人に知られたくない秘密を書くなら鍵付きを。表紙には扉を、各ページには羊など夜にまつわる動物8種類をデザインしています。横書き。

日記 縦書きフリー

書く以外の楽しみも
日記 縦書きフリー

(1404円)/デザインフィルミドリカンパニー

縦書きをきれいに書けるよう罫線には中心線が入っています。字が上手になりそうな「なぞって書く格言」の付録も。元アナウンサーで文字教室を主宰している竹内みや子さんが監修。

自由日記

気ままにつづるなら
自由日記

(1728円)/エヌビー

日付記載欄がなく、1ページを自由に区切れるから日々の記録を好きなようにつづれます。優しく上品な雰囲気の花柄が女性に人気。柄違いもあります。横書き。

オントナパートナーにインタビュー
佐賀県の女性と文通を始めて62年!
日記は1965年からつけています

オントナパートナーの吉田悦子さん「人と人とのつながりを大切にしています」とオントナパートナーの吉田悦子さん
松本さんから受け取った手紙とはがき松本さんから受け取った手紙とはがきのほとんどを保管。子供の頃は習字や絵を書いて送ったこともあったそう

吉田悦子さんは、佐賀県に住む松本和美さんと62年に渡って文通を続けています。「互いの姉同士が先に文通で知り合い、それがきっかけで妹の私たちも手紙を出し合うようになりました」と当時を振り返ります。10年ほど前には吉田さんが佐賀県を訪れ初対面を果たし、松本さんが札幌へ来たこともありました。「会っても距離感を感じない」という仲は、兄弟以上に感じるものがあると言い、長く続いた理由は「価値観や人生観が似ているからかもしれません」と吉田さん。仕事を持ちながら3人の子供を育てた経験など、松本さんとは共通点も多いのだそう。「書くことは天候のことや庭のこと、近況など。愚痴や誹謗中傷は書きません」。日記は学生の頃から書き始め、現在は手帳に日々の出来事をつづっています。「手紙も日記も書くことで自分を見つめ直してきたと感じます。私の生きてきた証です」。

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