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相続税の基本 基礎控除の試算と節税対策

  • 2018/04/18 UP!

これだけは知っておきたい 相続税

これだけは知っておきたい 相続税

 亡くなった人の財産を受け継ぐ「相続」。相続された財産には相続税がかかります。他の税金に比べ納付する機会が少ないこともあり、なんとなく面倒な印象を受けます。今回は、いざ相続が発生したときのために、私たちが「知っておくべきこと」「やっておくべきこと」を税理士に教えてもらいました。

構成・文/佐藤悦子、山神朋子 イラスト/佐藤博美(C’sMARKET)
取材協力/辻・本郷 税理士法人 札幌事務所(TEL 011-272-1031)

青柳淳行さん

教えてくれたのは
辻・本郷 税理士法人
税理士 青柳淳行さん

国に収める国税の一つ、相続税とは?

 相続税とは法定相続人が、相続財産を相続した場合、または遺言により相続財産の遺贈を受けた場合に課税される国税です。
「法定相続人」とは民法で決められている相続人のことで、「第一順位」が子と配偶者、「第二順位」が配偶者と直系尊属(父母、祖父母)、「第三順位」が配偶者と兄弟姉妹と、相続する順番が決められています(下記Ⓐ参照)。
また、相続する財産の割合(法定相続分)も下記の通り。子がいる場合は、配偶者と子が2分の1ずつ。子がいない場合は、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1。子も父母も祖父母もいない場合は配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となります。ただし、遺言書がある場合や相続人全員が納得した上で円滑に相続財産を分けられる場合は、必ずしも法定相続分通りにする必要はありません。
「相続財産」は換金性のある「プラスの財産」と借入金などの「マイナスの財産」があります。代表的なものとしては、土地、建物、預金、生命保険、借金など。相続税の申告・納税期限は、原則、被相続人が亡くなった翌日から10カ月以内に行います。申告の方法は、「相続税申告書」の内容に沿って税金を自分で計算し、所轄の税務署に提出します。10カ月以内に遺産分割が行われなかった場合は、相続された財産外から税金を納めなくてはいけません。10カ月は長いようで短いもの。「わが家は財産がないから大丈夫」という声も聞きますが、いざという時にスムーズに動くためにも、相続税について誰もが必要最小限の知識を身につけておくことが大切です。
Ⓐ民法で定められている法定相続人の相続順位と法定相続分(遺言などにより相続分の指定がない場合)

自分や家族が亡くなったときの相続税はどのくらい? 試算してみよう

 万一相続を受けることになった場合、または自分が被相続人となったとき、税金はどれくらいかかるのだろうかと気になる人もいるでしょう。
相続税は、一定の額までは税金がかからない仕組みになっており、それを「基礎控除」といいます。基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で算出されます。相続財産が基礎控除額よりも少なかった場合はすべて非課税となり相続税はかかりません(左図参照)。反対に基礎控除額よりも多かった場合は基礎控除額を超えた分のみに課税されます。さらに「生命保険金」と「退職手当金」に対してはそれぞれ「法定相続人数×500万円」の金額まで非課税財産として控除されます。
配偶者に対しては原則として取得した正味財産額が1億6000万円または法定相続分のどちらか多い額までは税金がかからないという特例(配偶者の税額軽減)があります。「相続税申告書」に税額軽減の詳細を書くことにより配偶者控除が受けられます。
相続税には「二次相続」というものがあります。これは例えば被相続人である夫が死亡した時は通常の「遺産相続」(「一次相続」)になりますが、後に妻も死亡した際には、子どもたちで「二次相続」を行わなければなりません。「一次相続」で妻がいくら相続したかにより「一次相続」「二次相続」の合計相続税は変わることを念頭に入れておき、財産分割を行いましょう。
相続税の試算

相続税対策としてやっておくべきことは?「名義預金」にも注意

 被相続人が残した財産は、全て金銭に換算されるため、実際の税額計算は複雑になりますが、試算の結果、相続財産が基礎控除額よりも多かった場合は、残された親族のために節税対策を行うのも一案です。
例えば、財産は生命保険に変えておくと死亡保険金は受取人固有の財産となるため相続税はかかりません。その上、「法定相続人×500万円」までは非課税になります。また、遺産分割に一工夫を。前出の二次相続を考慮した配偶者への相続割合や法定相続人を増やす方法もあります。節税に直接関わりませんが、事前にやっておくと相続がスムーズになるポイントとしては、財産に関して家族に話をしておくこと。生きているうちに財産分割の相談をしたり、あらかじめ財産を整理し、財産目録を作っておくこと。特に相続財産の遺産分割を受け取る人たちで協議をしておくことが大切です。
一つの土地や建物を複数の相続人で分けるのは難しいため、分割しやすい現金や預貯金を多めに用意するのも良策です。不動産の場合は土地・建物の利用の仕方で評価額が変わってくるので、それら財産の評価額を下げる工夫をすることもおすすめします。
このほか、生前に自分の財産の行き先を決めることができる「家族信託」という方法もあります。遺言書は自分が亡き後に財産を引き継ぐ人だけを決められますが、「家族信託」はさらにその次に引き継ぐ人も決めることができます。
注意してほしいのは、被相続人が相続人(子や孫など)の名義で預金をしている場合。名義は子どもであっても、親の預金とみなされ、申告が必要になるケースが多く見受けられます。申告漏れのペナルティーとして、追徴課税されることもあるため、「名義預金」をしている人は、その存在を家族に知らせておきたいもの。こっそり貯金するよりも「生前贈与」を活用したいものです。
こっそり貯金するよりも「生前贈与」を活用したい
今すぐできる相続税対策

相続対策に生前贈与を。年間110万円以内は課税なし

 節税対策としておすすめなのは、毎年110万円ずつコツコツと贈与すること。相手からの無償の贈与により受け取った財産にかかる税金を贈与税と言いますが、1年間110万円までの贈与は課税されません。贈与税には110万円の基礎控除があり1月1日から12月31日までの1年間で110万以下の贈与であれば、税金はかかりません。これを「暦年課税制度」といいます。
また、婚姻期間20年以上の夫婦間での居住用不動産またはその購入資金の贈与には、1回限り最高2000万円の配偶者控除があり、基礎控除額の110万円を加えた2110万円までが非課税になります(この場合、無税であっても申告は必要なので注意を)。
また、贈与時は「贈与契約書」を忘れずに作成しましょう。贈与は、贈与する側の一方的な意思だけでなく、贈与される側も受け取る意思の表示が必要となります。たとえ、110万円の基礎控除以下の金額だとしても、贈与を行った証拠を残しておくことが、のちのち税務署から確認があった際などに役立ちます。
相続税では生命保険を利用した節税対策が有効でしたが、「生前贈与」に関わってくる「名義保険」は避けてください。契約者(子供など)と保険料負担者(親など)が違う保険を「名義保険」といいますが、保険料は親が負担しているため、親から子供への生前贈与とみなされ課税の対象となってしまう可能性があります。
贈与契約書の作成例(現金贈与の一例)

相続に最も有効的なのは遺言書。
無効にしないためには専門家へ相談を

 相続は突然やってくる場合が多いもの。慌てず、もめることなくスムーズに申告、相続ができるように備えておきたいものです。家族に迷惑をかけないように被相続人がしておきたいこと、その最たるものが「遺言書」を書いておくことです。
遺言書は「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類がありますが、自分で書く「自筆証書遺言」は不備があった場合無効になるなど、デメリットが少なくありません。その点、公証人と一緒に公正証書として作成する「公正証書遺言」はより安全、確実なのでおすすめです。付言事項として、相続の分割の仕方の指示や相続人への最後のメッセージなどを書いておくこともできます。遺言書があれば、法定相続人以外に財産を残すことも可能です。
相続税を試算した結果、少しでも不安があるならば、税理士や司法書士などが相談に乗ってくれるので、利用してもよいでしょう。
相続に最も有効的なのは遺言書。無効にしないためには専門家へ相談を

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