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歯周病専門医に聞く、予防やセルフケア 糖尿病にも影響大。正しいケアで歯周病を防ごう

  • 2018/09/05 UP!

知っているようで知らない〝国民病〞正しいケアで歯周病を防ごう

知っているようで知らない〝国民病〞
正しいケアで歯周病を防ごう

歯ぐきの病気「歯周病」は歯を失う大きな原因であり、今や〝国民病〞といわれるほど多くの人がかかっています。近年は全身の病気との関わりが深いことも知られてきました。でも意外としっかり理解していない人が多いのでは? 今回、2人の専門医に病気と、予防法について教えてもらいました。

構成・文/村本香子 イラスト/佐藤博美(C’s MARKET)

歯を失う原因の1位は歯周病
成人の多くがかかっている病気です

歯周病は、日本人が歯を失う原因の第1位(下のグラフ参照)。虫歯よりも歯周病で歯を失くす人が多いのです。それだけに読者の関心も高いようで、オントナパートナーへのアンケート結果でも、歯や口の病気や症状で特に気になると最も多くの人が回答しました。
そして、歯周病であると診断されたことのある読者は28%という結果に。でも池田歯科クリニックの池田雅彦院長は「極端にいえば成人はほとんどの人が歯周病といってもいい」と話し、実際に厚生労働省の調査によると30代の人の約8割が歯周病の所見があるとの調査結果も。読者が歯をしっかりケアしているとしても、28%という割合では済まないようです。
というのも歯周病は自覚症状が少なく、重症になるまで気づかないことが多い病気。関心はあるものの「自分には関係ない」と思っている人が多いのではないでしょうか?
この機会に歯周病について学び、正しいケアで歯を守りましょう。

歯を失う原因

池田雅彦院長

「歯周病」について教えてくれた先生
医療法人社団 池田歯科クリニック
池田雅彦院長

日本歯周病学会 歯周病専門医
札幌市中央区北1西3札幌中央ビル9階
TEL 011-241-4180

オントナパートナーへのアンケート(2018年8月調べ 有効回答数169)

オントナパートナーへのアンケート

歯と歯茎の間で静かに進み
最後には歯が抜け落ちる病気です

歯周病は段階を経てゆっくり進んでいく病気です。
まず歯垢(プラーク)という粘着性の塊が歯と歯茎の間に入ってしまうことから始まります。口の中には多くの細菌がいることが知られ、その数は大人で300〜700種ともいわれますが、歯垢にも最近が数多く含まれています。歯と歯茎の間は弱いため、しっかり取り除かないと入り込んでしまいます。
入り込んだ細菌はケアしなければどんどん炎症を起こし、深く深く入り込み、すき間(歯周ポケット)を作ります。炎症を起こして赤くなった状態を歯肉炎、歯と歯茎の隙間が広がると歯周病といわれます(一般に3㎜以上)。
通常の菌は空気がないと生きられませんが、歯周病を起こす菌は空気がなくても生きられる「嫌気性」であるため、歯と歯茎の間は格好の生存場所に。さながら〝トカゲの尻尾切り〞のように、健康な歯茎が減って歯からはがれ、歯と骨を破壊しながら進行していくのです。
歯肉炎は炎症を抑えれば治りますが、歯周病となるとそうはいきません。歯周ポケットが深くなるとむき出しになった歯が抜け落ちてしまうのです。

健康な歯茎、歯肉炎、歯周病

自覚症状は少ないだけに、
歯茎のわずかな変化に注意しましょう

歯周病は「サイレントディジーズ=静かなる病気」といわれるほど自覚症状が少なく、気づかぬ間にゆっくり進行する慢性疾患です。
症状が進行すると歯茎が赤く腫れたり、歯磨きの際に出血したり、唾液がネバネバするといった症状が出ることも。体の抵抗力が弱まったときにプクッと歯茎に腫れが出ることもあります。重症になると歯茎の支えが減って歯がグラグラすることもあるのですが、根がしっかりした奥歯では自覚が出るまで時間がかかります。

歯周病セルフチェック

治療に時間がかかり、予防も必須
患者の意識がカギとなります!

歯周病の最も恐ろしい点は、言うまでもなく歯を失ってしまう病気であること。他にも口臭や見た目の影響も無視できません。例えば歯茎が腫れた状態で歯が抜け落ちると、残った歯が移動してしまうなどの変化が起き、歯周病の治療では済まず、矯正を伴う場合があります。
また、虫歯の治療で冠をかぶせるときや、インプラントにする際は歯周病を治してからでなければ予後が良くありません。
そのことからも軽症のうちに治療することが重要なのです。にも関わらず、多くの人がかかっている理由は、これまでも触れた通り自覚症状が少ないため。そして治療に時間がかかることや、自分の努力が必要なことも影響しています。
歯周病は特に重症になると、治療に年単位の時間を要することも。さらに治療に加えて毎日の歯磨きと、歯科医での定期的なケア、その両輪が欠かせません。虫歯や怪我のように悪い部分を治療したら済む…とはいかないところが歯周病治療の難しさです。
池田先生は「患者さんの中には『とりあえず、すぐ噛めるようにして』という人も多い。患者さんの治療へのモチベーションや意識も重要」と話します。
歯周病は、主に植物の茎などを食べる野生の猿にはみられないのだそう。人間が加熱した柔らかい食べ物を食べるようになったために生まれた〝文明病〞という側面もあるのです。そう考えると、人間が食事をする限り付き合い続け、予防しなければならない病気といえるかもしれませんね。

正しいケアで歯周病を防ごう

糖尿病の人はすぐに治療を!
認知症や心臓・血管病との関りも

近年では歯周病がさまざまな全身疾患と関わりがあることがわかってきました。
中でも影響が大きいのが糖尿病です。歯周病の人が糖尿病を患うと、血糖値を下げるインスリンの効果を弱めるため糖尿病を悪化させてしまいます。歯周病の治療によって糖尿病が改善したり、逆に血糖値を改善させることで歯肉の状態が良くなるという例も。こうして互いに影響を与え合うため糖尿病の人や血糖値が高い人は、歯周病予防や治療が必須です。
さらに心臓や血管系の疾患や高齢者に多い誤嚥(ごえん)性肺炎のきっかけとなることや、早産など妊婦への影響も。近年では認知症との関わりも指摘され、ますます歯周病予防の必要性が高まっています。

歯周病と関連がある病気

糖尿病

糖尿病を悪化させ、お互いに悪影響が
歯周病の炎症で生じる物質が血中の糖濃度を下げるインスリンの効きを悪くし、糖尿病を悪化させます。

肺炎・気管支炎

高齢者の死因として多い肺炎と関連
歯周病菌は肺炎の原因菌とともに気管支と肺で炎症を引き起こします。肺炎は高齢者の直接の死因として最も多く、高齢者の歯周病ケアは特に近年重視されています。

心臓・血管の病気

血管の壁に堆積物を生じ動脈硬化に
歯周病菌が血液中に流れ込むと血管の壁で堆積物をつくり、動脈硬化を起こし、心筋梗塞や脳卒中の原因になることがあります。

早産・低体重児

妊婦や胎児の成長に影響が
歯周病によって生じる物質が血中に増えることでお産が早まったり、羊水内に入って胎児の成長に影響を与えるという報告もあります。

認知症

アルツハイマー型認知症を悪化させる可能性が
近年の動物実験で歯周病がアルツハイマー型認知症を悪化させるという報告が。人間でも、同疾患で亡くなった人の脳からは、健康な人の脳と比べて多くの歯周病の毒素が検出されたという報告があり、関連に注目が集まっています。

始めていますか?歯を守るための歯周病ケア

歯周病から歯を守るためには毎日のケアと歯科医でのケアが必須です。毎日のセルフケアと歯科医でのケアについて、具体的な方法を専門医に教えてもらいました。

山崎英彦先生

「歯周病予防」について教えてくれた先生
札幌 歯周病・予防歯科
院長 山崎英彦先生

日本歯周病学会 歯周病専門医
札幌市中央区北1西3 札幌北1条駅前通りビル9階
TEL 011-208-2621

毎日のセルフケア

正しい歯磨きが基本!
回数よりも質を重視して

歯周病予防の基本は毎日の歯磨きです。毎食後が理想ですが、回数よりもむしろ1回の内容が重要。
基本は1本1本の表と裏を、ブラシが歯の付け根に届くようにして5分以上磨くこと。歯の表面だけを磨くのではなく、歯と歯茎の付け根を磨くのが重要です。また甘いものを時間をおかずダラダラ食べ続けるのはNG。唾液には、ばい菌を流す効果がありますが、甘いものを食べていると細菌が増え、洗い流す時間が追いつかないためです。

歯ブラシはコンパクトでフラットなタイプを。毛の硬さは「ふつう」

歯磨きのポイント

歯ブラシはコンパクトでフラットなタイプを。毛の硬さは「ふつう」(歯ぐきのはれがひどい場合はやわらかめでも)
歯ブラシを当てる角度は45度が目安。ちょっと難しいけれど、毛先を歯と歯茎の間に当てることを意識して
細かいストロークで1箇所10往復をめどに。大きく動かすと歯と歯の間がうまく磨けません
歯磨き粉は、研磨剤が入ったものは歯が減りすぎる可能性があります。でも着色には効果的なので、気になる人は週に数回使うなど工夫を
最後に舌でザラザラした部分がないかチェック

歯ブラシにプラスしたいアイテムは?

歯間ブラシ
歯周病では歯と歯の境目の隙間が空いてくるので、歯間ブラシはおすすめ。隙間の大きさに応じた太さを使うことが大事なので、歯科医でサイズをチェックしてもらうとよいでしょう。
歯間ブラシの大きさは歯の隙間に合わせて選ぼう

デンタルフロス
特に虫歯予防に有効。虫歯になりやすい人や子供はぜひ。

電動歯ブラシ
普通の歯ブラシで上手に磨けていない人が使っても、上手に歯に当てられないのでおすすめできません。普通の歯ブラシで上手に磨ける人や、体が不自由な人には有効です。

歯科医でのセルフケア

3カ月に一度が目安
自宅ではできないプラークコントロールを

道内では以前に比べて定期的に歯科医でケアする人が増えていますが、まだ「歯医者は痛くなったら行くもの」という意識の人も多いそう。でも歯周病予防の観点からは重症でなければ3カ月に1度、少なくとも半年に1度の通院がおすすめ。というのは3カ月もすると、たまったプラークが唾液のカルシウムで石灰化し、歯石になってしまうため。また正しく磨けているかも定期的に確認してもらえます。右では歯科医でどんな検査やケアを行うのかまとめてみました。これらを継続することで、歯と歯茎を健康な状態でキープできます。

歯科医さんで行う歯周病の検査や予防

ブラッシングの状態をチェック、指導
歯周ポケットの深さなど状態を確認
歯茎からの出血がないかをチェック
ブラシや超音波洗浄機でプラークを取る
歯の表面のプラークをブラシで除去
※一例です

超音波洗浄機は、歯と歯茎の溝をなぞり、振動で歯石を破壊。自宅ではできない歯周病予防では重要なケアです

 

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