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今知っておきたい、5つのポイントを紹介 40年ぶりに変わる相続ルール

  • 2019/01/16 UP!

今知っておきたい、5つのポイントを紹介
40年ぶりに変わる相続ルール

今年1月から来年にかけて、相続の法制度が変わります。約40年ぶりの大改正として話題ですが、なんとなく敬遠しがちな話題でもありますね。けれど、誰もが直面するのが相続。知っておくと後々役に立つことがあります。そこで、事前に知っておきたいポイントを専門家に教えてもらいました。

文・構成/五十嵐知里 イラスト/柏葉祐司イラスト工房

今知っておきたい、5つのポイントを紹介 40年ぶりに変わる相続ルール

教えてくれたのは

工藤 皓也さん

司法書士法人 第一事務所
司法書士 工藤 皓也さん

今回は、知っておくことでトラブルを回避できたり、スムーズに手続きできたりするポイントをピックアップしました。自分に関係しそうだなと思ったら、少し詳しく調べたり、誰かに相談したりして、必要な備えをするきっかけにしてください。

ポイント1・2019年1月〜

自筆の遺言書の要件緩和

自分が亡くなった後の財産をどのように配分するか。意思を明確にするのに有効なのが遺言書です。遺言書には、公証役場の公証人に作成してもらう「公正証書遺言」と、自分で書く「自筆証書遺言」があり、最近は後者を選ぶ人が増えてきました。ところがこの自筆証書遺言は作成や訂正の要件が厳格で、書き方に不備があると無効になる場合も…。そこで要件を緩和し、作りやすくしようというのが今回の改正です。
これまでのルールでは、「自筆証書遺言」は遺言を書く人(以下遺言者)が全文を手書きし、作成した日付を書いて署名、押印すると決められていました。この説明を聞いただけでは「そんなに難しいことなの?」と思うかもしれませんが、例えば不動産は「登記事項証明書」の通りに記入するなど、書き方には細かな注意が必要です。同様に預貯金や証券類、自宅にある高額な物品など、全ての財産について詳しく特定できるよう書くとなると、かなりの文字量に。仮に間違っても訂正はできますが、訂正をするにも細かな方式があります。
改正によって、自筆の遺言書と一緒に、パソコンで作った財産目録や預金通帳のコピー、不動産の「登記事項証明書」などを添付することが認められるようになりました。自筆で「別紙目録一の財産を〇〇に相続させる」と書けば財産を特定できるため、手書きが必要な文字量が減ります。ただし目録の全ページに署名押印する必要があります。財産目録の作成は本人でなくてもよく、パソコン操作が得意な身内などに作ってもらうこともできます。

今知っておきたい、5つのポイントを紹介 40年ぶりに変わる相続ルール

ポイント2・2020年7月〜

自筆の遺言書を法務局が保管

これまで自筆証書遺言は、遺言者が亡くなるまで本人(またはその親族)が保管していることが多く、書いたものをなくしたり、その存在に気付かれないといった事態が起こっていました。誰かが偽造したり書き換えたりするリスクも高く、真正を巡って相続人の間で争いが生じることもありました。
こうした問題を背景に、自筆証書遺言を公的機関が保管する仕組みが作られることになりました。具体的には「法務大臣が指定する法務局」で保管することが決まっていますが、どこの法務局が指定されるか、また、保管にかかる手数料などは明らかになっていません(2018年12月20日現在)。手続きは、遺言者本人が窓口に行って申請し、所定の書類を提出、本人確認を経て受理されます。遺言書は原本と画像データで保管され、全国の法務局で情報を共有します。
これにより、遺言者が亡くなった時に相続人が法務局に問い合わせをすると、自筆証書遺言の保管の有無やその内容を知ることができるようになります。相続人が複数の場合、そのうちの1人が遺言内容の照会を行うと他の相続人にも遺言書の存在を伝える通知が送られ、「知らないうちに遺産分けが終わっていた」という事態も防げるように。また従来は、遺言者が亡くなった時に家庭裁判所で「検認手続き」を受ける必要がありましたが、法務局で保管していた自筆証書遺言に限り、この手続きも不要になります。
画期的な改正と言えますが注意点もあります。法務局が預かる際、書き方に不備がないか、チェックする体制が整えられるかどうかは不透明。不備があっても受理される可能性があり、書く際の内容精査は不可欠です。

ポイント3・2019年7月〜

預貯金の仮払いができるように

預貯金を預けている名義人の死亡を金融機関が知ると、その口座は凍結されてしまいます。この凍結を解除し、預貯金を払い戻すためには、相続人全員が押印した書類や印鑑証明書などを提出する必要がありました。
これは、預貯金を含め、遺産はすべて「遺産分割協議」と呼ばれる相続人全員の話し合いを経て分けなければならないというルールにのっとったもの。配偶者や子が通帳やカードを持っていても、自由に下ろせなくなっていたのです。
そのために生じていたのが、「死亡した夫名義の口座で生活費を管理している妻が貯金を下ろせない」「葬儀費用を支払えない」「預貯金があるのに債務の弁済ができない」といった事態。これを救済すべく、上限を設けて一部の相続人が単独でも預貯金をおろせるようになります。上限額は「相続開始時の預貯金の3分の1×法定相続分」。1金融機関あたり150万円までと決められています。

※上限額確認のため戸籍謄本などの提出が求められ、仮払いに時間がかかる可能性もあります。具体的な制度の運用方法はまだ不明な部分もあり、必要時は各金融機関や専門家に相談を

ポイント4・2019年7月〜

相続人でない人の貢献も配慮

2019年7月から、息子の妻など相続の権利を持たない人が、亡くなった人に献身的に尽くしていた場合、相続人に対してお金を請求できるようになります。従来も亡くなった人の仕事を手伝ったり、介護をしていた家族が少し多めに相続できる「寄与分制度」がありましたが、制度の対象は配偶者や子などの相続人に限定され、子の配偶者は対象外。そうした場合にも請求できる仕組みを整えたのです。
では、どれくらい「尽くす」と請求可能になるのでしょう。参考になるのが寄与分制度で「多めに相続できる」と認められたケース。判例では「数カ月間ヘルパーに頼まず24時間つきっきり」など、一般的な〝介護〞のイメージとは隔たりがあることは知っておきたいところです。
改正の1つの狙いは、相続人ではない人の貢献を配慮すること。実際によくあるのが、夫が亡くなった後も妻が義理の親名義の家に住み、親の介護をしているケース。改正によって、介護の貢献分を金銭面で配慮する方法ができたことになりますが、相続人に対して不動産を請求することまではできません。妻は住む家を失う恐れが残ります。親が遺言書を書くなど、対策を講じることが肝心です。


亡き次男の妻が義理の母の介護をしていた場合でも、次男の妻は相続権を持たない。なお次男夫婦に子がいた場合は、子が次男の代わりに相続人になる

ポイント5・2020年4月〜

「配偶者居住権」「配偶者短期居住権」新設

夫婦で夫名義の家に暮らしていて、夫が亡くなった場合、妻がその家に住み続けるには原則として自宅を相続する必要があります。
子供や夫の兄弟など、他の相続人が同意すれば問題ありませんが、自宅も含めた財産を「法律通りに分けてほしい」と要求された場合、妻はそれを受け入れるしかありません。
相続財産の中でも不動産は高額であることが多く、妻が相続するとそれだけで法定相続分を超え、他の相続人からそれ以上の財産取得を反対される恐れがあります。つまり、自宅を相続したために預貯金を相続できず、生活に困るという事態が生じていたのです。
この対策として作られるのが「配偶者居住権」。配偶者が死ぬまで無償で自宅に住み続けられる権利です。〝権利〞ではありますが相続財産として金額に換算され、配分計算に用いられます。「配偶者居住権」の財産価値は「所有権」より小さいため、他の遺産を取得できる可能性が広がります。この改正は子にとってはメリットがないように思えますが、母が亡くなった時の「二次相続」までを見越した節税に役立つ可能性があります。
「配偶者短期居住権」も新設されます。自宅を誰が相続するか、その話し合いが決まるまで、配偶者はそのまま住み続けていいという権利。遺産分割の話し合いが早期にまとまった場合でも、相続開始から6カ月間は保証されます。

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