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ちゃんと知って考えよう プラスチックごみのリサイクル

  • 2019/02/20 UP!

ちゃんと知って考えよう
プラスチックごみのリサイクル

プラスチックごみに関する、2つの問題がクローズアップされています。これまで「リサイクルされているから」と安易に使ってきたけれど、このままでいいのかと疑問に感じた人も少なくないはず。そこで今回、リサイクルの仕組みを改めて調べてみました。まずは知ることから始めて、できることを考えてみませんか?

文・構成/五十嵐知里、撮影/亀谷光
取材協力・監修/北海道大学大学院工学研究院
廃棄物処分工学研究室 教授 松藤敏彦
協力/札幌市環境局、中沼プラスチック選別センターほか

プラスチックごみに関する2つの問題

問題1
地球規模で進む海洋汚染。30年後は魚よりごみが多くなる可能性も

国際的に注目度が高まっているのが海洋汚染。適切に処理されなかったプラスチックごみが川や海に流れ込み、分解されないまま海の中を漂っている問題です。リゾート島の海岸を覆う大量のごみや、海中を泳ぐ魚やウミガメの体に絡んだプラスチックごみ…そんな写真や映像を目にしたこともあるのでは? 漁業や環境に関わる現場では以前から認識されてきましたが、近年徐々に一般にも知られるように。2050年には海洋中に存在するプラスチックの量が、魚の量を上回るという調査報告もあります(世界経済フォーラム報告書2016年)。
さらに、細かく砕かれた「マイクロプラスチック」による生態系への影響も懸念されています。多種類の魚から検出されているほか、昨年10月には、ウィーン医科大などの研究チームが人の便からも検出されたと発表しました。
世界全体で、年間数百万トンを超えるごみが海洋に流出していると推計されています。その多くは、急激に経済成長を遂げているアジア圏を起源としているといわれています。こうした国々の中には、ごみの収集が十分でなく、路上や空き地などに放置されたり、また収集されたとしても、ただ積み上げているだけの「オープンダンプ」で処分しているところがあります。こうした場所から、風などで海や川に流出するケースも多いと見られています。

アジア圏のオープンダンプ。環境汚染も問題になっています(写真提供:阿部雄介/JICA)

1993年、山形県に打ち上がったクジラの胃の中(写真提供:国立科学博物館)

問題2
再生利用される廃プラスチックの多くを輸出。相手国では環境問題も

2017年、中国政府が海外から再生資源として輸入していた廃棄物の一部について、禁輸措置を取ると発表。国民の健康や生活環境に危害をもたらしているとして、最初に生活由来の廃プラスチックを、次いで産業系の廃プラスチックについても輸入を停止することになりました。
その前年(2016年)、国内の廃プラスチックのうち再生利用は約206万tで、そのうち約138万tを海外に輸出。対中国はその半分以上といわれています。つまり、同年国内で処理されていた約69万tと同量か、それ以上の廃プラスチックが行き先を失ったことになり、処理現場の混乱が続いているのです。
なお、日本から海外に輸出されている廃プラスチックは、ペットボトルを除いてほとんどが産業廃棄物。家庭から出たものではありません。一方で日本は、プラスチック容器包装の1人あたりの廃棄量がアメリカに次いで多いとの指摘もあり、その削減が求められています。

「UNEP SINGLE-USE PLASTICS2018 」より
Plastic packaging waste generation, 2014 (million Mt)

データから見るリサイクルの現状

家庭や事業所から出るプラごみのうち、「リサイクル」されているのは約2割。約6割は焼却して熱利用

ごみは大きく分けて、建築現場や工場などから出る産業廃棄物と、それ以外に主に家庭や事業所から出される一般廃棄物に分類されます。収集や処理の方法が異なるため、ここからは身近な一般廃棄物系のプラスチックごみについて整理していきます。
2017年の日本国内の一般廃棄物系プラスチックごみの排出量は418万t。容器包装プラスチックやペットボトルのほか、食器や玩具、家具、家電などに含まれるプラスチックも含みます。これらがどのようにリサイクル・処理されたかを示すのが左のグラフ。選別・加工して再度プラスチックとして活用する「再生利用」が16%、製鉄に使う「高炉・コークス炉原料/ガス化/油化」が6%。それぞれ「マテリアルリサイクル」「ケミカルリサイクル」と呼ばれ、この2つが一般的に「リサイクルされた」とみなされます。
処理方法で最も多いのは「発電焼却」。48%と約半分を占めます。国土の狭い日本では、ごみを埋め立てる場所に限りがあるため焼却によって容量を減らし、埋め立て処分場の寿命を延ばす方法が一般的です。そしてその際、ただ焼却するのではなく、焼却時の熱を有効活用する方法が広く用いられています。発電のほか、温水にして暖房に使ったりセメント工場の燃料にしたりする方法もあり、これらをまとめて「サーマルリサイクル」と呼ぶこともあります。 

※グラフの数値は四捨五入により、足しても100%にならないことがあります
一般社団法人 プラスチック循環利用協会「2017年プラスチック製品の 生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」ほか

再生されるまでの仕組みと流れ

消費者が分別、市町村が回収。
選別と再資源化は専門業者が行います

一般廃棄物系のプラスチックごみのうち、容器包装プラスチックとペットボトルは「容器包装リサイクル法」によってリサイクルすることが義務付けられています。「容器包装プラスチック」とは、商品を包むのに使われるポリ袋やパック類、食品トレーなど。法律によって消費者は分別排出、市町村は分別収集と保管、事業者は再商品化という役割が決められています。
法律の中で、事業者は大きく2つに分けられます。食品や飲料メーカーなど、容器包装プラスチックやペットボトルを製造・販売する事業者と、市町村からごみを引き取って再生加工するリサイクル事業者です。前者は委託料の支払いによってリサイクルにかかる費用の一部を負担し、後者はごみの中から資源になるものを取り出し、再生可能な商品に加工します。
プラスチックはポリプロピレンやポリエチレンなど、樹脂の種類ごとに利用方法が異なるため、選別作業が必要です。ペットボトル(ラベルとキャップを除いた状態)は1種類の樹脂ですが、容器包装プラスチックごみには多様なプラスチックが混在。そのため何段階もの工程を経ることになります。実際の作業は専用の機械のほか、人の手にも頼られています。

リサイクル方法 それぞれの課題

リサイクル方法はさまざま。
それぞれに対する評価も分かれます

プラスチックごみのリサイクルには多様な方法があります。そもそも「リサイクル」とは「廃棄物等を原材料やエネルギー源として有効利用すること」(3R推進協議会)で、幅広い解釈が可能。そのため、それぞれの方法に対する見方もさまざまです。
例えば「発電焼却」「熱利用焼却」などは、「焼却時の熱を有効活用するからリサイクルと見なせる」という考え方と、「燃やすのだからリサイクルとは言えない」という考え方があります。
「再生利用(マテリアルリサイクル)」も評価が分かれています。プラスチックのごみがプラスチックの原料になるため、もっともリサイクルらしい印象を受けますね。プラスチックは石油から作られますが、石油を採掘するより、目の前に存在するごみから作り出す方が環境負荷が小さいとして、これまで積極的に推進されてきた方法でもあります。しかし、一方でこの方法は非効率であると指摘されているのです。
あるデータでは、2017年に集めた容器包装プラスチックのうち、約半分にあたる30万tが「再生利用」となっています。ところが「再商品化製品」として売れた量を見ると約16万t。つまり、再生して実際に活用されているのは約半分ということ。また「再商品化製品」になっても、その用途が狭まっているとして問題視する声も…。容器包装に高い機能が求められる今日、素材には多様な樹脂が混在しているため、再生加工しても、石油から作るのと同等のものにはなりません。つまり、食品を包装していたものをリサイクルしても、食品を包装するものができるとは限らないということ。「ダウングレードリサイクル」とも呼ばれています。これについては、「分別をもっと細かくすれば良いのでは?」という考え方もありますが、そうなると回収の手間とコストがかさみ、また別の効率の悪さを生むことになります。
「容器包装リサイクル法」が施行され、今のリサイクルの仕組みが作られてから約20年がたちます。当時期待されたほど、リサイクル技術も回収の効率化も進んでいないのが現状ともいえます。多くの問題が顕在化する中、私たち消費者も、リサイクルについてもう少し高い関心を持ちたいもの。「分別すればOK」ではなく、捨てたものの行く末も見届ける姿勢でいたいものです。

わたしたちにできること

「使い捨てを減らす」「長く使う」。
きちんと分別してリサイクル効率を上げよう

最近は、リサイクルにかかる費用やエネルギーに注目し、より効率的で効果的な方法を探る動きも出てきています。そんな中、私たちにできることは何でしょう。
まずは、プラスチック製品の無駄な利用を可能な限り減らすこと。環境が主要なテーマになった洞爺湖サミット(2008年)が開催された頃、自分たちももっと関心が高かったと思いませんか?今こそモチベーションを保ち、長く意識を持ち続けたいものです。
また、プラスチック製品をできるだけ長く使うよう心掛けましょう。詰め替え用商品を選ぶのも1つの方法です。詰め替え用パックはボトルより重量が軽く、処分に必要なエネルギーも軽減できます。また生活雑貨や家具にも目を向けて。プラスチック製品は安価なものが多く気軽に買ってしまいがち。すぐ捨てることがないよう購入時から意識しましょう。
リサイクル効率を意識した行動も大切。基本は、市町村ごとに決められた分別ルールをしっかり守ること。迷ったら改めてリサイクルマークを確認する、分別方法を調べるなどの行動を習慣化できるといいですね。捨て方のルールも守りましょう。例えば札幌市のルール「ペットボトルはつぶさないで出す」のは、処理工場で選別の際に風を当てるから。1つ1つ理由があるのです。またスーパーの店頭などに設置された「回収ボックス」も積極的に活用を。種類を限定して回収するため、効率よく再資源化できます。

(写真提供:一社 電池工業会)

トレーだけを回収することでトレーにリサイクル可能。食品を搬入したトラックで持ち帰ることで、配送エネルギーも削減(写真提供:エフピコ)

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