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札幌を拠点とする4人に聞く 私たちの活動の原点とは

札幌を拠点とする4人に聞く
私たちの活動の原点とは

「読者の暮らしに役立つ情報をお届けすること」をモットーに発行してきたオントナは今年創刊28周年。気持ちを新たにこれからも紙面作りにまい進すべく、今回は札幌を拠点に何かを「作り、届けている」4人にインタビュー。音楽や芝居などジャンルは違えど、作品を通して思いを伝え、感動や元気を与えてくれる4人に、これまでの歩みとこれからを語ってもらいました。

取材・文/遠藤真善美、髙木幸、藤田郁美、山神朋子
撮影/熱田智寿佳(アンドボーダー)、守澤佳崇(AROUND 80)

作家
田丸 久深(くみ)さん

1988年北海道生まれ、札幌在住。2015年「僕は奇跡しか起こせない」で第1 0 回日本ラブストーリー&エンターテインメント大賞・最優秀賞を受賞。同作で作家デビュー。著書に「YOSAKOIソーラン娘 札幌が踊る夏」(宝島社文庫)、「眠りの森クリニックへようこそ 『おやすみ』と『おはよう』の間」(幻冬舎文庫)がある。

女優
西田 薫さん

稚内市出身。文学座付属演劇研究所卒業後、劇団ショーマを経て、東京サンシャインボーイズなど数々の人気劇団の舞台に参加し、東京を拠点にテレビや映画でも活躍。2016年からは札幌に在住して活動を続けている。

ファッションデザイナー
石岡 美久さん

唯一無二の存在感を放つ服たちは、レディー・ガガやリアーナ、安室奈美恵、EXILEなど、国内外のアーティストが衣装や私服として購入。2015年に東京から札幌へ移住。ファッションのみならず、その活躍の場は多岐に渡る。

ミュージシャン
ベーカーショップブギ

1972年に札幌で結成されたソウルバンド。ボーカル・澤内明さん、ギター&ボーカル・吉田はじめさん、ドラムス・鈴木ノリさん、ベース・後藤“ヤギ”敏昭さん、キーボード・井上大介さん、トランペット・西田哲也さん、テナーサックス・斉藤孝男さん、バリトンサックス・高島ガマさんの8人編成。

舞台は毎回新鮮な発見があります

女優
西田 薫さん


8月17日(土)〜24日(土)、シアターZOOプロデュース 劇のたまご公演「ぐりぐりグリム〜シンデレラ」(札幌演劇シーズン2019-夏参加作品)に出演。親子で楽しめる作品です。問い合わせは北海道演劇財団(TEL 011-520-0710)へ。

7年間所属した「劇団ショーマ」や、もはや伝説的な劇団となった三谷幸喜さん率いる「東京サンシャインボーイズ」など、数々の人気劇団の舞台で活躍してきた西田薫さん。昔から熱心な演劇少女だったのかと思いきや、「お芝居を見るようになったのは自分がやり始めてからです」と、意外な言葉を口にします。
稚内で過ごした高校時代までは、人前で話ができないほどの恥ずかしがり屋。東京の短大進学を機にそんな自分を変えたくて、「演技を少しかじってみよう」と俳優養成所の門を叩いたといいます。「やってみたら楽しくて。ちょうど勉強に行き詰まっていたので、短大を辞める口実になるかなと(笑)、そんなマイナスなところから入りました」。飾り気のない笑顔でそう話します。芝居の魅力は、「相手の役者さんと絡むことで、自分のセリフが思いもよらない方へ変化する。そこに演出家や照明、音楽が加わると、さらに変化してより深くなっていく」ことにあるそう。「メンバーも作品も毎回違うので、その度に新鮮な発見があります」。
西田さんの夫は、俳優であり演出家・演劇プロデューサーでもある斎藤歩さん。斎藤さんが北海道演劇財団の芸術監督に就任した2016年に、夫婦で札幌に拠点を移しました。「私は彼の作品づくりや考え方を面白いと思っています。東京では役者として共演しましたが、演出家と役者という形で作品を作ることはありませんでした。札幌に来てすごく良かったのは、それができることですね」。また、「足を運んでくれた方が『お芝居を見るのもいいものだな、また来よう』と思ってくれるような作品を作りたい」と思いを語ってくれました。8月には「ぐりぐりグリム〜シンデレラ」を、10月には文学座時代の恩師・坂口芳貞さんを迎えて「棲す みか 家」を上演する予定。どちらも斎藤さんが演出します。
(遠藤真善美)

結成47年、今でもステージで歌うときは緊張する

ベーカーショップブギ ボーカル
澤内 明さん


毎年12月に札幌で開催されている「ブルース収穫祭」に出演。同イベントは今年12月に45回目を迎えます。ベーカーショップブギは、第1回から出演。また、7月14日(日)には道内外のミュージシャンが登場する「ルナマジックナイトvol.2」に出演予定。会場はベッシーホール(札幌市中央区南4西6 晴ればれビル地下1階)

今年、結成47年を迎えるソウルバンド「ベーカーショップブギ」は、結成時から札幌を拠点に活動。リーダーでボーカルの澤内明さんは、ハスキーでソウルフルな歌声と、「ハハハ」と音になる豪快な笑い声が印象的です。ずっと札幌を拠点にしてきた理由について、「8人編成だから、他へ一緒に動くのはなかなか難しい。昔は世に出るために東京に行かなきゃダメだということもあったけど、今は情報も速く、札幌で頑張っていればわざわざ行かなくてもいい」と話します。
「詞を大事に理解して、歌は下手でもいい。時間がかかったけど、歌は語っただけで人に伝わるとよく分かったから。若い時はうまさを出そうとするけど、50(歳)を過ぎると大概気づくと思うんだよね。気づいたら、言葉を大事に、大事に。歌唱力じゃないんだ、歌は、と感じると思う」と長く歌ってきた人物ならではの言葉が重くリアルに響きます。さらに「70を過ぎても気づくことがある。周りがどう言っても俺はまだ初心者。50人の前でも1000人の前でも、歌うときはすごく緊張するしね。基本的なことだけど、すごく大事なこと。ファンは一生懸命にステージで歌う姿勢をかってくれている」と続けます。堂々としたステージから全く想像のつかない“緊張”の二文字に驚きますが、50年近くのキャリアを経てもなお、常に初心を大切にしてるところが長年支持されている理由のよう。
今後は「最後のCD を来年くらいに出そうかと思っている」とのこと。最後とは限らないのではと尋ねると、「CDはラストでいい。ライブは続けていくけどね。ハハハ」と答えてくれました。ソウルの本場・アメリカのミュージシャン、オーティス・クレイも絶賛したという彼らの音楽は札幌のイベントで体感できます。
(髙木幸)

着た時に自信が生まれる誰もが輝ける服を

ファッションデザイナー
石岡 美久さん

「algorithm」のコレクションの1つ。「人の世界の境界線はとても曖昧であり、さまざまな色が隠されている」というメッセージが込められています。作品はホームページから見ることもできます
http://algorithm.parasite.jp/top.html

札幌に拠点を移して間もなく4年になるファッションデザイナーの石岡美久さん。2006年のスタート以来、独自の世界観で展開するブランド「algorithm(アルゴリズム)」は、国内外の著名アーティストにも支持され、昨年10月にはドイツ・ベルリンで初の海外展示会を開催。年1回のペースで新作を発表しています。
「人の温かみや情の深さを感じた」と2015年に札幌へ。右も左も分からなかった土地で今の自分があるのは「多くの人に支えてもらえたから」と当時を振り返ります。最近は、移住促進や起業家向けの講演会にパネラーとして呼ばれることも。また、「自分がお金と時間をかけて得た技術を役立てたい」という気持ちから、専門学校や大学で非常勤講師としても活躍。「とにかく北海道に恩返しがしたくて。いつか札幌を世界有数のファッション都市にしたいという思いもあります」。
セレクトショップ「ゲノム」を併設するアトリエに並ぶのは手法を凝らした服や装飾品の数々。見ているだけで「服はエンタテインメント。性別も国境もコンプレックスも超えた誰もが輝ける服を」というデザインに込められたぶれない志が伝わってきます。オーダーメードも受け付け、今手がけているのが「ユニバーサル着物」。車椅子を利用している依頼者の「今一番着たいのは着物」という一言に、「(気持ちが)燃えた」と言い、「〝誰に何を何のために〟という目的が私の服作りの中核にあります。和装の世界は奥が深いので、邪道と言われるかもしれない。でも着た時に負がなくなって自信が生まれ、元気になってもらえれば、デザイナーとしてこれ以上の喜びはありません」。
7月7日(日)には「さっぽろシャワー通り」で行われるイベントに参加。「ユニバーサル着物」も披露される予定です。
(山神朋子)

札幌に来たことで「また書こう」と思えた

作家
田丸 久深さん


田丸さんの著作。デビュー作の「僕は奇跡しか起こせない」(宝島社文庫)、「YOSAKOIソーラン娘 札幌が踊る夏」(同)、「眠りの森クリニックへようこそ『おやすみ』と『おはよう』の間」(幻冬舎文庫)

2015年のデビュー後、田丸さんが上梓した2冊の小説はどちらも札幌が舞台です。2作目はYOSAKOIソーランに打ち込む女性、3作目は睡眠外来のあるクリニックで働く女性がそれぞれ主人公。丁寧に書き込まれた札幌の風景描写は物語に生き生きとした空気感を吹き込み、道内の読書好きを中心に反響を呼びました。
田丸さん自身が札幌にやってきたのは8年ほど前。高校卒業後は故郷で働きながら小説を書き、新人賞に投稿する日々を送っていました。ところがある日、スランプに陥っている自分に気づきます。「新人賞の選考に残ると、審査員から選評がもらえるんです。それを読んで迷いが出たり、ほかの作家さんのデビューにあせってしまったり。若いから引き出しが少なくて、書けるものも限られてしまうのかもしれない。外の世界に目を向けようと思いました」。
そうして生まれ育った町を出た田丸さんを待っていたのは、まさに新しい世界。「新しい職場で働き始めたり、ダンスを始めたりして、人間関係がどんどん広がりました。いろいろな考え方や生き方に触れて、世界が広がったんですね。そこで『もう1回書いてみよう』と思えた。札幌に出てきたのは大きな出来事でした」。
現在は小説家と会社勤めの二足のわらじを履く暮らし。なかなか大変そうですが「書いていないと落ち着かないんです。出版する予定がなくても、常に何かしら物語を書いている」といいます。「(小説を書くのは)自分と向き合うことでもあり、日常から離れることでもあります。自分で一つの世界を作れるのが楽しいんです。小説に限らず、ものを作ったり表現したりすることが好きなのですが、一番しっくりきたのが小説でした」。
中学生のころから小説を書き始め、現在30歳。「20代のころには見えなかったものが見えるようになった気がします。今の自分だからこそ書けるものを書いていきたい。北海道の歴史にも興味があります。おばあちゃんの時代の話とか、すごく面白いんですよ」。次作ではどんな風景が見られるのか、今から楽しみです。
(藤田郁美)

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