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ホルモン補充療法は健康寿命を維持する効果も期待されています

  • 2018/05/16 UP!

ホルモン補充療法の最近の考え方

ホルモン補充療法は健康寿命を維持する効果も期待されています

 この度、我々産婦人科学会にて「ホルモン補充療法ガイドライン」が改定され、ホルモン補充療法(以下HRT)は、「エストロゲン欠乏に起因する症状(ほてり、発汗、冷え、うつ症状など)の緩和や治療」と「エストロゲン欠落によって発生する諸疾患(骨粗しょう症、高脂血症に起因する成人病、認知症など)のリスク低下や更年期以降のヘルスケア」のために使用されるべきであることがより強調されました。今回は、主にその後者について述べたいと思います。
 現在、日本人女性の平均寿命は87・5歳と年々上昇しています。しかし近年、健康寿命が話題になり、「死に至るまでいかに元気に生活できるか」が最も重要な課題になっています。それでは、HRTによって健康寿命を維持するため期待できることについて述べます。まずは、50歳代でHRTを開始し、5~30年使用した場合、質調整生存率が1・5年延長すること。女性は閉経後から骨量低下が起こり始め、75歳以上で約半数は骨粗しょう症になりますが、これもHRTにより予防できることが挙げられます。また、女性は閉経後から脂質代謝変化が起こり、高脂血症に移行しやすく、周知のごとく高脂血症から狭心症、心筋梗塞、脳卒中、肝機能障害、高血圧などの発症頻度が増えます。これも50歳代からHRTを開始することで発症率が減少します。糖代謝障害である2型糖尿病発症に対してもHRTは14~19%減少させます。エストロゲンは神経細胞に対して保護的作用があり、50歳代からHRTを行った場合、アルツハイマー病や認知症リスクを減少させることが報告されています。今まであまり話題にならなかったこととしては、手指の関節包内の滑膜にエストロゲン受容体が存在し、更年期からの腱鞘炎や手根管症候群、ばね指などの発症も抑え、口腔粘膜にもエストロゲンやプロゲステロン受容体があり更年期からの口腔乾燥症や味覚障害などの改善にもHRTは有効といわれています。
 以前よりHRTでよく話題に上るのが乳がんの発症リスクについてですが、HRTガイドラインでは、HRTの施行期間が5年以内であれば、乳がんの発症に何ら影響がないことが明言されました。逆に大腸がんや胃がんなどの消化器がんや子宮体がんなどはHRTにより発症を下げることができるといわれています。

今回のドクター

先生

のだレディースクリニック
院長 野田 雅也 先生
札幌市出身。1987年埼玉医科大学卒業。札幌医科大学麻酔科、産婦人科、斗南病院産婦人科医長を経て、2003年開業。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。日本麻酔科学会麻酔科専門医

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