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こころと体の健康をサポート 特別編

こころと体の健康をサポート 特別編

上野裕院長 特別インタビュー

一人でも多くの女性が健やかな毎日を送るために

 「うえの医院」の上野裕院長に聞く年末恒例「こころと体の健康をサポート 特別編」。今回は、読者からの質問に多い「女性特有の心身の不調」そして「漢方製剤」について、上野先生にお話を伺いました。

女性特有の心身の不調について

男女間の大きな差異の1つは、女性に排卵周期=月経周期があることです。すなわち、周期的あるいは年齢的な性ホルモン分泌の変動が、男性ではわずかなものに過ぎませんが、女性の場合には激しいということです。初潮から閉経まで、卵巣から卵胞ホルモン(E)単独が分泌される時期=低温期(多くは14日間)と、黄体ホルモン(P)分泌が加わる時期=高温期(多くは14日間)が交代に現れます。そして、Eは女性の心身を健やかに保とうとします。しかしPは妊娠維持のためのホルモンで、分泌する本人にとっては悪影響をもたらす本質をもっています。このことを前提に、女性特有の心身不調について話しましょう。

①月経前障害
高温期限定の身体症状(倦怠感・鼓腸・食欲亢進・不眠・むくみ・頭痛など)、心理症状(イライラ・易怒性・憂うつ感・集中力低下など)に悩まされる状態です。最も効果的な対処法は、Pの影響を減弱するための高温期における天然Eの補填です。私の経験からすると約8割の方が改善します。これでも効果が得られぬ場合には、ジエノゲストという薬剤を用いて排卵を停止=P分泌停止させる方法を考えます。この薬剤ではEの分泌は停止しませんので、更年期症状や骨そしょう症に陥る危険性はありません。

②更年期障害
この病名は広く知られており、30代の女性ですら「私は更年期障害だと思うのですが…」などと外来で相談を受けます。閉経の前後6カ月程度を更年期とすべきだと私は考えていますが、閉経時期は48~52歳の方が8割で、血清中の下垂体ホルモンとE値を検査すれば、閉経になったか否かわかります。更年期障害の主因は女性の味方であるEの消失状態への適応不全ですから、対応策はEの補繕で、期間は5年以内とすべきです。

③月経時の不快症状
 月経痛の原因は機能的と子宮内膜症で、両者とも鎮痛剤の出番ですが、後者では原疾患への対応を考慮すべきでしょう。前者でも鎮痛剤の効果が乏しい時は、前述のジエノゲストによる排卵停止法がよろしいと思います。月経血に塊りが混じる場合、すなわち月経量過多の主因は子宮筋腫で、貧血があれば鉄分の補充が必要です。

④排卵時の不快症状
排卵期の腹痛・頭痛やイライラ・憂うつ感などが症状で、鎮痛剤や安定剤などで対症治療を行います。卵子跳出の物理的刺激あるいはE値の激しい変化と下垂体の興奮が主因です。

漢方製剤について

中国医学が成立し得た2大要件を述べます。①中国大陸に生活した人々の形而下的欲求は、「病気のせいで中途半端に生きるよりも、何らかの手段によって病気を治し、まっとうに生きたい」です。運が悪いと命を落とす危険性もあるのですが、さまざまな自然物(植物・鉱物・動物)を治療手段として試したと思いますので、大勢の犠牲者も出たことでしょう。それを千年以上も続け、膨大な治験記録を残すに至ったのです。②治験記録を“易経”由来の共時性的原理をもって分類し、干支理論を基礎として諸々の生薬を自在に組み合わせ、多くの方剤群を創出してきました。そのおかげで系統的な治療と診断が可能になったのです。
さて、中国医学診断の2大指標は次のごとくです。1つは五行による症候群分類(臓象分類)で、もう1つは陰陽による病期分類(経絡分類)です。前者は脾土(消化器・口腔・体型・筋肉・強迫観念など)、肺金(呼吸器・皮膚・汗・うつなど)、肝木(免疫・脳神経・眼・物質やエネルギー偏在・緊張など)、心火(循環器・血管・血管・取り越し苦労など)、腎水(生殖・尿・耳・不安など)の症候群に分けます。後者は、急性病を軽重の2段階に、慢性病を軽→重の順に「心経…胃経…大腸経…肝経」の10段階に分けます。診断の要諦は問診と脈診なのですが、後者ができる医師は日本にはいません。
すなわち、診断名は例えば「肝木の大腸経」などです。そしてエネルギーの多寡による実虚分類、熱量の多寡による熱寒分類を加えます。各々の診断に最適の基本方剤が記された虎の巻があり、これを基に個々の病態に沿って細かな修正を施し、各患者用に生薬を組み合わせたオーダーメイドの製剤を調整するのです。複数の五行にまつわる症状を併発している時の治療優先順位を示します。「急性→慢性」「重症五行→軽症五行」、同じ重症度での併発時は、「土→金→木→火→水」です。正しい処方であれば急性症状には15分で、慢性症状でも最長1週間で効果が現れるでしょう。他方、誤った処方は症状を悪化させるおそれがあります。

 


上野院長栃木県立宇都宮高校、北海道大学医学部卒業後、慶応義塾大学大学院で医学博士号取得。1985年からうえの医院に勤務。

住所:宇都宮市大寛2-5-7 TEL:028-636-8707
HP:www.uenoiin.net


 

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