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都立中高一貫教育校の人気の秘密に迫る!

  • 2018/01/25 UP!

今、なぜ求められている?都立中高一貫教育校

TOKYO教育最前線

ニュースでもさかんに取り上げられている「2020年の教育改革」。大学入試改革ばかりに気を取られがちですが、変わろうとしているのは大学入試だけではありません。日々進化を遂げている“東京の教育の今”を探るとともに、東大を始めとする難関校に卒業生を送り出し注目を浴びている「都立中高一貫教育校」の人気の秘密に迫ります。

教育のプロが解説

「教育改革」による学校教育の変更点と
都立中高一貫教育校が人気の理由

「これからの社会で活躍できる人材育成を目指し、大規模な教育改革が始まろうとしています。2020年度には、現行のセンター試験に代わり“大学入学共通テスト”が実施され、同年度には小学校で“新学習指導要領”が全面実施されます」と語るのは、首都圏の高校受験を控える子を持つ親向けに、教育情報サイト・スクールポストを主宰する石井知哉さん。「グローバル化を見据え、小学校でも3年生から“外国語活動”が始まり、5年生から成績評価のある“教科”としての英語の授業が開始するのに加え、中学・高校においても、“自分で考え判断し、表現する力”が求められるようになっていきます」

そのような流れの中、注目を集めているのが現在都内に10 校開校している“都立中高一貫教育校”(以下、一貫校)。これらの一貫校には、どのような特徴があり、人気の秘密はどこにあるのでしょうか。

石井知哉さん

■石井知哉さん
教育情報サイト
「スクールポスト」主宰

6年間継続した教育を受けられるのが最大の魅力
考える力を養う授業は教育改革の目指す姿とも一致

「6年間という期間を生かしながら、体系的・系統的な教育を受けられることが最大の魅力だと思います。各校では、よく考えられた特色ある教育活動が展開されていて、生徒たちは、多様な能力や個性を伸ばすことができます」と、これら一貫校を管轄する教育庁の奥富洋一担当課長は話します。一貫校には、6年間同じメンバーだけで過ごす「中等教育学校」と、高校からも募集をする「併設型」がありますが、中学で入学すればいずれも高校入試がないため、いわゆる“高校入試のための勉強”に時間を割く必要がなく、“自分で調べ、考え、議論する学習”や、各々の興味ある分野に応じて“より探究的な学習”を行うことができます。

奥富洋一さん

■奥富洋一さん
東京都 教育庁都立学校教育部 都立高校改革推進担当課長

「これらの学習内容は、思考力や表現力、学びに向かう力などを重視する、新学習指導要領が目指す姿でもあると思います」と、奥富さん。「激動する国際社会で活躍・貢献できる力を子どもたちに育むことが、新学習指導要領の主な目的の一つですが、一貫校ではこの内容に合致する教育が既に展開されています。また現在、区部に6校、市部に4校が開校していて、おおむね都内のどこからでも、いずれかの学校に通うことができます。これは東京の大きな魅力だと思います」

入学するために必要な「適性検査」
“総合力”を問われる内容

では、一貫校に入学するためにはどうしたらよいのでしょうか。「“適性検査”を受検しなければなりません。適性検査は国語や算数といったような科目ごとではなく、より総合力を試されるような内容。日本語の読解力が必要であるほか、表やグラフを見て“なぜ”“どうして”を考える力が試されます。“中学受験=知識の詰め込み”であったのは過去の話。基礎学力はもちろん必要ですが、さらに一歩進んで、体験型の学習が必要です。子どもに、常日頃から知的好奇心を持たせるための工夫も必要ですね」と石井さん。

私立に比べて授業料の面でメリットがある上に、新学習指導要領への移行でますます魅力的な選択肢となっていくであろう都立中高一貫教育校。次世代のため、大人として何ができるのか? 今、考える時期がきているのかもしれません。

教育現場は今どうなっているの?

中高一貫教育校インタビュー

都立武蔵高等学校・附属中学校

国際社会に貢献できる知性豊かなリーダーを育成

―学校の特色は

最大の特色は、高等学校までの一貫性のある教育。教育内容を吟味して中学・高校の学習内容の重複を省き、中学校で高校の学習内容を一部先取りしています。
また、6年間の体系的な進路指導計画を作り、年2回以上の面談を実施しています。さらに、生徒が「学習・進路ポートフォリオ」と呼ばれる振り返りを行うことで、より主体的に将来の目標や進路を方向づけられるようにしています。6年を通じて、今後のさらなる国際化の中で活躍できる知性豊かなリーダーの育成を目指しています。

高橋豊先生

統括校長 高橋豊先生

―生徒の雰囲気は

穏やかで優しい生徒が多いと思います。男女間も仲が良く、校内3大行事である「体育祭」「音楽祭」「文化祭」を中高合同で実施していることもあり、中学と高校の垣根がほとんどなく、多学年が混ざり合い、互いに良い刺激を与えあっています。

―特徴的な授業は

さまざまな問題を地球規模で考え、環境・地域・人間・生命などについて中学の3年間で教科横断的に学ぶ、「地球学」の時間を設けています。中学の3年間をかけて一つのテーマを掘り下げ、フィールドワークや実験、討論・発表を通じて、これからの社会で必要とされる“多くの中から必要な情報を取り出し、ほかの人と共同で作業して創り上げる力”を養っていきます。また、毎年科学オリンピックや数学オリンピックに出場し上位の成績を修める生徒もおり、各々の得意分野での取り組みも積極的に応援しています。

―卒業生の進路は

国公立を志望する生徒が多いですね。昨年は東大に6人合格、内5人は現役合格を果たしました。

毎年製本

「地球学」での研究成果は毎年製本され大切に保管されている

都立両国高等学校・附属中学校

中3で全員が米国にホームステイ 両国から世界を目指す

―学校の特色は

まず挙げられるのは、府立三中、三高、両国高校と、まもなく創立120年を迎える伝統校が基盤となっており、各界に卒業生を多数輩出していること。校内には、そんな学校の歴史を感じさせる額や石碑が多く残されています。その中で6年間を通した教育を行い、高い学力と豊かな人間性を併せ持つ人材の育成に努めています。

―授業の特色は

いわゆる先取り学習を行うことより、基本を徹底して学び、学校全体の学力を押し上げることに重点を置いています。伝統校であるため進路などのデータが豊富に蓄積されており、経験を積んだベテランの先生が集まっているのも特筆すべきだと思います。

鯨岡廣隆先生

校長 鯨岡廣隆先生

―特徴的な授業は

英語教育に力を入れています。中学3年生では、全員、アメリカ・ユタ州での「海外語学研修旅行」を経験します。これは、生徒一人ひとりが各家庭に分かれてホームステイする形式。ステイ先では英語でしかコミュニケーションをとる手段がありません。海外が初めて、という生徒もいる中、貴重な経験をすることで、人間的にも成長して帰ってきます。
また毎年、生徒有志による英語劇も上演。昨年は、本校の卒業生でもある芥川龍之介の「蜘蛛の糸」を脚本から作りました。本校では、読む・書くはもとより、聞く・話すにも重点を置いた英語教育を行っています。中学卒業時点で85%の生徒が英検準2級を取得しています。

―これから受検する人へ

私自身が「もし生まれ変わったら入学したい学校」です。高倍率ですが、「自分にチャレンジ」する生徒の志望を期待しています。

ユタ州ブライダルベールの滝にて

ユタ州ブライダルベールの滝にて

取材を通じて強く感じたことは2020年の教育改革に向けて、現場がどんどん動いているということ。受験のための勉強ではなく、自分で調べて、自分で考える学習が中高一貫教育校を中心に日々実践に移されています。武蔵高校・中学の「地球学」ではまるで大学の論文のようなレベルの高いテーマに中学生が喜々として取り組んでいるそうですし、先生方もとても熱心。新しい感覚で最先端の教育に携わりたいという若い先生も多く、現場の熱が伝わってきました。まさに東京から教育が変わっていきます。これからも注目ですね。

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